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284 争奪戦と調達


「なるほど、本当に何もなかったんだね?」


説明が終わるとノアが納得したように一度頷いて俺の上からどいてくれた。

見ている限りだと怒っているようではない。


「そうだよ。ただ単に助けて治療したのに恩を感じて親しくしてくれているだけだと思う。」


「わかったよ。ボクは信じてたからね!それじゃあ今日はもう疲れちゃったしそろそろ寝ようよ!明日も早いんだから、覚悟してよね!!」

まだ寝るには早い時間だとは思ったが、街の人間が避難していて食事などはできそうにないし疲れたのは事実だ。


それに、早く寝ないとノアの朝についていけない。


俺はその言葉に従うように眠る準備をする。


ノアはその間にベッドの腕にダイブして、エンドルシアは治療の時に使って血まみれになってしまったベッドに寝そべった。

そしてエンドルシアは譲るようにスペースを空けてくる。


「ん、旦那様。ここ使って。」

そして俺に向かって手招きをした。

その呼び方はどうにかならないんだろうか?


「わー!ダメだよタクミはボクと一緒に寝るんだから!!ほら、こっち来て!!」

ノアが慌てたようにベッドの上を半分あけて対抗する。

そして俺の方を見て「ボクと一緒に寝るよね?」と言った。


「どっちと寝るかは、旦那様が決めること。でも、私の方が抱き心地はいいと思うから、お得だよ。」

エンドルシアのセールストーク的な何かが炸裂した。

確かに、彼女の体は女性として出るべきところは出ていて引っ込むところは引っ込んでいる。

その言葉に嘘はなさそうだ。


「そんな言葉に騙されちゃダメだよ!タクミはボクの方がいいよね!!?」


「旦那様。どっちと寝るの?」

ふむ、この空気で「俺は床で寝るよ」とか言おうものなら全世界から「優柔不断野郎」と言われそうだな。

それでなくてもこいつらは納得しそうにない。


「タクミ!自分は床で寝るとかなしだからね!!」

ほら、ノアが機先を制して来た。

これで逃げ道がなくなったわけだが、恐れることはない。

そもそも俺の答えなんか最初から決まっているのだ。


「ん、明日からは2つ部屋をとるとかするとして、今日は俺はここで寝させてもらうよ。いいか?」


「やっぱり、タクミはボクを選んでくれたんだね。」

俺が選んだのはノアの方だ。そこに迷いはなかった。そもそも、俺の頭に選択肢なんてものは浮かんでなかったのだから。


ノアと誰かを一対一で天秤にかけてノアに傾かない方がおかしいのだ。

俺はいそいそと彼女のいる方のベッドに足を突っ込んだ。

すると彼女は俺に密着するように抱きついてくる。

嬉しいのだが、お前は自分が血まみれで血なまぐさいことを思い出した方がいいと思うぞ。


「む、どうして?私の方が胸は大きい。」


「女性のステータスは胸の大きさだけじゃないってことだね!タクミはボクの良さがわかっているのさ!」


「もしかして旦那様。小さい方が好き?能力が戻ったら胸をしぼませられないか試した方がいい?」


「いや、やめとけ。俺は大小関係なく愛せるから。無理に体系を変えて負担になることはない。」


「わかった。旦那様がそういうなら。」


「むっ!なんでそこはちょっといい雰囲気出そうとしてるの!!?いいから、もう寝るよ!!」

こうして俺たちはこの長い1日を終わった。

それぞれいろいろなことがあったからだろう。あれだけ騒がしかったのに、寝ると決めたら寝付くのはそう時間がかからなかった。












朝。

例によって暗いうちからノアに叩き起こされる。

今日は以前みたいに接吻ではなく頭突きだった。

多分起こし方は完全にその時の気分で決めているのだろう。

「おはようノア。」


「おはようタクミ。今日は2人でデートするんだよね!!」


「デート?あぁ、ショッピングに行くってことだし一応デートにはいるのか?」


「私も、忘れないでほしい。」

意外にもエンドルシアはすぐに目を覚ました。ノアの生活習慣に初見でついていけるのは素直にすごいと思った。

律識なんて未だにきついみたいだし、リリスはもう諦めている様子だ。


「む、言っておくけど、タクミは絶対に渡さないからね。」


「大丈夫。一番は譲る。私は2番目で良い。」


「わかればよろしい。」

いや、できればわからないでほしい。正直な話2番目の妻になるとか言われても困惑するだけだ。


「じゃあそろそろ外に出る準備をしようか・・・って、俺たち今何も持ってないからそんなもの必要ないか。とりあえずノアは俺の上からどいてくれ。」

