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記念? 最高のパートナーとのこれまで

気づいたらこの作品を投稿し始めてからもう一年が経過していました。

ということで、今回はざっとこれまでを振り返る回です。


温泉とは日本人の魂の1つだ。

心に深い安らぎをもたらしてくれる存在と言っても過言ではない。

湯に浸かっているだけで日本人は日頃のストレスから解放されて身も心もリフレッシュできるってもんだ。



この世界に来てそこそこの時間がたった。



思えば、はじめの頃はずっと肩肘張っていたような気がする。

知らない世界で、どうにか生き延びてやろうと常に最善を取り続けようと気を張り詰めていた。


少しでも早く強くなろうと焦ったりもしていたような気がする。

それが今や、こうしてゆっくりリラックスできるようになるまでになったのだ。


「これもノアのお陰だよなぁ・・・」

自分以外誰もいない湯船の中で俺はそう呟く。

彼女とはじめに出会えたから、今の俺があると思う。

出会いは突然だった。


薬草採取に行った帰り、ゴブリンをくっつけた状態でノアが俺を盾にしたんだよな。


「それでお詫びに仲間になってくれるって言ったんだっけな。ふふっ、冷静に考えてみればお詫びでもなんでもねえや。」

人の命を盾にとって逃げておいて、その見返りとして仲間になる?普通に考えておかしな話だ。


どうして無一文かつゴブリンに追いかけ回されるような奴が仲間になるのでお詫びになるのだろうか?


「でも、俺にとってはあれが一番のお返しだったんだよな。」

知らない土地、頼れる人のいない中で不安だったところに、仲間になってくれるというノア。

口にも態度にも出しはしなかったが、嬉しかった。

それから、ゴブリンの大群を泥沼にはめて狩ろうとして、ゴブリンを食いに来たオークに殺されそうになって、アイテム管理がめんどくさくなったから荷物もちさん雇おうってなって、


「リアーゼを見つけたんだったな。」


荒くれたちに乱暴にされるリアーゼ(当時は名前すらなかった)。

かすかに聞こえた誰かに助けを求めるような声ーーーそれを聞いて衝動的に動いたんだよな。


「あの頃はまだここがゲームの世界だっていう感覚が抜けなくて、リアーゼのことは何かのイベントが発生したと思ってたっけ。」


本当はどうかは知らないが、俺にとってここはもう現実だ。

今、同じ状況を見せられて同じ行動を取れるだろうか?


「それから、、、森のダンジョンに来いって紙をもらって、リアーゼが付いてくるって言って、待ち伏せしようとしていたゴロツキを逆に後ろから叩いて、、、リアーゼが人質に取られそうになった。」

ちょうどよかったしどうせそうなるだろうなって分かってたから俺はリアーゼに武器を渡していた


だが、それがさらなる悲劇を呼んだ。


「で、それが解決したらもっとお金を稼げるようにと大きなダンジョンがある街に向かおうってなって。」

そこでまずはエリックと出会った。

はじめはお調子者タイプのバカだと思った。だが、あいつは何気に芯がしっかりした奴だった。


ただ、バカなのには変わりなかった。

こともあろうことかダンジョンの中央の幹を攻撃し始めた。


「その中にはリリスがいた。」

リリスは怒っていた。

家を攻撃されたこと、階層のスライムを殺して回る冒険者たちのことを。


エリックのパーティと後なぜか俺は彼女の部屋に招き入れられーーーー毒?の入ったお菓子を食べさせられた。


結果、エリックの仲間が1人スライムになった。

その後なんとか交渉でエリックたちは見逃してもらい、

「代わりに俺がリリスの下で生活するようになったっけ。はじめは戦々恐々だったけど、接して見るとリリスは結構可愛いやつで、悪魔とかどうでも良くなったんだよな。」


そもそも俺は悪魔という種族が好きだ。

リリスが悪魔だということに何も抵抗はなかった。

そして俺とリリスが一緒に暮らしていると、エリックが悪魔祓いのスペシャリストを雇って討伐に来た。


「今思えば、5対1とはいえ弱体化前リリスを抑えられたのはすげえなあいつら。」

名前はもう忘れたけど。


そしてその際、ノアと一度敵同士になった。


悪魔だからと気のいいリリスを倒そうとするのが認められない俺と、悪魔をかばう俺が認められないノア、、これが今のところ最初で最後の対立だ。


結果、俺たちは勝利してリリスと仲間になった。


「それからえっと、、、あぁそうだ。美味しいもんを食いに行こうってベイルブレアに向かったんだっけ。」

その道中の森で壊れた人形を拾った。

それを修復して動き出したのがシュラウドだった。

あんまりこれだって名前が思いつかなくて適当につけたんだよな。

彼には悪いことをしたなと思っている。特に、その名前を気に入っているっぽいからなおさらだ。



「そこで拠点を持って、シュラウドのために店を用意してーーーー襲撃を受けて、返り討ちにして。」


そういえばヴィクレアと出会ったのもここら辺だった。

王都を襲ったブラックドラゴンを討伐してほしい、アースドラゴンを倒せるならできるはずだって言われてな。

飛んでる竜と飛ばない竜を一緒にするなよと思ったものだ。


そういえば、その後従業員として雇ったスペラという女性はどうなっただろうか?

