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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第2章 不安な悪魔と曲がらない考え
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37 ダンジョンの正体と最下層まであといくら?

今回は説明回となります。

前回までの主人公が言っていた『仮説』が分かっている方は、読まずとも内容が分かるようになっています。




「はっ!!ここは!!僕は助かったのか!?」

大げさな声を上げながら、エリックが目を覚ました。

そして何かを悟ったかのように・・・・


「そうか、僕は彼らを守り切ることができたのか・・・」

と、つぶやく。


「もう!!助けられておいてなんでそんなに偉そうなの!?」

流石に頭に来ていたのだろう。

その言葉を聞いたノアがエリックの頭を杖でつつきながら不満げにそうこぼす。


「何をする!?僕をエリック=オーベルと知っての狼藉か!?」


「君こそ助けてもらっておいてなんでそんなに偉そうなの!?」

言い争いを始める2人、それを見た俺は、エリックのパーティメンバー、戦闘中彼を一番心配してたローブの女性に目を向ける。


彼女も、申し訳なさそうな顔をして、こちらに目を向けていた。


「まぁまぁ、落ち着けってノア、落ち着て話せばすべて思い出してくれるはずだから。」

「エリックも、いったん落ち着いて。」


ノアとエリックは俺たちに羽交い絞めされるような形で引き離される。


「えっと・・・」

なんて切り出したらいいんだろうか?


「あ、私から話すわね。」

説明は向こうがしてくれるらしい。その言葉に甘えることにする。


彼女は俺たちと通路で出会ったところから説明を始めた。

俺が逃げないこと、エリックが俺を助けようと踏みとどまったこと、3人で突貫して撃沈したこと、俺たちがスライムを倒したこと、その内容を大まかに説明していく。


初めは誇らしげだったエリックの表情は、次第に申し訳なさそうな顔になっていく。

そして――――


「すまない・・・僕は少し思い違いをしていたみたいだ。」

と、俺たちに軽く頭を下げてくる。

意外に早く折れたな。もっとこう、お前なんか認めないぞー的な感じで突っかかってくるものかと思ってた。


「ふふん、わかればいいんだよ!!」

ノアが胸を張って誇るようにエリックに言う。今回ばっかしは彼女も仕事をしていたため当然のことではあるのだろうが、なんだか釈然としない。


あれか?いつもノアの残念な姿しか見ていないからか?


「ところで、なんでエリック達はあんなのから逃げてたんだ?」

あれが物理攻撃が効きづらいスライムであったとしても、彼のパーティには魔法使いや神官らしき人がいる。

あれが倒せななんてことはないはずだが・・・


「それは私のMPが切れたせいよ。あれに対する有効打がなくなってしまったの。」

ローブの女性が答える。


「え?まだ第二階層だろ?そんなところでMP切れって、大丈夫なのか?」

いや、もっと深いところでMPが底をついた場合、帰れないという問題が発生するからここで切れてしまったほうがまだいいんだが、それにしても早くないか?


「何を言っている。もう、第二階層ではないか!!おそらく、もうすぐこのダンジョンの底が見えるはずなのだ!!」

エリックが自信満々に声を上げる。


・・・・はて?どうして彼はもうすぐ終わりだと思っているのだろうか?

俺の疑問を察知したのだろう。

先ほどから静かに俺たちの話を聞くだけだったリアーゼが、説明を入れてくれる。


「おにいちゃんは知らないようだから言っておくけど、基本的にダンジョンは1階層、多くても3階層しかないんだよ?」


「あれ?そうなのか?でも、このダンジョンは最低でも7階層、多くて10階層あるはずだぞ?」

俺の言葉に、その場にいる全員が目を丸くした。



次に声を上げたのはエリックだった。

彼は一度、自分の中にある何かを吐き出すようにため息をつき、自分を落ち着かせてから言葉を発する。


「その根拠を聞いてもいいかね?それが本当だとしても、にわかには信じがたいのだが・・・」

質問の内容は、俺が事前に予想していたものと同様のものだった。


だが、その対応をどうしようかと俺は考える。

俺がこの結論に至った理由は元の世界に合った知識を使う必要があったからだ。

これを説明するのは少し難しい。











生命の樹と邪悪の樹というふたつの樹があるのを知っているだろうか?


馴染み深い呼び方だと、『セフィロト』と『クリフォト』と呼ばれているあれだ。

この二つの樹は、それぞれ10のセフィラとクリファと呼ばれる美徳や悪徳からなっており、その構造は真逆の形をしている。


10の要素はそれぞれ色違いの丸を持っており、それぞれに天使や悪魔が宿っているといわれている。


ここでそれぞれに宿るものに詳しく触れたりはしない為、要点だけを述べさせてもらうと上下さかさまの構造の樹が、存在するということだ。


初めの階層に出てきた魔物は、ゴーレム系の魔物だった。

これは『クリフォト』のクリファのひとつ、10iに属するネヘマーが『物質主義』だからだと思われる。


思えば、俺の剣撃が簡単に敵を切り裂けるのにもかかわらず、ノアの魔法が効果が薄かったのは、物理攻撃と魔法攻撃の違いだったのだろう。


そして次の階層の敵を見る。


そこで出てきたのはスライムだった。

『クリフォト』の構造的に、10iのクリファ、ネヘマーの下にいるのは9iのリリスだ。

そこに込められた悪徳は『不安定』


スライムのような不定形の魔物がでてくるのは、そう言った理由なのだろう。


ここで初めの質問に立ち返る。

何故、このダンジョンが最低7階層で最大10階層なのか。


その答えも、『クリフォト』の構造にあった。

10の悪徳で構成されているその樹は、高さで言えばざっくり7段階に分けられるのだ。

また、十地獄の七処という言葉もある。


そこからの推察というわけだ。

最大数は単純にクリファの数が10iから1iまでしかないからだ。












というわけでこのダンジョンの階層事情は大体把握することができたのだが・・・・これを説明するのには骨が折れる。


だから俺は、


「まああれだ。そんな気がしたというだけだ。忘れてくれ。」



何も言わなかったことにしようと試みた。




ブックマークが10人になりました。皆さん、ありがとうございます。

拙い文章ですがこれからも続けていきますので、よろしくお願いします。

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