ノアは俺を起こす際に腹の上に馬乗りになり服の胸ぐらを両手で掴んだ後頭に頭突きして来た。

その状態のままだったので彼女は未だに俺の胸ぐらを掴んだまま馬乗り状態だ。


「あ、そうだね。その前にーーーーーちゅっ。えへへっ、おはようのちゅーだよ。」

ノアは両手で俺の頭部を引き寄せて唇を重ねて来た。

俺は無抵抗でそれを受ける。


「ん、ずるい。私も。」


「ダメだよ!君は良いかもしれないけど、タクミが嫌がるでしょ!それにボクもまだ君を認めたわけじゃないからね!」

ベッドから身を起こしてエンドルシアが近づこうとしたのをノアが制した。

するとエンドルシアはすこししゅんとして俯いた。

だが、次の瞬間には普段通りの顔に戻っていた。


「わかった。でも、旦那様から求められたら、する。」


「わーっ、タクミ、その人に手を出したらダメだからね!!?やるならボクでやって!あと、その旦那様っていうのもダメ!」


「じゃあ、なんて呼べば?」


「普通にタクミとかで良いから、とにかくそれはダメ!!」



俺たちは朝から賑やかだった。

普通こんな朝早くから騒いでいたら苦情の1つも来そうなものだが。


俺たちはノアとエンドルシアの話がひと段落したところを見計らって街に繰り出した。





避難した住民は昨日の夜のうちに自分の家に戻っていたらしい。

朝早くではあったが、人っ子一人見ないわけではなかった。

しかしまだ店は開いていない。

だから俺は先に冒険者ギルドに向かい昨日の大量討伐の報酬を受け取った。

しかし倒した魔物全ての報酬を受け取れたわけではなかった。


集まった魔物の中にはギルドで討伐依頼が出ていないものがいたのだ。


だが、それでも当面の軍資金は手に入った。

とりあえず内訳と合計はこうだ。

ゴブリン9体 4500G

ホブゴブリン35体 36、000G

オーク64体 84、000G

ハイオーク32体 128、000G

オーガ22体 110、000G

ブラックオーガ2体 124、000G

ダークウルフ21体 63、000G

アークスパイダー10体 100、000G

エルダースケルトン 13体 96、000G

スピアファルコン 1羽 9、000G

スライム 101匹 303、000G

白い人形 29体 0G

その他 44体 0G


討伐総計 383

合計報酬金額 1、057、600G


ちなみにノアの方の討伐総計は102合計報酬金額は30万ほどだったらしい。

彼女には浮いている敵を狙いつつ俺のサポートをしていたから地上をくる大半の魔物は俺が倒していたためこうして報酬が偏っているのだ。


「よし、これで小金持ちだな。」


「小金・・・?これだけあれば数年はソコソコの生活ができる、よ?」


言うなエンドルシアよ。

俺だってバカじゃない。金銭感覚がおかしいことも気づいている。

それもこれも一度魔王討伐でインフレした金額を手にしたのが悪いのだ。


それに、装備品は高い。

百万程度下手したら一瞬で吹き飛んでしまうくらいの装備だって普通に売っているだろう。

そもそも俺はそう言うものを知っている。


例えば、リアーゼが持っている見た目以上にアイテムが入るようになっている鞄とか、記憶が正しければ1000万くらいした記憶があるしな。


シュラウドの持ち運び可能な家とかもそんな感じだ。

あと、リリスに渡した服ーーーというか防具とか。


ファンタジー世界におけるお金とは少しずつ使い安定した生活を手に入れるものではなく、パーット使って溶かしていくくらいが正しいーーーーはずなのだ。


だから孤児院にいた時は金に糸目をつけずにいろんなことをやった。そのせいで懐が寂しい思いをしているが、別に後悔はしていない。


「よーしノア、軍資金は手に入った。そろそろいろんな店が空き始める時間だろうしまずは服を揃えるぞー!!」


「おー!!」


それに、なくなったらまた稼げば良いのだ。

今日もらったお金は昨日1日の仕事で手に入れたものだ。

毎度この金額が入るわけではないだろうが、ある程度の金ならノアがいる限り稼げるのだ。


「・・・・私の旦那様 (予定) ってもしかして結構変な人?」

エンドルシアが何か言った気がしたが、俺には聞こえなかった。



買い物終わりくらいまで書こうと思ったけど一度ここで区切らせてもらいます。

次回更新は今日中ーーーか、もしくは日をまたいで少ししたくらいになる予定です。


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