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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第1章 少女の陰と手にしてしまった罪
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21 骨の魔物と魔力切り

森のダンジョン――皆がそう呼ぶそのダンジョンは、昨日俺たちがマタンゴ狩りをした地点から約20分ほど森の奥に向かって歩いたところにあった。


その景観は、いかにも遺跡といった感じだ。

石造りの地下に向かう建物で、周りには蔦が絡まっている。


「ここが森のダンジョンだね!!ボクも入るのは初めてだよ!!」

ノアがそれを目の前に楽しそうな顔をしてはしゃぎまわる。

本当に、元気な奴だ。


「ノア、はしゃいでいないで早く入るぞ。依頼だけでも早めに達成しておきたい。」


「そうだね!!さあ、君も早くついてきて。」


「は、はい!」

ノアと少女は俺の後ろについてくるように歩いてくる。ノアが昨日まで持っていたカバンは、今日は獣人の少女がかるっている。

彼女は戦闘員ではないらしいので、荷物持ちという名目でついてきてもらっている。



ちなみに、受けてきた依頼というのはハイスケルトンの討伐だ。ノアの情報によるとこのダンジョンにはそれが出るとのことだから受けてきた。

せっかくこんなところまで来るのだから、何か1つくらいはしておきたいしな。


報酬は一体につき600G、ゴブリン三匹分の報酬をとれる。

その分敵も強いのだろうが、俺たちもそこそこレベルが上がってきている。そのため、戦えないということはないはずだ。



そして俺たちがダンジョンに入ってすぐに、そいつは現れた。

全身骨でできた体、そいつに筋肉なんてものはなく、どうやって動いているか見当がつかない。

おそらくあれが、ハイスケルトンなのであろう。

最前列を歩いていた俺は、そいつに真っ先に目を付けられる。


そいつはカタカタと笑うように顔の骨を鳴らしながら、こちらに向かってくる。

その速度は、言っては悪いがそこまで早くない。ノームと同じくらいだ。


「ちょっとこいつで確認したいことがあるから、少しの間手を出さないでもらえるか?」


「うん?わかった。」

俺は今日の朝購入しておいた木の剣を構え、こちらに向かって走ってくる骨の魔物に向かって、それを振るった。

今回は《斬鉄》のスキルは使わない。素の状態の一撃だ。


その一撃は、あっさりとハイスケルトンに直撃した・・・が、あまり聞いている様子はない。

そいつ自信も、俺の攻撃を一切意に介さない様子で、そのまま腕を振り回してくる。


俺はその攻撃を回避しながら、今度は《斬鉄》のスキルを発動させた一撃を与えてみた。

俺の一撃は、そいつの腕に直撃した。

しかし、いまだにそのハイスケルトンは倒れる様子はない。だが、まったくきいていないというわけではないようだ。

その証拠に、先ほどまでは元気に動いていたその右腕は、斬り飛ばされて地面に落ちている。

その先は動く様子はない。


だが、体のほうはまだ元気である。


これは・・・・斬撃耐性がついているな。

先ほどからの攻撃があまりきいていないことを考えると、そう考えるのが妥当だと思った。


スケルトン系統の魔物には、斬撃耐性や刺突耐性がついていることがある。その分、殴打には弱い。

そういう設定をとっているゲームや世界観は結構あるものだ。

今回も、その例に漏れないのだろう。


俺はそう判断して、後ろに控えているノアに声をかける。


「ノア、頼んだ!!」


「あ、もういいの?じゃあいくよーー!ウォーター!!」

詠唱はあらかじめ終わらせておいたのだろう。彼女はためらいなく、その骨に向かって魔法を放つ。

そしてその一撃は、あっけなくそいつを打ち砕いた。そしてその骨の魔物は、その身を灰と魔石に転じさせる。


どうやら、倒せたみたいだ。

そして俺は考える。

――――これは・・・昨日考えておいたスキルをとっておいたほうがいいかもな・・・・


そう思い、俺はスキルウィンドウを開く。そしてそのまま、あるスキルを獲得した。













「ヒャッハー!ここは最高だぜーー!!」

ダンジョン内に、場違いな声が反響する。


「あの?タクミ?なんか性格が変わってない?」

その声の主は俺だった。そしてその俺の前には、大量のハイスケルトンがいる。

それを俺はバッタバッタと切り倒していた。それができるのは、俺が新しくとったスキルのおかげだ。


俺がとったスキルは《魔力切り》といわれるスキルだ。

効果は単純、自分の攻撃が魔力にもダメージを与えるようになるとのことだ。ちなみに、パッシブスキルといわれる、持っているだけで効果が及ぼされるタイプのものだ。

使用スキルポイントは20、結構消費するため、よく考えようと昨日はとらなかったものだ。


しかし、今日俺の攻撃がスケルトンたちに効果が薄いことを確認したため、急遽とることを決意したのだが、まさかここまで効果があるとは思っていなかった。

流石、大量にポイントを喰うだけのことはある。


俺はこのスキルに感謝しながら、ハイスケルトンたちを切りまくる。

俺の持っている武器は木の剣だが、《斬鉄》なんか使わずともハイスケルトンは一撃で倒すことができている。

これは、敵のもとの耐久力の低さのせいだろう。言ってしまえば、骨なのだ。

有効な攻撃手段を手にした俺の敵ではない。


ちなみに、《魔力切り》というスキルをとったとたんにハイスケルトンたちに攻撃が通りやすくなったことからわかることだが、スケルトンは魔力で動いている。

魔力、というのが何なのかはいまいちよくわからないが、エネルギー物質か何かだろうと考えられる。


俺はこのスキルによって、ハイスケルトンたちの動力を攻撃しているというわけだ。


「あはははははははは!!」

俺はノリノリで攻撃をし続ける。今日も何故か大量の魔物に囲まれているのだが、今の俺にはそんなことは気にならない。

敵の攻撃は遅い部類に入るため、向こうが一度攻撃する間に、こちらは二度三度攻撃ができる。

今日は《斬鉄》の冷却時間(リキャストタイム)を気にしなくていいため、やりたい放題だ。ノアが昨日や一昨日に大量の魔物をみてテンションを上げていたのも、今なら少し納得できる。


これは―――――いいストレスのはけ口だ!!


「タクミ・・・なんか怖いよ・・」


「はい、怖いです・・・」



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