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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第6章 偽の正義と熾烈な戦い
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239 ひろうと再会

朝、今日は待ちに待った戦争当日だ。

いや、別に待ってはいないな。むしろこの日は来ないで欲しかった。


でもきてしまったものは仕方がない。

別に俺はこの国の人間としての誇りはないが、抜擢されたからには全力で戦ってやろう。


俺はまだ薄暗い中体を起こす。

当然ながらノアも起きていて、俺が寝ているベッドの端に腰掛けていた。


「おはようタクミ!ついに今日だね!」


「そうだなー。はぁ、まだ昨日の疲れが残っていてだるいけど、まあ問題はないな〜。」

本当、昨日は疲れた。

昼食を終えてから部屋でエレナに折り紙を教えていた。

当然ながら日本のように質の良いものではないが、なんとか紙のようなものを入手したので披露してやったら、エレナが食いついたのだ。


彼女は見た目通り、ああいったことが好きだったみたいだ。

そして繰り出される俺の数々の技。おおよそ紙で作ったとは思えない作品の数々!!

まぁ、良い歳してはしゃいだ結果昨日は疲れて眠ってしまったのだ。

え?ロミオ?あー、そんなこともあったね。


面倒ごとはヴィクレアに押し付けたし、聖水の処理は律識1人にやらせたから問題なし。

半魔に聖水がどのくらい効くのかは知らないけど、今後はできるだけ触らないほうがいいだろう。


部屋に備え付けられている机の上を見ると、昨日俺が作った紙づくりのフェニックスが翼を広げている。


・・・・我ながらやりすぎたな。

エレナは不器用なのかあれを作れるようにはならなかった。

まぁ、俺も不器用な奴があれを作れるようになるとは思っていない。


「ほらほら、ぱぱっと準備して!みんな!!起きて!!もう朝だよ!!」

ノアが部屋の中で大きな声を出す。

昨日はみんなここで眠っていたため、この部屋に全員揃っている。


ベッドの振り分けは俺とノアが同じベッド、リリス、エレナが1つ、律識が1つ、リアーゼが1つで計4つ全て使っていた。

ノアはまずリアーゼをゆすり始めた。


俺は律識を起こす。


「う、、うぅっ後、、五分。」


「おら律識、定番みたいなこと言っていないで早く起きろ。」


「う〜ん、俺に目を覚まして欲しければ、世界に散らばる7つの幼女を・・・」

俺は律識をベッドから突き落とした。寝ぼけているのか彼の頭の中で思考が全く定まっておらず、おかしなことを口走っていたからだ。


全く、寝言が定番のものでなければ寝ていいと言う意味ではないぞ。


「ぐはっ!!?はっ、俺のロリゴンレーダーは!!?ぐはぁ!!」

一瞬覚醒したように見えたが、まだ寝ぼけていたので軽く蹴飛ばしておいた。

もう少ししたら意識が覚醒するだろう。


俺は今度はリリスを起こす。

ちょうどノアもリアーゼを起こして合流した。


「リリス〜起きろー。」

「リリスー、起きないとエレナちゃんをもらっちゃうよー。」


「えっ!!?エレナちゃん!!大丈夫!!?」

最近のリリスにはこれが効く。

いくら寝坊助の彼女でも、優先順位というものは存在しているらしくその上位に値するのがエレナの身なのだ。


「ふっふっふ、遅かったね!エレナちゃんはすでに私がいただいた!!」

ノアは寝ているエレナを抱き上げて、リアーゼが起き上がって誰のいなくなったベッドの上に立つ。

その姿はどこか誇らしげだ。


「なんだぁ、、姉妹で仲良く遊んでいただけなのね。よかったわ。」

だが、それを見たリリスは以前ほどの反応を示さなくなっていた。

おそらく、なども使用している手口であるということと、ノアがリリスの眷属こどもになったことが原因だろう。

それでも一応ちゃんと起きてはくれる。

万が一のことを考えているのだと思うと、彼女の子へ対する思いは本物なのだろうと察せられた。


「さて、みんな起きたな。今日は誰も待っていない戦争の日だ。正直、なんで呼ばれたかは知らないけど呼ばれたからには戦わなきゃならん。皆の者、気を引き締めていくように!!」


「おーー!!」

俺の号令に、返事をしてくれたのはノアだけだった。







起床から時間が経ち現在は午前9時(太陽の高さから推測)朝食も朝イチで済ませた俺たちは部屋にて待機している。

そこで、俺たちが集まっている部屋を誰かがノックする音が聞こえた。


「はーい。どなたです?」

「おう、俺だ!」


ドアの外から野太い声が聞こえてくる。

「えっと、この声はダミアンさんですか?何か用事で?」


「用事も何も、もう宿を引き払うから出てきてくれってよ。そもそも戦争開始は正午からだろうが。流石にもうのんびりできねえぞ。」

それを聞いた俺たちはあらかじめまとめていた道具を全て持って部屋を出た。

俺とノアの荷物はリアーゼの魔法鞄、エレナの荷物はリリスの魔法鞄に入っているので持ち運ぶものは少ない。

せいぜい各々の武器くらいだ。

ちなみに、律識は私物をほとんど持っていない。武器は自分で出せるし、回復アイテムは俺たちが持っているからな。

加えて防具もつけない律識は基本的には手ぶらで活動しているのだ。


部屋を出ると宿のフロントにはもう既に他のメンバーが揃っていた。

俺たちが一番遅かったみたいだ。


あの一件以来、『銀爪』の奴らが絡んできたり変な視線を送ってくることはなくなったが、なぜか今度はロミオが険悪な目を向けてくる。

原因は昨日のことだろうが、そもそもあれ俺たち悪くないよね?


