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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第5章 新たな仲間と小さな正義
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207 勇者とライガ


「わー、勇者様だー!!」

「凄い凄い!!なんでー?」

「あ、リオーラ様もいますわよ!!」

「みんないるー?」


突然のライガの来訪に子供達は大騒ぎだ。世間知らずな子供達でも知っているくらいにはライガのやつは有名みたいだ。

あと、彼のパーティメンバーもそれに準じた知名度があるみたいだな。


子供達の反応からここに来るのは初めてというのが読み取れるが、俺と違って無条件で受け入れられられている感じがある。


また、そんな子供達に群がられてもライガは一切迷惑そうな顔をせずに笑顔をこぼしながら対応をしている。

ふむ、あれができる男というやつなのだろう。


「やっぱり勇者様はえらく人気みたいだな。」

そんな彼がちょっとだけ羨ましかったので少し茶化すようなことを言ってみる。

くそぅ、俺は一月経った今でもレオンとかはまだ敵対心を持っている感じがするんだぞ?

まあ、農業組にはそこまで悪く思われていないらしいし?冒険者訓練組でも俺を慕ってくれる人は少ないけどいるから?別にいいんだけどな。


「あはは、まあ受け入れられているみたいで嬉しいよ。」

俺の妬みを孕んだ言葉を彼は苦笑して流す。

その表情は一切の不快感を示さない。


「それで?こんなところに一体なんの用事が?」


「おい!お前勇者様に対して馴れ馴れしすぎるぞ!!」

うーん、ちょっと質問しようとしたらこれだ。

どうしてレオンは俺のことを目の敵にするんだろうか?


「ああ、俺は大丈夫だからね?ほら、君たちも遠慮せずに気安く接してくれても構わないからね。」

そんな言葉もライガは軽く受け流す。できる男はやっぱり違う。


「そ、そんなのできねえ、ですよ。勇者様はこの国で一番強いんだから、、、だから俺もいつか勇者様みたいになろうって頑張ってるです」

だがレオンは畏れ多いと言った様子だ。

ここ一月、接して来てわかったのだがレオンは猪突猛進という言葉が似合う男だ。


小細工とかは基本的に嫌いだし、何より強さを求めている感じがした。

だから彼にとって俺たちの授業は退屈の方が多かったんだろうなと今なら思える。


「ふふっ、本当にそう思うかい?」


「は、はい!!です!!」

レオンは使い慣れていない敬語で返事をする。

これはあれだな。たまに見る、語尾に「です」をつけていれば敬語になると思っているやつ。


あ、そうだ。いつか子供達に最低限のマナーとか教えた方がトラブルとかも発生しにくくなるから自衛につながる。

そのことも考えておこう。


「そうか。そう思ってくれているのは嬉しいけど、俺より強い人はこの国にもいるからね。夢を壊すようで悪いけど、俺はそんな人間じゃないよ。」

そんなレオンにライガは現実を教えるように言った。


「あ?え、?そ、そんなはずはねえです。勇者様より強い人なんているはずはねえですよ!!」


「いやいや、本当だよ。そこにいるタクミは俺より強いよ。」

おおっと?ここで俺の方に話が飛んで来るのねオーケーわかった。

最近隣で話を聞いていたら自分のところに飛び火するという経験はたくさんしてきたからちゃんと話は聞いていたよ。


ライガの言葉を聞いた子供達は目を丸くして俺の方を見ている。

逆にレオンは目を細めていた。


「ふふん、やっぱりタクミ先生はすごい先生だったんだね。」

そして何故がシャオリが胸を張って誇らしげにしていた。


「おや?タクミはここで先生をやっているのかい?」


「ああ、、っと言ってもいつの日か冒険者になる子供達に戦い方や自衛術を教えるくらいだけどな。」


「そうか。それは羨ましいね。」

羨ましい?

「何が?」


「いや、こんなにいい師匠がいるんならこの子達も強くなれるだろうなって。」

いやいやいや、ライガ?思ったけどなんでお前はそんなに全幅の信頼を俺においているのかな?

正直なところ、子供達には悪いが俺が教えてもそこまで強くなれないと思うぞ?


ただ、この言葉は俺の授業を受けてくれる子供達

の為にも口に出すわけにはいかない。


「そんなことはないさ。もし仮にこれで全員強くなったとしても、それはみんなの才能があったってだけの話だからな。」


「かもね。」

そう言って俺とライガは笑いあった。

こいつは一応は国の有名人だというのに、こうして一緒になって笑っているとそんなものは一切感じられなくなる。


「それで?何か俺たちを探していた風な感じだったけど、何か用事でもあったか?」

もしかして戦争に関する何かしらの情報を持って来たのだろうか?

