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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第6章 偽の正義と熾烈な戦い
245/293

245 世界と現実

これ書く前に作者が感想欄で大ダメージを負ってしまた為、今回は短くまとめて次回多めに書こうかなって思っています。



俺たちの激闘の最後は、拍子抜けするほどあっさりとしたものだった。


『魔術師』『隠者』『死』の3人を戦闘不能にして自由になった俺たちがリリスの手助けをするために向かったところ、それを見た『悪魔』が即座に降参を宣言したのだ。


彼は「これ以上やってもどうせ負けるだけ。それなら痛い目見る前に引いたほうがよっぽど賢い。まぁ、今度すぐにでもリベンジさせてもらうよ。

」と言った意味の言葉をツラツラと述べて戦場を去って行った。


それを見た審判が俺たちの勝利宣言をしたというわけだ。

そして用がなくなった俺たちは後の戦いの邪魔にならないようにすぐに客席に戻った。


途中治療室的なところに案内されそうになったがそれは辞退しておいた。

俺以外怪我をしている様子はなかったし、俺の傷も放っておけば治りそうだった。


それなら1人治療室に連れていかれるよりは、一緒にライガの試合でも見たほうがいいと思ったのだ。


「おっ、匠お帰り。案外余裕っぽそうだったな。」


「そんなことねえよ。見てたならわかると思うけど綱渡りの勝利だ。」


「そうかい?俺にはかつて『加虐的、ビフォーアフター』と言われた匠らしからぬ普通の戦い方だったから、手加減しているのかと思ったよ。」

律識が俺たちが観客席に戻るや否や、そんな俺の過去のことを掘り返す。


『加虐的、ビフォーアフター』というのはVRでの対人戦メインのMMOに潜っていた頃に付けられた異名だった。

その名前の後ろ半分の由来は、その時の俺のプレイヤーネームが『開放感が足りませんねえ』だったことから来ている。


前半分はやりすぎるからだと。


心外だ。俺はルールの中で必死に戦い抜いただけだったのに・・・・


そんな過去を思い返していると、ついにライガたちが舞台に入場して来た。

「そんなことよりライガ達だ。あいつは相手を知っていてそれで勝てる見込みは薄いと思っているみたいだ。相手側もその実力を疑っていないのか1人だけで戦わせるらしい。律識はどう見る?」


「えっと確か『世界』のエンドルシアだっけ?よく知らないけど強いと思うよ。」

律識はそれが当然だという。

彼は当然だが今からライガが戦う相手のことは知らない。


だがエンドルシアを強いと言い切る律識の目には確固たる自信があるように思えた。


「その根拠は?」


「そりゃあ、タロットカードにおける『世界』の意味が完成とか理想とかそんな意味だからさ。さっきから見ている限り、大アルカナと少しは関連性を見出せる力を持っていることは確認できたんだし、『世界』もそれ相応の力を持っているはずだよ。」

律識は全ての試合を客観的に観察していた。

そんな彼が今までの敵との関連をつけながらいうのだ。


多分それは正しい。


そして噂をすればなんとやらーーーー初めから出てくることがわかっていたから違うなーーーという風にライガが入場したのとは逆側から一人の女性が舞台に歩いていく。


体はほっそりとしているが、その女性らしさを強調するように大きめの胸が一歩歩く度に小さく揺れているようだ。

また、大きな特徴といってもいいほど伸ばされた髪の毛は1つにまとめられており肩にかけられている。

その髪は観客席から見ても非常に目立つ白色だった。


「タクミ?君はあんな感じにおっきいのがいいの?」

気づけばノアがジト目でこっちを見ていた。

女性は男性の視線に敏感だというけど、他人への視線もそうなんだろうか?


「別に?細めの体に対してちょっとアンバランスだなって思っただけだよ。」

ともあれあんまりじっと見ているとノアの機嫌を損ねることがわかった。

俺はこの場は適当に言い繕い、視線をライガ達の方に向けた。


「匠、先に言っておくけど浮気はやめたほうがいいと思うよ?」


「いや、なんの話だよ。」


「ああやって見た目に惑わされる匠はそのうちしそうだから、一応忠告をと思って。」


「・・・タクミにぃ、不誠実?」

くそぅ、ちょっと女性を観察しただけで浮気扱いとかやってられんぞ。

そもそも律識、お前もエレナとリアーゼどっちも追いかけているじゃないか!!

俺は心の中で叫ぶ。


律識はその叫び声が聞こえたのか少し真面目な声色で言った。


「それはそれ、これはこれだ。」

はっ倒すぞてめえ。


・・・律識が少し信じられなくなってきた。


「ねえ貴方達?楽しく会話するのはいいけど、そろそろ始まるわよ?一応見てあげなくていいの?」


おっとそうだった。


リリスの言葉通り、試合開始の鐘が盛大に鳴り響いた。

泣いても笑ってもこれが最後の一戦、この戦いを持って今回の王国と帝国との戦争は終わる。


たとえ王国側が泣くことが決定していても、この一戦に手を抜くことはあいつらはしない。


今、王国の勇者パーティと『世界』のエンドルシア・ライフフォールンとの戦いの火蓋が切って落とされた。







【ライガ視点】


『世界』のエンドルシア。


この名前を知らないという人物は人類国家に属している限りいないだろう。

いや、下手すれば魔族の国にもこの名前は轟いているかもしれない。


彼女には色々な噂がつきまとっている。

曰く、たった一人で万の軍勢を殲滅した。

曰く、魔王連中も『世界』は敵に回さない。

曰く、彼女が住む山はおおよそ生き物の住むべき場所ではない。

曰く、邪教徒が幾年もの準備を重ねて、大量の使者を出しながらも呼び出し、制御に失敗した大悪魔をたった一人で殴り殺した。

曰く、『世界』は不老である。

曰く、『世界』は不死である。

曰く、曰く、、


どれが本当で、どれが嘘なのかはわからない。

世界中の人間が、彼女の存在を疑うことはせず、それでいて彼女のことをよく知らないのだ。



「だけど、こうして対峙してみるとそのどれもが本当でもおかしくないって思えてきたよ。」

目の前にしただけで感じる威圧感。彼女はただこちらを見ているだけなのに、こちらは思うように動けない。


「ライガ、気をつけなさいよ。あれには荒唐無稽な噂ばっかり先行して、実際に何をしてくるのかわかったもんじゃないんだから。」

リオーラが小声で忠告をくれる。

ああ、わかっているさ。彼女はこちらが一瞬でも手を抜けば、油断をすれば一気に持っていかれてしまう可能性もあるのだと。


あれはもう、人間相手と考えて戦っちゃいけないな。

殺す気でやらないと、逆にコロッと殺されてしまいそうだ。


対峙した時に感じられる圧迫感が、俺にそう警告してくる。だから俺は迷わず指示を出す。

「ダミアン、リオーラ、アイナ!!フォーメーションは鬼殺しジャイアントキリングで行くぞ!!」


「「「了解!!」」」





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