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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第5章 新たな仲間と小さな正義
210/293

210 願いと報酬


子供達の成長発表会はシャオリ、リタチームの勝利で幕を閉じた。

正直どのチームが勝ってもおかしくはなかったので、逆に予想外ということはない。


「じゃあ勝利者である2人には何か俺に頼みごとをする権利を与え用ではないか。」


「はい!ありがとうございます先生!!」


「ありがとう、、ございます。」

勝者である2人は軽く俺に頭を下げた。

仮にも勝ったんだからもう少し堂々としてほしいものだ。


「さて、さっそくだけど何かやってほしいこととかあるか?すぐに出来ることなら今聞くぞ?あ、別に願いは無理に合わせなくてもいい。ひとりひとつだ。」

と言っても、特に事前情報があったわけじゃないからすぐに決められると思っていないのだが、、、

そう思いながら俺は2人の方を見た。

だが俺の予想を裏切り、彼女たちはもう既に何を頼むかを決めているようだった。


2人は・・・というよりここにいるほとんどのやつがずっとこの孤児院の出身。

色々とやって見たいことや欲しいものがあるのかもしれない。


「えっと、、じゃあ、、、お外に冒険しに行きたい、かな?」

リタは遠慮しがちにそう言った。

一足先に冒険者的なことがやりたいと。申し訳なさそうな、それでいて少し期待したような目で見上げるように俺の方を見てくる。


少しだけ怯えの表情が見え隠れするのは、俺が断るとでも思っているんだろうか?

その程度の願いも叶えないようじゃあ、そもそもこんな提案はしないんだけど。


「そうか。分かった。いつがいい?なんなら今から行くか?それとも準備をして明日にでも?」

「えっと、、明日にする。明日の朝、連れてって!」

「あ、そうだ。他に一緒に連れて言って欲しいやつとかいるか?ほら、シャオリとか一緒に戦った仲だし誘って見たら?」

「じゃ、じゃあ、、、ノア先生、と一緒に、、、ダメ、かな?」

リタは上目遣いで俺の方を見る。

もちろんダメなんかじゃないが、ちょっと意外だな。

もしかしたらみんなで一緒に行きたい、とか、それでなくてもお友達の1人でも指名してきそうなものだったんだけど、ノアか。


リタは魔法使いだし、ノアを慕っているのかもしれない。


・・・・先生って呼んでいるしな。


「わかった。明日は1日ノアにも付き合うように言っておくよ。それで、シャオリは決まっているか?」


「うん!私は先生と街を歩きたい!」


「ん?そんなんでいいのか?」


「うん!一緒に街を見て歩こう?」


「分かった。えっと、、いつにする?」


「明日はリタと一緒にお外に行くんでしょ?じゃあ、、、その次の日がいい!!」

俺はその頼みを快諾する。というかそのくらいならいつでも言ってくれたら連れて行ったんだけどな。

リタもシャオリも、随分とお金のかからない願いしか言わなかったな。

最悪、家が欲しいとか言われてもなんとかしてやろうくらいの気持ちで構えていたんだが、俺が意識しすぎていただけのようだ。


よし、これで明日明後日の予定は決まったな。

ここまで話がまとまった時、急に騒ぎ出す声があった。


「うぅ、、、2人とも羨ましいですわ。私だって、私だってお願いしたいことがありましたのに、、、」

エルザか。謙虚な2人は慎ましいお願いで済んだのだが、エルザはどんなことを頼もうとしていたのだろうか?

ちょっとだけ気になるな。


「ちなみにエルザはどんなことをお願いするつもりだったんだ?」


「それはもちろん!!リオーラ様とお話を・・あぅ。」

こいつも随分と控えめな願いだ。

そういえば何かで聞いたことがあるな。確か普段の生活に満足しているとそれ以上は強く望まなくなるんだったっけ?なんでも、そんな想像が働かなくなるとかなんとか聞いたことがあるような気がする。


もしかしたらここの施設のやつらはそうなのかもしれない。


「あはは、リオーラには俺の方から言っておくよ。」

あ、ライガが空気を読んだ。

「ふぇっほんとうですか!!?」

突然降って湧いた幸福にエルザは必死に手を伸ばす。


「ああ、リオーラはああ見えて子供好きだからね。きっと優しくしてくれるだろう。」

ちなみにそれとは対照的にアイナの方は子供が嫌いみたいだ。

今もなるべく接触しないようにコソコソしている。


「あ、あわわわわ、ありがとうございます!!」

エルザは深く腰を折った。

それにしてもあれだな。一位のチームにだけ願いを叶えると言っていたんだが、これだと少し不公平か?

