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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第5章 新たな仲間と小さな正義
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216 戦争前と緊急事態


さて、みんなは今の生活がずっと続けばいいのになって思ったことがないだろうか?

俺はある。


孤児院で教員の真似事をやって過ごしているのは楽しいし、お金にも困っていない。


もしよければずっとこのまま過ごしていたいものだ。そう思ってはいたのだが、生活には変化がつきものだ。


そしてその変化は、時には唐突にやってくる。






まぁ、今回ばっかしはずっと前から、それこそ孤児院にいつく前からわかっていたことなんだけどな。


俺たちは今、パーティ全員が王城へと集められていた。

理由は確認するまでもない。

俺たちがこの王都に来て過ごした期間、だいたい2ヶ月と2週間。

そろそろ3ヶ月になる。

そう、記憶力のいい君たちなら覚えていることだろう。

そもそも、俺たちがなぜこの王都に連れてこられているのかということを。


「各員、頭を下げよ!これより、我らが王がお見えになる。」

いかにも近衛騎士といった感じの男が声を張り上げる。

謁見の間に集められた俺たちは、その言葉に従い頭を下げた。


そしてそのすぐ後、玉座の横の扉から数名が出てくる気配がした。

王様と、その護衛だろうか?

その足音はゆったりとしたリズムで動き、そして俺たちの正面で止まった。

正面ではあるが頭を挙げている俺たちにはその姿は見えない。


「うむ、面をあげよ。」

重々しい声が室内に響く。それにつられて集められた者たちは王の姿をその目に収めた。


「皆の者。よく来てくれたな。我こそがこのアーカイブ王国国王、ディオニス・エルシャ・アーカイブで有る。」

そして名乗る。

ふむ、書籍を漁った限りではこの国は王国とだけ書かれているものが多かったが、アーカイブ王国が正式名称的なやつなんだな。


というか名前、ディオニス王か・・・・あれかな?

妹の結婚式を後日に控えた状態で夕方ごろに短剣持って激怒しながら王城に飛び込んだほうがいいかな?


俺は国王の名前を初めて知り、そんな冗談めいたことを心の中で考える。

そんな俺の心持ちは何処へやら、話は勝手に進められる。


「今日、お主らをここに読んだのはほかでもない。もう予想がついているだろうと思うが、此度の戦争についてのことだ。」

あー、やっぱりね。

俺たちがここに以前来た時3ヶ月後とかいってたもんね。そろそろくるかと思ってたよ。

というか、今日の朝唐突にライガが王城に来てくれとかいうからもう確信してたよ。


ここに集められているのは俺のパーティと勇者パーティだけではない。

それとは別に3つのまとまりが存在している。


そのうちの2つは生憎と知らないが、1つは知っている。


「むむっ!?ということは我らはその戦争の参加者として集められた、ということでいいのですかな?」

俺が唯一知っていた集団のリーダー、エリックが声を上げる。

・・・・試合形式の戦争って言っていたからてっきり国のトップクラスの戦力を集めていると思ったんだけど、あれを見てその予想が正しいのかどうかわからなくなった。

いや、別にエリックも弱くはない。


もしかしたら対人戦ではとてつもない力を発揮ーーー、、、そういえば以前素手で戦ったこともあったな。

これ以上考えるのは一度やめておこう。


「うむ、話が早くて助かるぞ。今から丁度3週間後、帝国と最も近い街である『ニア』にて戦争を行う。それに参加して欲しいのだが、、、異論はないな?」

うん。個人的には断りたい気分では有るが、俺たちの参加はもう既に決定しており拒否権は存在しないらしい。

いつの間にそれがなくなったのかとここにくる前にライガに聞いて見たところ、3ヶ月前にはもうなかったのだそうだ。


ひでえ話だよ。


「ちょっと待ってくれよ。」

王の言葉に、1人の男が飛びついた。

跪く姿があまりに合わない、そんな感じの大男だ。

彼は非常に不本意といった様子で言葉を発した。

やっぱり、急に指名されても困るってもんだよな。


「うむ、発言を許そう。」


「じゃあ遠慮なく聞かせてもらうが、『約束の地』の奴らはどうしたんだよ。それに、こいつらはいったい誰だ?」

その男は俺たちの方を指差してそういった。あれ?そういう話?

どうやらこの男は、俺たちがこの場所にいるのが不思議でならないというふうだった。


いや、寧ろ『約束の地』という集団がいない方か。


「今回は『約束の地』は呼んでいない。そしてそこにいるのは魔王殺しのパーティだ。」

ディオニス王は簡潔に事実を告げる。

魔王殺し、、、ちょっとかっこいいな。

積極的に魔王を狩っていたら称号とかもらえるのだろうか?

まぁ、あまり能動的でなくても危ない魔王なんかに近づきたくはないから多分あれっきりだろうけど。


「はぁ?こいつらが魔王殺しぃ?何かインチキでもやったんじゃねえのか?それぞれが勇者様と同じくらい強い魔王を、こいつらなんかが倒せるとは到底思えない。」

そういえば、マルバスが言っていたのだが勇者が今まで倒して来た魔王はスケープゴート用の魔王らしいな。


つまり結構数がいるということなのだが、それのそれぞれがライガに匹敵するくらい強いのか。

エイジスなんかも偽魔王の中では頭一つ抜けているって言っていたし、偽魔王だけでも使い方によっては世界を取れるのではないだろうか?


