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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第6章 偽の正義と熾烈な戦い
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230 線引きと邂逅

注意 前半に少しだけ砂糖が多めに使用されております。


朝、どことなーく息苦しさを感じた俺は目を覚ます。

瞼を閉じたまま探ってみると、どうやら俺の口は塞がれてしまっているらしい。それに何か、俺の上に乗っているみたいだ。


幸い、鼻の方は塞がれておらず呼吸自体は可能だ。当面、こちらを害する気持ちはないのだろう。


さて、これくらいにして起きるとするか。


「ん?ぷはぁ、、おはよータクミ。」


「随分と刺激的な起こし方をしてくれるな。ノア、おはよう。」

俺が目を開けるとそれに気づいたノアが俺の上から退散した。

当然、その際俺の口を塞いでいたものも取れる。彼女は頬を赤らめ、どこか満足したような顔で俺の方を見ていた。


隣のベッドを見ればまだ律識が寝ている。

窓の外もまだ薄暗かった。ぃつもの朝だ。


「えっと、、ダメだったかな?それだったらごめんね?」

彼女はこちらからチラチラと目をそらしながら、伺うような表情を見せる。

自分のやったことに、背徳感でも抱いているのだろうか?


「別にダメってわけじゃないし、俺としてもちょっと嬉しかったけどな。」

俺は自分の唇を軽く撫でた。


「そ、そう?」


「それよりノア、ちょっとだけはっきりさせておきたいところがあるんだけどいいかな?」


「何かな?はっきりさせておきたいこと?」

ああそうだ。彼女にとってはどうでもいいことかもしれないが、これをはっきりさせるのは俺にとっては急務と言えた。


「うん、短刀直入に聞くけどノア、これってどこまでセーフなの?」

すまないノア、朝から少しだけ生々しい話をすることになってしまって。

ただ、きっぱりと線引きだけは教えてくれ。じゃないとやり過ぎてしまいそうだ。


俺は目の前で顔を赤らめる少女を前に、ドギマギしながらそう質問した。

彼女は赤い顔をさらに赤くして、少しもじもじしながら切り出す。


「えっとね、チューするのは・・・・セーフってことで。」


「そうだな。これがアウトならルール違反も甚だしいからな。」


「それで、、一緒のベッドで寝るのもいいよね?」


「ああ、それももうやってるしそれ自体に特に変なことはないしな。」


「で、一緒にお風呂とかも、、、、えっと、、ギリギリオッケーだよ。」


「・・・・いいのか?」


「・・・ぅん」

ノアはわからないくらい小さく頷いた。恥ずかしいのを全力で我慢している感じだった。

あれ?そこオッケーなの?

いや、そんなことしたら俺の方が歯止めが効かなくなりそうだから遠慮した方がいいんだろうけど。


「で、でも!!それ以上はエッチなのはダメだからね!!」

そして恥ずかしさを紛らわすためか、一際大きな声でそう言った。

わかったよ。これからはその範疇に収まるような付き合いをさせていただこう。








「おっきろー!!朝だよー!!」

最低限の確認を終えたところで俺とノアは律識のベッドを揺らす。

この野郎、もう朝だっていうのにまだ起きる気配はない。確かに朝というには少しだけ早い気がしないでもない。

だが、もう3月も一緒にいるのだからそろそろ慣れて欲しい。


「ぅぅうううううん、、あ、後、5歳若ければ・・・うううう。」

律識のやつもベタな寝言だ・・・・あれ?今こいつなんて言った?

