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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第1章 少女の陰と手にしてしまった罪
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28 少女の過去と忘れた言葉

私の人生に影が差したのは、もうずいぶんと前の話になる。


当時、私達家族は、貧しいながらも幸せな生活を築けていたと思う。優しい母に、家庭のために頑張って働き続ける父、不便なことは多々あったが、私はそれを不自由だと思ったことはなかった。


「正しい心を持っていれば、いつかきっと、本当に困ったときは神様が助けてくれるわ。」

これが母の口癖だった。ことあるごとに、母はこの言葉を口にする。

「がはははは、そうだなあ。俺も何度も助けてもらった覚えがあるなあ。」

それを聞いた父は、決まってそういうのだ。

何度も助けてもらったというのは魔物との戦いでのことだろうか?


父は冒険者を営んでおり、その仕事で幾度となく大怪我をして帰ってきたことがあった。

その度に、父は「神様のおかげで九死に一生を得た」なんて口にしたものだ。


そんなこんなで、私たちは慎ましく暮らしていた。


だが、そんな生活は突然終わりを告げる。

父が仕事の最中、冒険者仲間をかばって他界してしまった。


私たちの生活費は、すべて父が稼いでいた。そのため、父が他界した後、私たちの生活が激変したのは言うまでもないだろう。

――――――ガン!!


扉が強引に蹴破られた。

「おらぁ!!今月の分を取り立てに来てやったぞ!!」

相手を威圧する、いかにも借金取りといった男が、私たちの家に入ってくる。

「すみません!!もう少しだけ、あと、三日だけ待っていただけないでしょうか_?」

母が懇願する。だが、現実は甘くない。


「あぁ!?そんなこと認められるわけないだろうが!!早く払えよ!!」


「三日後が払えるんです!!どうか、御慈悲を下さらないでしょうか!?」


「はぁ、そこまで言うなら仕方ねえな・・・それなら・・・」


「待っていただけるんですね!?助かります!!」


「この娘はもらっていくな?」


私のほうに、男の手が伸びてくる。私はそれから逃れようとするが、腰が抜けてしまいその場から動くことができない。


「■■■■■!!早く逃げなさい!!」

母の声が家の中に響く。だが、依然として私の体は動くができない。

どんどん迫ってくる男の手―――は突然私の視界から外れた。


「■■■■■!!逃げなさい!!」

声の発生源には、男を突き飛ばした体勢のまま叫ぶ母の姿。母が私のことを助けてくれたみたいだ。だが、それも一時的なもの。


「おい、お前わかっているんだろうな?」

男が母の髪の毛をつかみ、引き寄せ、暴行を始める。


「ああ!!やめて、お母さんが!!誰か、助けて!!神様・・・」

――――――その日、母はこの世を去り、私は奴隷となった。この時からだろう、私の視界が、薄暗く、まるで影の中にいるような感覚がし始めたのは・・・・・






「おらあ!!早くしろ!!奴隷のくせにちんたらやってんじゃねえよ!!」


私を買ったのは、荒くれ物の5人組だった。

その者たちは、私を買ったその日から、私をこき使い続けた。

必死に頑張っても、私が得られる報酬はほんのわずか、その日の食事がギリギリできる程度のものでしかない。

いくら完璧に仕事をこなしても、得られるのは称賛の言葉などではなくむしろ、私を虐げる言葉しか投げかけられなかった。


―――――ーどうして?こうなってしまったのだろうか?

その思いだけが、私の中に渦巻いていく。そんなこと考えても、もうどうしようもないことはわかっている。

だけど、何か1つでも心のよりどころを持っていなければ、この生活に耐えられそうになかった。

「正しい心を持っていれば、いつかきっと、本当に困ったときは神様が助けてくれるわ。」

その言葉を忘れてはいなかったが、今の生活の中で、それにすがる気にはなれなかった。ただただ、自分をこき使う5人への憎悪が、唯一の心のよりどころだった。



そんな歪んだ心を持った私を神様は助けてくれないだろう。











そんな私に、ひとつの機会があらわれた。

商人ギルドの一角で、いつものように暴行を受けそうになる私、その私を助ける人があらわれた。

その人は木の剣と布の服という、みすぼらしい姿ではあったが、その実力は本物で、その場で私を救うことに成功した。

彼らは私を助けてくれたのにもかかわらず、商人ギルドの人から連れていかれてしまったため話をすることはできなかった。

だけど私は確信している。私は彼らとすぐに再開することになることを・・・・




「おい、お前は明日あの冒険者を森のダンジョンまで誘導しろ!!」

私の予想は正しかった。5人のうちのリーダー格の男が、その日のうちにそう言った。

男が言うには、あの2人を罠にかけるために私に働けという話だった。


「はい、、、やらせていただきます、、、」

私はそれを了承する。そもそも、私に拒否権はない。



次の日の朝、私は街の門の前に待ち伏せをしていた。ここには日が昇る前に来ているが、まだあの2人は来ていない。

朝早くからここにいるため、かなり眠い・・・・早く来てくれないかな?


薄暗い視界の中、私は2人を待ち続けた。

次の話もこの過去話です。


私が物語を描く→それを見た読者様がブックマークをする→私のテンションが上がる→物語を描く→


最近、こんな感じのサイクルが形成されています。

いい傾向ですね。(削られ続ける自分の体力から目をそらしながら・・・)

とにかく、ブックマークをしてくださっている方々、ありがとうございます。

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