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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第2章 不安な悪魔と曲がらない考え
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59 選択と策

俺は敵の装備を今一度良く確認する。

戦闘においては情報が物を言うからだ。


まだ動けそうなのは今の所5人。


スライムの状況次第では変わるだろうがとりあえずはこれだけだ。


『白の翼』のメンバーは皆一様の防具に、それぞれ別の武器を持っている。


剣、剣、鉈、槍が今立っている奴らが持っている武器だ。


先程倒されたやつは斧を持っていた。

普通ならここで敵が魔法を使ってこないと思われる事に喜ぶところだが、今回は後ろにノアも控えている。


対物理特化用の戦術は取れないだろう。


まあ、それならそれでいい。

別の策を取るまでだ。



「リリス、良くやった!!」


最低限、相手方の情報を整理し終えたところで俺は交代を申し出る。


正直、今のリリスは力などの一部の能力値は高いがそれだけだ。

初めて会った時の様な絶望感は感じられないし、今戦えばおそらく俺が勝つだろうと言うくらいには弱い。


あまり前に出るべき存在ではないのだ。


「交代ね?大丈夫そうかしら?」


「ああ、やばくなったらまた頼むから、それまで休んでいてくれ。」


俺はリリスと交代し、直ぐに目の前の敵に向かって剣を突き出す。


普通なら避けられてしまう可能性もある攻撃だが、ノアの魔法が意識下にあるせいかそいつはそれを避けずに持っている剣で受け止めようとする。


それならーーー俺は2つの剣が重なる瞬間に《斬鉄》を発動させた。

いつもは攻撃力がたった3しかない木の剣を使っていたが、今に限ってはその10倍の威力のある聖剣だ。


その攻撃は、一介の武器が防げる域を簡単に超えていた。

俺の剣は見事に相手の剣を切りとばす。


「ーーー!!?」

驚きに目を見開くそいつに向かって、俺はその勢いのまま剣で殴打を加えた。


俺の一撃は正確にその男の体を捉える。


だが、これだけでは倒しきれないだろう。

そう思った俺は追撃をする事にする。


剣を引き戻している暇はない為、勢いそのままの蹴りを放つ。


男の体は俺の蹴りによって後ろに運ばれ、そして彼の仲間に受け止められた。

そしてそのまま力なく崩れ落ちる。


これで残りは4人、初めの状況を考えるとかなり楽になった様に思える。

ここまではいい。


だが、問題はここからだ。


勝ちを確信して安易に攻めてきている『白の翼』も、さすがに味方が2人もやられれば警戒せざるを得ない。


ここから相手が取る行動によってこの先の難易度が激変するのだ。


まず選択肢1、このまま変わらず攻めてくる。


これは1番楽なパターンだ。

1人ずつ交代しながら相手をすればなんとかなるかもしれない。


次に選択肢2、何をせずにこちらが攻めてくるのを待ち続ける。

これもこれでこっちが攻めなければいつかはリリスが本調子に戻る為、なんとかなりそうな行動だ。


そして選択肢3、『白の翼』が俺たちを足止めし、その間にノアが他の冒険者の加勢にいく。


これはかなりきつい。

増え続ける敵の戦力にジリ貧になってしまい負ける可能性が大きいだろう。



そして最後、選択肢4は、


「そこの人達!!今、命令を書き換え終えたから君たちが近づいても爆発しないよ!!」


火の玉を無視するなり無力化するなりしてから攻める事。

無視されるだけならまだ良かったが、今回のこれは最悪だ。


なぜ俺たちにだけ妨害効果が働くと言うのだから。


『白の翼』の残ったメンバーは、その言葉を聞きそれぞれが横に展開する。

そして一度確かめるかの様に火の玉にゆっくりと近づく。


そしてそれが爆発しないことを確認すると、



「ふむ、これならいけるな。」


「先程まで、奴らは散々やってくれた。」


「その報いは受けてもらわなければならん。」


それぞれが一度に襲いかかってくる。

加えて先程から命令の書き換えに忙しかったのか静かだったノアも攻撃に参加する。


「リリス!!ここが踏ん張りどころだ。2人でなんとかするぞ!!」


「ええ、ここを凌げば、あとはなんとかなりそうね。」


俺は再びそいつらを迎撃しようと剣を構える。

《斬鉄》は再使用可能だ。

相手の武器に一度、攻撃を加えるだけでいい。


それだけで、そいつは考えなくても済む。


俺はまず、1番足が速い、槍を持ったやつに向かう。


そしてそのままその槍をめがけて剣を突き出した。

しかし、


「もう、その手は喰わない。」

俺の剣はそいつが横に跳んだ事で空振りに変わる。

先程のやりとりで、俺の狙いはすでにバレているみたいだ。


俺の攻撃は大きく空振った。

そこにはそれ相応の隙が生まれる。


そいつは今、俺の攻撃から逃がした槍を回し、薙ぎ払いのような形で俺に攻撃する。


あれをくらったらただじゃ済まない。

そう思っても、今の俺は回避に移れる体勢ではない。


「ふっ、存外頑張っていたようだが、貴様はここで終わりのようだな。」


「それはどうかしらね!!」


俺の隙は、リリスが守ってくれる事によって帳消しになる。

普通なら他の2人を足止めしていて貰うのが正解なのかもしれないが、それをやっても勝てないのは分かっている。


結局、俺たちには各個撃破しか無いのだ。


そうこうしているうちに他の2人が俺たちを囲うように陣取る。


同時に相手をしている余裕は、今の俺たちにはない。

その為の速攻武器破壊。

その為の2対1なのだが、その作戦は一瞬にして崩れてしまったみたいだ。

「チェックメイト、だな。」


「やはり悪魔、我々の敵ではなかったか。」

『白の翼』は今度こそ、勝利を確信した。

そんな態度で俺たちに話しかける。


「タクミ、次の作戦はあるんでしょうね?」

この状況からでも、俺ならなんとかする策がある。


そう信じてやまない表情でリリスがそう聞いてくる。

それに俺は、自信満々に答える。


「ああ、一応はあるさ。効くかどうかは分からないけど、1つだけ。」


この状況、現存戦力だけでは確実に勝てない。


「そう、なら聞かせてもらえるかしら?その1つと言うのを、、」


そして戦力が足りないなら、どこかから補えばいい。

これは先程、リリスに共闘を申し込んだ時と同じ考えだ。


そして今、この場における俺たちを助けてくれそうな戦力が1つだけある。


「それはな、こうするんだよ。ーーーぁぁぁぁああああああああ!!」

俺は雄叫びをあげた。


それと同時に、リリスに戦いを任せていた隙に、念のためと思って操作していたそのスキルを発動する。




そしてその少し後、部屋を埋め尽くすほどのスライムが、この部屋に押し寄せた。


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