そう思ったが、


「いや?今回は君たちがここにいるって聞いて時間が空いていたから挨拶に来ただけだよ。もっとアレな言い方をすれば、遊びにきたって感じかな?」

そうなんだ。まあ別に俺たちには拒む理由もないし、子供たちも喜んでいるみたいだからいてくれたらありがたい。


「それで?これから何か予定でもあるのかな?無いのならここで少しだけゆっくりとさせてもらいたいんだけど。」


「特段大した予定でも無いけど、いつものように冒険者の授業があるくらいだな。あ、あとこの場所の滞在については俺じゃなくてあっちにいるグレースさんに聞いてくれ。」


「そうか。」

ライガはそう言って少し離れた場所にいるグレースさんに近づいてった。

それにつられて、彼に群がっている子供達も一緒だ。


「すみませんが、少しの間ここにいさせてもらってもいいでしょうか?」


「は、はい!こんな場所でよければ好きに使ってください。」

グレースさんは恐縮といった感じで了承する。

断るわけにはいかないとでも思っていそうだな。


また、そのやりとりを見ていた子供達は大喜びだ。

「わああああ!勇者様といっしょー?」

「ずっとここにいてくれるのー?」

「こ、これを機にリオーラ様とお近づきに・・・」

「わー、すっごーい!」


別に寝泊まりするわけでも無いだろうに、勇者が遊びに来るというだけで嬉しいのだろな。

俺だって憧れの人とかが自分の家に遊びに来るとか言ったら大喜びするだろうし。


「さて、許可は取ったから俺も君の授業とやらを受けることにするよ。」


・・・・え?

少し話が飛んでいませんか勇者様?




















はて?どうしてこうなったのだろうか?

俺の目の前にはいつものように地べたに座る子供達withライガがいる。


彼は真ん中に座り、そこを仕切りに男女が分かれるように座っていた。

ちなみに、他のメンバーは子供達と遊んだり、ノアやリアーゼといった俺たちの仲間たちと会話をしていたりする。

「、、、なあライガ?どうしてお前はそこに?」


「ああ、ごめん。新参者が中央に座るのは流石にダメだよね。」

彼は全く的外れなことを言いながらゆっくりと立ち上がろうとした。


「何言ってんだよお前!!勇者様にそんな態度をとっていいとおもってるのか!!?」

うん、ごめんレオン。ちょっと俺も混乱してるから黙ってくれないかな?


「いや、いいんだよ。ここでは君は先輩。俺の上さ。」


「違う違う違う!!俺が聞きたいのはどうしてお前が生徒側にいるのかって話だ!!どう考えてもこっち側で特別講師枠としているべき人間じゃ無いのか!!?」

というか俺から教わることなんて何も無いだろう。そう叫んでやりたかった。


流石に今回は俺の言葉に納得したのか、子供達はウンウンと頷いている。


「今日は教わる気分でここにいるからね。少しくらい多めに見てくれてもいいんじゃ無いかな?」


「俺としては是非交代してもらいたいところなんだけど・・・というか今日はお前がそっちにいたら困るんだけど。」


「それはまたどうして?」


「今日はこの一月の訓練の成果を見るために子供同士でどれくらい動けるようになったのかの確認をしようと思ってたから。」


「なるほど。それなら俺はそっちにいた方がいいね。」

なんとしてでもあそこを動かない。ということはなくライガはちゃんと聞き入れてくれた。

よかった。子供同士の模擬戦に王国最強の人間が紛れ込んだら確認作業どころじゃなかった。


あと、ライガがそっちにいてほしく無い理由はもう一つある。


「はい、というわけで二人組を作って、あ、同じクラスのやつで固まるのは無しな。」

俺は悪魔の呪文「二人組」を唱えるからだ。

これは奇数になった途端に何かが露呈する可能性のある呪文。

取り残された子供が悲しむようなことは避けたい。


・・・・いや、まあ偶数でも何故か3人組ができてあぶれる奴は何故かあぶれるからあんまり意味はないんだけどな。


ライガはその言葉を聞いて俺の隣にたち、子供達は俺の指示に従いパートナーを選ぶ。

そして少し経ったら、何事もなく組みが決まった。


組み分けは


レオンとビビ


シャオリとリタ


エルザとリリカ


こんな感じになった。やっぱりというかなんというか、エルザとリリカが真っ先にペアになり。

他の奴らは同性を選んだ。なんとも予想がつきやすい組み合わせである。

そして6人しかいないから当然のことなんだが、クラスの組み合わせもバラバラだ。


戦士とローグ。


戦士と魔法使い。


ローグと魔法使い。


どの組み合わせにも得意不得意があり、非常に面白い勝負になりそうだ。

よし、じゃあそろそろ始めるとしよう。



「ルールは簡単。お前らには今から目の前の敵を倒してもらう!一定以上のダメージが入ったと思ったら俺が随時離脱させていくからな!あ、大体のことはやってもいいけど、大怪我するような技だけは絶対に使うなよ?それでは、各員位置につけー!」

俺の号令で子供達はそれぞれ三角形になるように配置についた。そしてその手には各々の武器が握られている。

どれも木製、叩かれたら痛いが普通にやったら死ぬことはない。


うむ、この一月で指示を聞くという事だけはやってくれるようになって俺は嬉しいぞ。


俺は全員がある程度距離をとったことを確認してから高らかに宣言する。


「それじゃあ、始め!!」





夏のホラー企画に参加表明して来ました。

派閥は和物ホラーで行くことにします。


イベント用の作品は提出期間に入ってから投稿する予定ですので、その時になってよかったら作者のページから読んでみてください。


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