とりあえず旅行に行くからその間は休暇だって言ってたけど、予想外のことが何度も起こって連絡が取れてないな。


「それからエイジスに出会って、ベルフェゴールと対峙して、、、エレナが仲間になった。」

魔王を倒せば元の世界に帰れる。そう思っていた時が俺にもありました。


だが、その実態は魔王は大量にいるっていうし、そのほとんどが偽物らしいってリリスの知り合いに言われた。

あいつは今ーーーーーーーー


それから勇者によって王都に収集されて、、半ば強引に戦争に参加させられるようになった。


「その時の王様はすでに魔王だったみたいだから

今回の戦争のメンバーは何か強さとは別の基準で集められたんだろうな。」


王都ではノアの両親とも出会った。

母であるエスリシアさんは何気にこの世界にきて初めて見るエルフだった。

綺麗で気さくな人だった。最初は俺を疑っているようだった。


でも、俺とノアが付き合うことになったって言ったらとっても喜んでくれた。

エスリシアさんはノアの事を大切にしているっていうのがよくわかった。


父であるカンヘルさんは騒がしい人だった。

ノームとドワーフのハーフ。

そして魔族認定を受けたエルフと番った結果生まれたノア。

自分の娘の境遇を誰よりも気にしているいい父親だった。


ただ、親バカがすごかった。


「いい家族だったなぁ・・・」


ノアとはその頃お互いの気持ちを確かめ合った。

俺はいつからかは忘れたが気づけばノアを意識するようになっていた。

それをはっきり自覚したのはノアが家出した時だったな。

いなくなった彼女を、無計画に探し回った。


ノアがいないなんて考えられなかったのだ。

だが、彼女が自分のことをどう思っているかは分からなかった。

親しくはしてもらっている。しかしそれだけかもしれないと思って踏み込めなかった。


「そんな時、ノアが俺のことを好きだと言ってくれた。」

いまでもその時のことは容易に思い出せる。

暗闇の中でもわかるほど顔を赤くしていた。それでも逃げずに好意を伝えてくれる彼女が愛おしくて、、、、


「初めては俺からしたんだっけな。」

俺は自分の口元を軽く指で撫でた。

なんでもない動作なのだが、少しだけ鼓動が早くなったのを感じた。

ただ、その感覚は悪くないなと思った。


「それから孤児院の借金を肩代わりとかしたっけな?」

ちょうど金持ってたしな。

流石の借金取り連中も笑顔で3倍支払った上に武力で脅せばそれ以上突っかかってこなかった。


そこで俺は教員の真似事をしていた。

冒険者でどう言ったことができるといいかとか教えた。


「まさか臨時講師役に人気を全てかっさらわれた時は微妙に凹んだっけ?我ながら大人気ないな。」

リアーゼが特に人気が高かったな。同じくらいの子供っていうのが要因かもしれない。

冒険者志望組でない奴らは全員リリスを頼ってたみたいだ。


レオンが事あるごとに突っかかってきたのが今になっては懐かしい。

それほど時間経ってないけど。


「それから戦争に行って・・・魔王の不意打ちを食らった。」

ベルフェゴールクラスの魔王が三体も来るとは思わなかった。


自称禁忌の魔王の骨魔王、白い魔王、あと獅子の魔王。

どれも強敵ぞろいで俺たちは必死に戦った。

でもこっちの戦力が少しずつ削られていく。その時、みんなどこかに飛ばされた。



そして今俺は神国で温泉に入ってリラックスしている。

仲間とはノア以外と離れ離れだ。

だが、俺は仲間たちを特に心配はしていない。


リリスがどうにかなるとは思えない。

エレナがリリスと離れているとは思えない。

あの律識が無事でないはずがない。

リアーゼは賢い子だ。


きっとみんな生きている。


これがこの世界にきた直後だったらここまでゆっくりする心の余裕はなかっただろう。

助けなきゃ、なんて思ってあてもなく走り回ったと思われる。

ノアと寄り添うことになってから、俺の心には余裕ができていた。


張り詰めた糸は簡単に切れてしまう。だからこそ、それを緩めてくれる存在は大切だ。

俺はノアと出会えたことに感謝しながら湯船に身を沈めていた。





次回は女湯の方の話しです。

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