表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第2章 不安な悪魔と曲がらない考え
38/293

38 仕事と説明


「それでは、今回の報酬14万Gになります。」

俺は冒険者ギルドの職員から、今回ダンジョンに潜って倒したモンスター分の報酬を受け取った。


それで思ったが、ダンジョンの収入は思ったよりいいものだということだ。

初めの街で受けた依頼とは違い、この街で受ける依頼はあのダンジョン内で倒したすべての魔物が報酬の対象なのだ。


全くの無駄がない。

そのことに歓喜しつつも、俺はまだあのダンジョンに近づきたくないという気持ちは変わっていなかった。


「おぉ!!今日の報酬はすごいんだね!!これ、ボクのほうの4万Gだよ!!」

ノアが俺の手に1万G紙幣を4枚乗せてくる。


「そうか、えっと、合計が18万Gだから一人当たり6万Gだな。ノア、リアーゼ、確認してくれ。」


「こっちは問題ないよー!!」

「こっちもですー」


これで報酬の分配は終わりだ。

そしてあとは・・・・


「さぁ、ではゆっくりと聞かせてもらおうか!!何故にあのダンジョンが7階層はあると思ったのか!!」

こいつらの相手をするだけだな。


あの時、説明をするのが困難と思った俺は話をはぐらかすことで誤魔化そうとしたのだが、そうはいかなかった。


そう、この男エリックが異様に食いついてくるのだ。

「だから、勘以外の何物でもないから!!」

俺はそう強く言い放つ。

その口調は初めて会った時のような丁寧さは残っていない。


「そうは言うが君はそれを確信したかのような顔をあの時していたじゃないか!!」


――――あ、少しうざくなってきたかも・・・


「気のせいだって!!寝起きで寝ぼけてたんじゃないのか!?」


「でも、私もそう見えたわ。あなたやっぱり何か隠しているわね?」

何とか躱そうとしたが、それをローブの女性が許さない。

くっ、援護射撃は卑怯だぞ!!


エリック1人なら何とか誤魔化すことができそうだが、俺の発言はあの場にいたほぼ全員が聞いていた。

実際に聞いていなかったのは重装の男と軽装の男の2人なのだが、その2人にもエリックの口からその事が聞かされている。



エリックのパーティメンバーは、全員興味深そうな目でこちらを見てくる。


いや、若干一名、興味がなさそうな顔の人がいるな。

法衣を纏った女性だ。


そういえば、神官職は神殿から派遣されるんだったっけ?

とにかく、俺はその法衣を纏った女性がこの状況の突破口だと確信する。


「ちょっと、君!!この人たちを何とかしてくれないか?」

率直にやってほしいことを言った。

ここは変なからめ手を使わないほうが、ことがうまく運ぶと思ったからだ。


「それは仕事内容に入っていませんので・・・」


簡単に断られてしまった。

俺の持っている情報、というよりはほかのこと全てに興味がないといった様子だ。

それにこの女性はおそらく―――—―――――—


「そういえば、ボクも気になっていたんだよね。ダンジョンでウッドゴーレムを切ってから少しだけ様子がおかしかったし、何に気づいたの?」


俺は希望を見つけて伸ばした手を振り払われたばかりか、まさかの裏切りにあう。

「そうだよ、タクミお兄ちゃん、早く白状して!!」


あぁ、リアーゼまで・・・

でも、説明しろと言われても俺自身なんて説明したらいいか迷っているんだよなぁ・・・

流石に、元ネタからすべて話すわけにはいかないし・・・・


「さぁ!!君の仲間もそう言っているぞ。」

はぁ、うっかり口を滑らせたことで、ここまで問い詰められるとは・・・俺も意識が足りないな。


仕方ない。


「ダンジョンの真上に、ヒントが転がっているぞ。」

これで何とか納得してもらうしかない。


「ダンジョンの真上?って確か大きな木があるよね?それが何かヒントになるっていうの?」


「あぁ、言っておくが、これ以上の情報は出さないからな。」


「——————————————ダンジョンの上の木・・・そういえば僕も気になっていたところだ。あれがダンジョンの上にあるのは偶然なのか・・・?」

呟くようなエリックの声が聞こえる。

それを聞いていると、案外彼なんかがあのダンジョンの真相を解き明かしそうな気がしてならない。


「じゃあ、俺達はこのくらいで!!」

また絡まれても面倒だ。

俺はノアとリアーゼを引き連れ、そそくさとその場を立ち去る。


ギルドの扉をくぐる直前に後ろから、

「あ!!待ってくれ!!君たちがどこに――――――」


何か聞こえたような気がするが、気のせいだろう。


建物の外に出てそのまま振り返ることなく宿に一直線に向かう俺たち、そんな俺たちをエリックが追いかけてくることはなかった。















宿屋に戻った俺は、今日の分の宿代を払い部屋で1人、ステータスをチェックする。

思えば、ウルフの大群を倒した時はチェックしていなかったから、大幅に上がっているかもしれないな。



名前 天川 匠


クラス  魔闘士


レベル      5

HP     1590/1590

MP     39/174

力      124

魔力      69

体力     115

物理防御力  132

魔法防御力   81

敏捷      93

スキルポイント  8

状態      正常



あれ?思っていたより上がっていないな。

やっぱりクラスチェンジしたからその分上がりにくくなっているのか。

スキルポイントの得られる割合は変わっていないから、これからは慎重にスキルをとっていかないとまずいかもしれない。


それにしても結構な割合で《純闘気》を使っていたんだが、それでもまだ40近くMPが残っているな。


思っていたよりあのスキルはコスパがいいらしい。


俺はそれだけを確認して、ステータスウィンドウを閉じた。

そして、明日は何をしようかということを考えながら横になる。


あぁ、でも、多分、


ノアがいきたいといったところに行くことになるんだろうな・・・・

俺はゆっくりと目を閉じた。


そして朝、――――――ドンドンドンドン!!!


いつものように扉を叩く音が俺の耳に届いてきた。


「ほら!!タクミ!!朝だよ起きて!!!今日もダンジョンに行くよ!!!」


あぁ・・・・


どうやらノアは、俺の気持ちなんてものはお構いなしらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