それでは頑張った甲斐がないというもの・・・・まあそこらへんは明日にリカバリーが効くからどうでもいいか。

と、そうなればエルザだけっていうのもあれか。


「ちなみに他の奴らはどんな願いを?」

一応、聞くだけ聞いてみよう。

俺の言葉をどう捉えたのか、残りの子達も食いつくように話し始める。


「もう一度、リアーゼ先生の授業が受けたかった。まだうまくできないから。」

ビビはリアーゼの授業を所望と。

いや、これに関してはまた俺の方から頼むつもりだったから予定を少しだけ早めるだけでいいな。


「私も!!リアーゼ先生に色々教えてもらいたい!!」

リリカもそれに賛同。それにしてもあれだな。こいつら全くと言っていいほど年相応の願いを言わないな。

もっとあれが欲しいこれが欲しいとかないのだろうか?


「俺は勇者様にあんたを叩きのめしてもらいたかった・・・」

レオンは俺から目をそらして勇者の方を見てそう言った。

あれ?俺勇者へ討伐依頼を出されるほどレオンから嫌われてるの?ちょっとだけショックなんだけど?

すまんなレオン、お前の願いだけは聞き届けてやれなさそうだ。


「ん?それは俺にタクミと戦って欲しいってことかな?」


「は、はい!!です!」

Oh、勇者様?俺はもうあなたと戦うのは御免ですよ?


「そっか。叩きのめすことはできないけど、それは俺も望んでいたことだね。」


「な、なら・・・」


「うん、タクミ。俺ともう一度戦ってくれないか?」


「うん、断る。」

俺は満面の笑みで断った。

以前彼と戦った後、いくつかスキルを取得してそしてこの1ヶ月で密かに練習して使えるようにはなった。つまりあの時より圧倒的に強くはなったのだが、それでも勇者を相手に戦うのは嫌だ。

もしここで負けてしまったらただでさえ低い俺の信用がダダ下がりだからな。


あ、でもここで断ってもそれは一緒なのでは?


「そう言わずにさ。俺も負けっぱなしじゃ終われないから。」


「え〜、」


「お?なんだ?お前らまた戦うのか?」

頼み込むライガ、断る俺。そこにダミアンが入ってきた。これはあれだ。前回同様この後わらわら人が集まってきて、外堀を埋められて結局戦わなくちゃいけないやつじゃねえか。

前回も今回も、それを見越してやってるんだったら流石と言うしかないな。


「うん。リベンジをさせてもらおうと思ってね。」


「ああ?ライガは前に戦ったからもういいだろ?」

お?もしかして今回はダミアンさんは味方にーーーーー


「それよか俺とやろうぜ。」

なんてなってくれませんよねはい。

俺はこの状況、誰かが助けてくれないかと思い周りに視線を向ける。

リリスやノアーーーーダメだ。あいつら畑仕事にどっぷりと嵌ってやがる。ちらっと俺の視線を感じてこっちを見てくれたが、少し考えるようなそぶりをした後すぐに仕事を再開しやがった。

くそう、本来なら俺はそこにいる人間なのに。


じゃあ子供達ーーーーは普通に敵だ。

期待の眼差しで見ているーーーー俺ではなくライガとダミアンの方を。

唯一1人だけ俺を見ている人もいるが、意味はないだろう。


それならば・・・・

「じゃあせっかくだから俺はこの男を選ぶぜ。」

俺は自分で戦う相手を指名した。その相手はやる気満々で俺の方を見ていたダミアンだ。


「おっと、やる気になってくれたか。それでいい。」

ダミアンは俺の発言を聞いてニヤリと笑った。それを見た俺は一瞬だけだが背筋に悪寒が走る。

うっ、ライガとは体面上やらないほうがいいと思ってこっちを選んだけど、本当に大丈夫だろうか?なんというか、ある意味めんどくさそうな気がする。

いや、きっと気のせいだ。


勇者より従者の方が厄介だなんて、あっていいはずがないんだ。


「じゃあ、今すぐにでもやりあおうか!!」

ダミアンは笑顔のまま建物内に走って行き、そして一振りの斧を持って構えて見せてくれた。


あれ?あの斧、訓練用の木製のやつじゃないんだけど?明らかに武器ですよって感じのアイテムなだけど?

結構な業物に見えなくもないんだけど?

まさかあいつ、真剣でやりあうつもりじゃあ・・・・


「ほら、何やってんだ!早く構えろよ!!」

あ、これそのまさかだ。





俺は渋々ながらも剣を構えて相手の動きに対応できるようにした。






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