どうやらまた夢の世界にいるみたいだ。律識はよく寝言を言う。そしてその内容は彼の性癖を隠そうとはしない。


「ほーら!!君も早く起きる!!起きないとリアーゼちゃんから嫌われることになるよ!!」


「えっ!!?リアーゼちゃんに嫌われる!!?そしてその蔑んだ目を俺に向ける!!?うっ、前半はきついが後半はこれはこれで・・・・否!律識、起床します!」

あ、起きた。

律識も起きたことだし、隣の部屋で寝ている奴らも起こしに行くしよう。

リリスとか、たまに駄々こねて起きてこない時があるからな。














隣の部屋の連中も無事に起こすことに成功した俺たちは、ノアの意見の下食堂に足を運んだ。

「う〜ん、まだっぽいね。」

しかしそこには誰もいない。そりゃそうか。感覚が麻痺し始めてきているが通常、この時間に人はとんど活動していない。

イアカムの宿なんかはこの時間でもなんとか食事ができたのだが、逆に言うとあそこが異常だっただけだ。


あいつ、いつ寝てるんだろうな?


朝は早くから食事の準備、朝食が終わったら宿の受付、そして昼食の準備、受付、準備・・・

日本人もびっくりの社畜っぷりを発揮しているな。

誰見ない食堂を見て俺はそんなことを思った。


「まだ空いていないなら仕方ないな。一度部屋に戻ろうか。」


「そうだねー。何時頃になったら朝ごはんを食べられるかな?」


「う〜ん、後二、三時間すれば大丈夫だろう。その時になったらまた降りてこよう。それまで部屋で待機、時間になったらそっちの部屋にはまた俺とノアが呼びに行くよ。」


「ええ、わかったわ。じゃあお母さんは二度寝しているわ。ふわぁ・・」

リリスはあくびをしながら部屋に戻っていく。エレナもそれを追いかけるように戻った。


そしてリアーゼもゆっくりと部屋に戻って行った。

やっぱり低血圧のリリスには朝は辛いのかもな。二度寝をすると言った彼女の発言を反芻しそう思った。


「じゃあ俺たちも戻ろうか。部屋に帰って特にやることがあるわけでもないけど、ここに立っているよりはマシだろう。」


「あ、それならタクミ!!外を見にいかない!!?」


「それもいいかもな。じっとしてたら寝付いてしまいそうだし、それでもいいと思うぞ。」


「決まりだね!2時間ほどしたら戻ってくるようにしよう!!」


「じゃあ匠、俺もリリスさんん同様、部屋で寝ているから時間が来たらまた起こしてくれ。」


「む〜。みんなしてボクがせっかく起こしてあげたのに二度寝してさ!!ふん、行くよタクミ!!」

口調は少し悪いが、そのことに関してノアが怒っていると言った様子はなかった。

彼女にとっては瑣末なことなのだろう。

俺はノアに手を取られ、それに引っ張られるように宿の外に出る。


まだ総長ということもあって外は少しだけ肌寒かった。


「知らない街だし迷子にならないようにしてくれよ?」


「大丈夫だよ!こうやって手をつないでいれば離れることはないよ!」

俺の注意に、彼女は自信満々に答えた。そして俺の手を握る力を少し強めた。

柔らかいその手がきつく締まるその感覚が少しだけ気持ち良く感じた。


「そうだな。じゃあこっちの方から見てみようぜ。」


「うん!!」

俺たちは朝の街を散策為る。

まだ朝が早いこともあってかほとんど人はいない。

ただ、全くいないわけでもなかった。

朝帰りの人間や、路上で寝ている男などは時たま目に入る。

俺たちはそんな奴らは気にせずに好き勝手歩き続けた。



「おや?君達は・・・・」

1時間ほど歩いた頃だろうか?誰かが俺たちに接近して話しかけて来た。

後方からだったし、明らかに俺たちに話しかけているとわかっているので無視するのは忍びない。

それに、どこかで聞いたことがある声だと思い、俺は後ろを振り返った。


「!!?えっと、、ご無沙汰しております?」


「ほっほっほ、、そこまでかしこまることはない。気楽にしてくれて構わんよ。」


振り返り、声の主を確認して俺は一瞬だけ驚愕に目を見開いた。

ちらりと隣を見ればノアも「どうしてここにいるの?」と言いたそうな顔をしていた。


振り返った先、そこにいたのはディオニス・エルシャ・アーカイブ。

国王様だった。

本当、なんでこんな朝早くに護衛も付けずにこんなところにいるんだよ。


俺は心の中でため息をついた。

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