表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第5章 新たな仲間と小さな正義
211/293

211 狂戦士とスキル運用

ダミアンとの勝負。正直気乗りしないのは確かではあるが、やるからには俺は絶対にわざと負けるなてことはするつもりはない。


子供達の期待に沿うようにと言うことであるなら、本当はライガと勝負をして普通に負ければ満足してくれそうなのだが、若干一名だけでも俺に期待してくれている人がいる気配があるし、そもそもわざと負けるのは相手に失礼である。


だからやるからには勝つつもりでいく。

だが、今回はいつもとは少し違う戦い方をするつもりだ。


「いい機会だし、この前覚えたスキルの実験台になってもらおうか。」

俺はスキルウィンドウを開き、それを視界の端に放置した。

いつもならステータスウィンドウが開かれている場所だ。これらはページ数で管理されている都合上、同時に開くことはできないから今回はこっちだけだ。


「おう!存分にその力を振るってくれ・・・じゃあ、いくぜ!!」

互いが準備完了ということを確認した後、ダミアンは一直線に距離を詰めてきた。

彼の武器は巨大な戦斧。そして筋骨隆々の体。どうみてもパワータイプだ。


「望むところだ!!速度重視スピードシフト!!」

俺はそれを真正面から迎え撃つ。だがこちらは速度を以って翻弄する形を選んだ。


ダミアンは俺を射程に収めるとその戦斧を振り下ろしてくる。

俺は横に大きく回避する。

それをみたダミアンは振り下ろした斧を地面に叩きつける反動を利用して跳ね上げた。そのまま横に薙ぎ払うようなかたちだ。


俺は大きく後ろに引く。

そして一度距離をとった。


「パワーがあってその上速度も速い。厄介な相手だな。」


「よくいうぜ。俺の速度はお前に全くついていけていないっていうのによ。」

いまの手合いでわかったことだが、ダミアンはパワー型の上に速度もある程度は充実している。

俺やエレナよりは遅いが、リリスと比べたらどっちが速いか体感では分からない。


速度重視スピードシフトなら問題なく回避し続けられるが、踏み込むのは少しだけ勇気がいりそうだ。

できれば怪我はしたくはないし、ここは練習の意味を込めて搦め手を使うことにしよう。


「今度はこっちから行くぞ。」

俺はさっきの仕返しとばかりに前に出る。

ダミアンはそれを迎え撃つべく、斧を横薙ぎに振った。

その軌道は低めで、姿勢を低くしても回避は難しい。しかしだからと言って跳躍で回避しようとしたら身動きの取れない空中でいいようにされるだろう。

だから後ろに引くか、ガードするしかない。

だが、ガードの選択肢がないのは先の手合いでわかっている。斧と剣、そこには大きな威力の開きがあり、まともに受けたら押し負ける。



と、普通なら考えるだろう。

受けはできるが悪手。そう思っている間に一つ面白いものを見せてやろう。


威力重視ダメージシフト!!」

別に叫ぶ必要はないのだが、気分が乗った俺はそう叫んで左手を一度大きく振るった。

そしてすぐに迫ってきている斧に向かって剣を叩きつける。


するとその二つは大きな衝突音を響かせ、ダミアンの斧は弾かれた。

「何!?くっ、、」

予想と違う結果だったか?まさか押し負けるとは思ってなかったか?

俺は彼の斧を弾いた後、その勢いのまま前進して剣を振る。

大きく弾かれた斧は防御には間に合わない。そう判断したのかダミアンは俺の剣を籠手で受ける。


「うおおおおお!!防げ、『戦王の盾』!!」

何かのスキルだろうか?俺の剣とダミアンの腕が触れる少し前、彼の腕が何かに包まれた。

そして接触。


俺の剣はダミアンの腕に傷を付けはしたが、皮を一枚斬るだけに留まった。

さっきのは防御系のスキルだろうな。それで俺の攻撃を大幅に軽減した。

ただ、俺の武器の黒牙の剣の防御無視分のダメージは防げずに腕を少し切り裂かれたって感じか。


俺はそれを見届けた後、追撃はせずに再び距離をとった。

引き戻された斧がもうそこまで迫っていたからだ。

そして距離をとった俺は左手を再び一振り。威力重視ダメージシフトから速度重視スピードシフトへと戻す。


「はぁ、面白えじゃねえか!!今度は俺の番だな!」

別にそんな順番を決めた覚えはないのだが、今度はダミアンが飛び出してきた。

俺は今度は回避ではなく、迎撃を選択する。


さっき俺の剣は一方的にダミアンの斧を弾いた。

真正面からでの打ち合いは不利と見てくれるはずだ。


「はっ、この攻撃がさっきのやつと同じと思ったら大間違いだぜ!!ぉおおおお!!」

彼の強力な振り下ろし、俺は剣を傾けてそれを受ける。あれは直接受けたらまずい。だが、だからと言って正面から受け切れる威力だとは思えない。だから受け流しを選択したのだが・・・



「ざまあみろ!!俺の一撃を甘く見るからだぜ!!」

俺の剣はダミアンの振り下ろしに触れた瞬間、俺の身を守るという役目を果たした後遠くに飛ばされてしまった。

ダミアンはこれを好機とみた。

そのまま止まらずに前進。決めにかかるつもりだ。


俺は現在無手、次はないと踏んだのだろう。

だが、シャオリには教えたことだが、相手の武器を奪った時、そいつは一番油断をするものだ。


どんな手品を使ったか知らないが、剣が手を離れたというのならそれならそれでいい。

俺は前に出る。ダミアンから近づいてくるというのもあって、接近はすんなりできる。


武器を失ってなお前に出てくることには何も思うところはなかったのだろう。ダミアンは手に持っている斧を躊躇いなく俺に向かって振ってくる。

だが、武器がなくたって回避には支障はない。


特に今は速度重視スピードシフトだ。この状態で本気で動けばこの距離でいくら攻撃をされようと避け続けられるだけの速度がある。


俺はその攻撃をかいくぐり、ダミアンの懐に入った。

もうここまできて仕舞えば素手の方が速いぜ?覚悟しろよ。

俺は勢いのまま拳を突き出す。

お互いが逆方向に動いているだけあって、かなりの衝撃が腕に入った。それは裏を返せば向こうにも同じだけの衝撃が入っているということだ。


「くっ、、『戦線離脱』!!」



腹部を撃ち抜かれ、さらにはもう既に懐に入られた奴はこのままだと危険だと思ったのだろう。

逃亡スキルだろうか?