「おお、タクミくん!!遅いじゃないか!!」

エリックは今日も平常運転。うちのパーティのノアもそうだけど、いつも同じ調子で接してくれる奴がいるとどこか救われるな。

初めはバカな奴くらいにしか思っていなかったけど、最近では少しだけ好感が持てる。

まぁ、問題があるとするならばその後ろに控えるオリビアが鋭い視線を送ってくるということなんだけどな。


まぁでも、その視線も以前に比べたら優しいものになっている。


「それじゃあ、宿も引き払ったことだし早速会場に行こうか。これ以上遅くなると人が混みすぎて動けなくなるからね。」

此度の戦争、闘技場でやるということもあって観客を入れるらしい。そしてその入場料と周りの売店で稼ぎを出すんだと。

いやー、ちゃっかりしているね。

一応は国の行く末を決めなくもない戦いなんだが、支配される側の市民などはあんまり気にしない。

どっちかでいうと娯楽として楽しむ程度になるんだろうな。


ライガ先導の元、俺たちは町の中央にある闘技場に案内された。

そこからはそこの従業員のような男が出てきてその任を引き継いだ。


今更だけど、どうして勇者が道案内をしているんだろうか?それだけ人員不足?いやでも別のやつでよかっただろう。



「では、時間までここでお待ちください。」

そして待機室に案内された。大きな部屋であり、今日ここにいるメンバーが全員入ってもまだまだ余裕があるほどだ。

闘技場の大きさといい、いったいいくらここに予算がかかっているんだろうな。

何もすることがないとそんなところばかり目に入ってしまう。


俺は自分の仲間で1区画を占拠してそこで適当な話をしながら時間を潰していた。

頼めば飲み物等を持ってきてくれるのは非常にありがたい。それを聞いたノアとリリスが大量に注文をしようとしたのだが、戦いの前に腹にものを入れすぎるのはいかがなものかと思ったので羽交い締めにしてやめさせた。


そして1時間ほど経った頃であろうが?


突然俺たちの待機室に入ってくるものがいた。


「おーっす、お邪魔するぜ。」

その男は戦い前のピリピリした空気 (俺たちのパーティは除く) をぶち壊す軽い感じの声を上げる。

入ってきたのはどこか見覚えのあるおっさんだ。

そう、西部劇ガンマン風の格好をしたーーーーーー〜


「あれ?ダルク?こんなところで何やってんだよ。」


「おう、やっぱりお前らもいたんだな。何、ちょっと暇だったから遊びに来たってだけだ。」

そいつの名前はダルク。以前ルイエの街で職務放棄して無謀にも律識にカードゲームを挑んだ帝国軍人だった。

あれかな?こいつも戦争に駆り出されているのかな?

確かリアーゼが謎の帝国最強の騎士団所属とかなんとか言ってたし。


そんな感じに軽く言葉を交わす俺たち。

だが軽い雰囲気を出しているのは俺たちのいる一角だけだった。


ふと周りを見てみると、敵国の男と親しげに話している俺たちに思うところがあるのかじっとこちらを見つめる奴らの姿。

特にロミオだな。朝から放たれていた険悪なムードがさらに強くなっている。

逆に一番気にしていないのはエリックか?ライガとダミアンも割と普段どおりだ。


勇者パーティは一度俺たちが一緒にいるのを見ているからな。


ただ、やっと少し柔らかくなったオリビアの視線がまたきついものに戻ってしまった。ちくしょう、何しやがるんだダルク!!

『銀爪』も微妙な顔をしていたが、飛びついてくる様子はない。

少し油断した隙に結構状況が悪くなっているな。なんとかしたほうがいいかもしれない。


そんな俺の気をしってか知らずか、ダルクはある程度話し終えると満足したように立ち去ってしまった。

「じゃあまあ、当たった時は全力でやろうや。」

後ろ向きで手を振る姿はどこか様になっていた。


ダルクがいなくなったことで、止まっていた空気が動いた。


「うおおおおおお!!?先ほどのは帝国の騎士『運命』のダルク殿では!!?君は彼の知り合いだったのか!どうして教えてくれなかった!!?」

意外にも、一番初めに動いたのはエリックだった。彼は俺たちのところに一足で接近すると、俺に抱きつくようにしてくる。

俺は即座に振りほどこうとした。だが、


「タクミ君。あまりこういう場で敵国との戦士と親しげにするのは良くないぞ。僕も彼には少なからず憧れはあるが、ああ言ったかなり親しげな行為は撮り用によってはスパイと囚われてしまってもおかしくはない。ここに居るものだけですぐどうこうなるというわけではないが、もし万が一国王様に見られておりそう判断された場合、、君は国中から追われるかもしれない。」

俺にだけ聞こえるくらいの大きさで真剣な声色でそんなことを言うので、すぐには振り払えなかった。


エリック、今までバカと思ってすまなかった。

おそらく一番初め、ダルクが退出すると同時に動いたのも他の奴らへの牽制があったのだろう。

今更ながら先の行動の思慮のなさは我ながら驚いた。


「エリック、忠告ありがとう。感謝するよ。」


「うむ、大いに感謝してくれ。あ、あとダルク氏を紹介してくれ。」

う〜ん、国王様?おたくの国の貴族がこんなことを言っておりますけど、そこのところどうなのですか?



戦争が始まったのは、ダルクが出て行ってから1時間が経過した頃だった。



最近更新が遅いのは、ひとえに作者が新しい作品を作り始めたからです。

次のは今回みたいなパッと思いついてすぐにーーーーという感じではなく、ちゃんと設定やら展開やらをある程度考えて発車するつもりなので投稿はまだ先になりますが、一応報告をと・・・

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