まぁ、魔王が連携とかし始めたら到底対処はできないだろうし、そうならないように祈るだけだな。


「貴様!さっきから、陛下の眼前であるぞ!その舐めた態度を改めろ!!」

あ、注意が入った。


「と、すみません。」


「いや、よい。お主の意見も最もだが、この情報は虚偽のものではない。諜報部隊を飛ばして確認はとっておる。」

王は軽く答える。なんというか、この問答を無駄だと思っているような感じだ。


多分では有るが、誰が何を言っても俺を参加させるという意思は変えるつもりはないのだろう。

どうしてそこまで・・・


「し、しかし魔王を一体討伐しただけで『約束の地』の者たちより上だとは・・・彼らも魔王の1人を追い詰めた実績がありますし。」


「余はそうとは思わぬ。彼らは強い。特に先頭にいる男タクミとその少し後ろに控えておる長身の女リリスは他とは隔絶した力を持っている。それに、追い詰めたのと倒したのでは意味合いが大きく違うのだ。そこのところ、わかってくれるか?」

王ははっきりとした物言いでそう言った。

彼は名指しで俺とリリスが隔絶した力を持っていると言った。

多分だけど、知らない間に解析のスキルでも食らったんだろうな。


ステータスだけ見たら俺とリリスのものは異常だし、そうとしか考えられない。

いつ食らったかーーーーとかは考えても仕方がないな。


というか今思ったのだが、『解析』系統のスキルがあるこの世界にプライバシーも何もあったものじゃないな。


「ぐっ、、、」


「納得してもらえたかな?」


「は、はい。」

そのやりとりを見ていた俺は単純に王様ってすごいなって思った。

言い争いには絶対にならず、自分の主張は強く通す。

立場的な話ではあるがその力は絶大だ。なんせ国のトップだ。

この国では彼が白といえばそれが白になるのだろう。


「さて、今の話を聞いていて気づいていると思うが、余はお主らに勝手に『解析アナライズ』のスキルを使った。これについては、この場で詫びておこう。」

気づいたことに気づかれていた。流石の洞察力だ。

そして使われたスキルはただの『解析アナライズ』らしい。

リリス曰くこれではステータスの部分しか見れないが、必要スキルポイントもそこまで大きくないのだと。


対象の大まかな強さはそれでわかるだろうが、戦闘面においてはどんなスキルを持っているのかというのが結構大切になってくるので、解析技能としては落第点かもな。


そんなこんなで話は進む。


微妙にまだ納得していない様子ではあったが、先程の男はそれ以上不満を漏らすことはなかったためスムーズだった。


もう1つのパーティは俺たちを気に留めている様子はない。

、、、?って今気づいたけどもう1つのパーティにヴィクレアがいるじゃねえか。

周りの奴らに隠れて気づかなかったな。


ということはあれか?エリックとヴィクレア、兄弟そろって出場するのか。


俺がそれに気づいた後は王の側近から直々に詳しい説明が入る。

試合形式とか、勝った時の褒美とかの話だ。

俺はそれらを適当に聞き流す。


そして少しの間そうしていると、説明が終わった。

俺たち戦争参加者は退出を命じられた。

それに従い俺たちは外に出る。


歩い程度なら往生の中を見て回ってもいいと言われたが、正直見て回るところもないため直ぐに街の方に戻ろうとした。





「あれ?何か騒がしくないか?」

王城から出て少しして俺は街の様子がいつもと少しだけ違うことに気がついた。

なんというか、慌ただしい?そんな感じだ。


何か事件でも起こったのだろうか?

ちょっと好奇心を刺激された俺は近くにいた人に話を聞いて見る。


「あの、すみません。ちょっといいですか?」


「おう?どうした?」


「街が騒がしいような気がしたので、何かあったのかと思いまして。」


「あー、あれを見てくれ。あっちの方で煙が上がってるだろう?多分あれ、火事なんじゃないかって言っていたところだ。」

俺が話しかけたおじさんは遠くの方を指差した。

確かに、その方角の空には煙が立っているように見える。


場所は大体居住区の南あたりか?

そういえばあの辺りって・・・・



そこまで考えた俺は言い知れぬ不安を覚える。

俺はとっさに隣を見た。

するとリリスと目があった。


「リリス!!」


「ええ、急ぎましょう!!万が一がないとも限らないわ!!」


「いや、その前に俺を上に向かってぶん投げてくれないか?」

この場所は建物が邪魔でよく見えないけど、建物より俺が高い場所に登ればそれが何なのかの確認くらいはできる。

火事の中心が本当にその場所なのか、それだけでも確認するべきだ。


「わかったわ。ちょっと粗めにいくわよ!!」


「おう!」

リリスは俺を真上に投げ上げた。

彼女の剛力に一切抗わなかった俺はなすがままに空中に投げ上げられる。

俺は火元を見て見た。


ーーーーーちっ、やっぱり孤児院から出てやがる。


どうして俺たちがいないときに火災なんて起きるかねえ。

一応、あの場所にはシュラウドを残してきたし最悪の事態にはなっていないと思うが、これは急いだ方が良さそうだ。


空中に投げ上げられた俺は体をひねって少しだけ落下地て点をずらす。

そして俺は家の屋根に着地した。


「みんな、急ぐぞ!!」

俺は屋根伝いに真っ直ぐ孤児院がある方向まで走った。


俺は速度重視スピードシフトで『白闘気』を発動させる。

こうすれば直ぐに着くはずだ。

みんな、無事でいてくれよ。








(孤児院から上がる炎を見て)匠は激怒した。

(個人に向かって)匠は走った。


・・・王の名前といい、今回は走れメロス回か何かですか?(自問)

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