彼の体は通常では考えられない速度で後ろに下がる。


「逃すか!!『理力結晶の剣』、『一閃』!!!」

ここは攻め時だ。俺は二つのスキルを発動させてダミアンを追いかける。


『一閃』は以前子供達に見せたスキル。高速で体を前に押し出される。

腕を一度振るうまで、このまま進み続ける。


『理力結晶の剣』はMPを消費して消費MPと魔力依存の武器を生み出すスキル。

戦士としては力依存の武器を作ってくれよと言いたいが、そんなスキルは存在しなかった。


〇〇結晶の剣という名前のスキルはいろいろあり、これもそのうちの一つなのだ。


俺は圧倒的な速度でダミアンに肉薄し、そして魔力によって生み出された剣はダミアンを軽く切り裂いた。

「くそっ、距離さえ開かせてくれねえか!!これだけは使いたくなかったが仕方ねえ!『狂王進撃バーサクロード』!!」


俺の剣を受けたダミアン。彼はなぜか斧を捨てた。


「ぉおおおおおお!!」

そして雄叫びをあげる。その声は身の毛もよだつ様なものであり、どこか恐ろしさを感じさせてくれた。


叫び終わったダミアンは今しがた自身を切り裂き、手の届く範囲にいる俺に向かって拳を打ち出した。

ーーー速い!!?

俺は全力で後ろに跳ぶ。相手が早くなっていても、速度重視スピードシフト中の俺なら簡単に逃げられる。


目の前でブォンという音が通り過ぎ、少しだけ恐ろしく感じてしまう。

だが、本当に恐ろしいのはそこからだった。


距離をとった俺に対し、ダミアンは躊躇せずに突っ込んでくる。

少し距離を置いたまま戦いたい俺はそんな彼に向かってスキルによって生み出した剣を投擲する。


通常、武器の投擲は武器を失う行為に直結してそれ以上の戦闘継続が難しくなったりするのだが、この場合関係ない。


とにかくあれを止めるのが先決だ。



「うおおおおおおおお!!」

だが、そんな俺の剣は牽制にすらならなかった。

ダミアンはまっすぐと剣に向かって飛び込んでくる。否、あれは俺しか見えていない。

理力結晶の剣は見えてこそすれ認識はしていないと言った動きだ。



「これはもしかしなくもてバーサク状態って感じだな。」

迫り来るそいつを見て俺はそう結論づけた。

バーサクというのはRPGの定番の状態異常の一種だ。

効果は対象を狂化状態にするというもの。

これを受けた者は敵を攻撃することしかしなくなるのだ。

マイナス効果かプラス効果か、場合によって大きく別れる状態異常と言えるだろう。


また、バーサクにかかった者は攻撃性能が上がったりすることがある。

自我を失う代わりに能力強化・・・今思えば自我を失い『限界到達』と同じ様に体のリミッターを外しているのではないだろうか?


まあ、それはどうでもいいのだが、これは決まりだな。



「はぁ、能力さえ上がればいいってもんじゃねえだろ。確かに何も恐れず攻撃を繰り返してくるのは恐ろしいけど、これ邪魔者と一緒だ。」

いろいろなゲームに共通することだが、バーサク状態というのはステータスこそ上がるが操作が不可能だ。

思慮深い行動ができないならそれは行動パターンがプログラムされた魔物となんら違いはない。


魔物同士の戦いならそれでいいのかもしれないが、俺を前にそれをやるのは自殺行為でしかないと思えた。


「じゃあ、勝利は掻っ攫わせてもらうからな。耐久重視バイタルシフト、『闘気鎧』」

戦闘スタイルを速度重視から(スピードシフト)から耐久重視バイタルシフトへ。

さらには相手の攻撃を一定数無力化してくれる『闘気鎧』のスキルも発動した。


加えて言えば俺が以前習得したスキルの中には『HP自動回復』と『MP自動回復』のスキルがある。

並々ならぬ生命力、ダメージカット、自動回復。

これらの三つが揃って小細工なしの殴り合いで負けることなんてない。


装備も無限に供給できる。


そこから先、俺が負ける要素なんてどこにもなかった。





匠が「204 癖と信念」とったスキルを含めた現在の保有スキルとステータス。


名前 天川 匠

称号 リリン

クラス  魔闘士


レベル      32

HP     4999/4999

MP     665/665

力      401

魔力     317

体力     444

物理防御力  452

魔法防御力  339

敏捷     398

スキルポイント  1

状態      正常


保有スキル

『筋力強化(並)』

『光属性付与』

『挑発』

『斬鉄』

『純闘気』

『白闘気』

『状態異常無効化』

『限界到達』

『一閃』

『理力結晶の剣』

『HP自動回復』

『MP自動回復』

『闘気鎧』

『痛覚鈍化』

『MP上昇(大)』

『風闘気』

『ダメージ還元』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