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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第5章 新たな仲間と小さな正義
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206 日常と来訪者


当然というかなんというか、俺たちはリアーゼを見つけることができなかった。

かくれんぼを開始してからきっかり1時間、その時には俺は庭をもう一度捜索していたのだが、近くから時間切れの声が聞こえて来たときは本当にびっくりしたものだ。


声がした方向を見たらいかにも作業中ですよと言った感じのリアーゼの姿。


あとでリリスに聞いて見たところ、彼女は最初からそこにいたのだという。

ほんまかいなと思ったが、本当なのだろうな。



ともあれ、みんながリアーゼを全力で探して見つけられなかったという事実があったので、そこから先の授業はみんな真剣に聞いていた。

かくいう俺もちゃんとその話は聞いたのだが、どうにも言っていることは簡単なのだが、それを実行に移すかと言ったら別の話みたいな感じがした。


そんなこんなで今日学んだ内容は、


1、人などのそこそこ知性のある生き物は相手を探す時に自然と視線が下に向かう故にできるだけ高い場所を取れ。


2、相手の行動は常に把握していろ。


3、たとえ相手が目と鼻の先に来てもバレていない限り動くな。


4、生き物は本能的に小さいものより大きいものに意識を奪われる。それは音であっても同じ。


他にもまだまだあった気がするが、大まかに言えば大体こんな感じだった。

リアーゼはいつもこんな感じのことを意識しながら隠れているのだと。

言ってはなんだが真似できる気がしなかった。











そして次の日。


「さて、今日も特別講師にお越しいただいた。」

朝っぱらから集まっている子供達に俺はそう宣言する。

というか冷静に考えてはじめからこうすればよかったんだよ。


パーティのリーダーをさせてもらっている俺だが、その実俺はどの能力も一番を取れていない。

いや、スキルを使えば一瞬だけ最強になれるのだが、それだけだ。


攻撃力と耐久力ならリリス。


敏捷と回避力ならエレナ。


隠密性ならリアーゼ。


魔力と遠距離攻撃ならノア。


解析と状況判断なら律識。


それぞれ俺以上の能力を見せてくれる。だから彼らには得意分野を教えてもらおう。

それで抑えきれなかった部分を俺が教えていく形にするのだ。


「ということはまたリアーゼ先生か?」

レオンが首をかしげる。

ふむ、俺のことは一度も先生と呼ばないのに、リアーゼは昨日1日で先生とはこれいかに・・・・


俺がそんなつぶやきをこぼすとどうやら聞こえていたみたいだ。

レオンが嘲るように言ってくる。


「だってお前大したことを教えないし、すぐに変なことを吹き込もうとしてリリスさんに殴られてるし、とても先生とは呼べねえよ。」

ぐっ、、、確かにそうなんだが、俺だってもう少し讃えられてもいいんじゃないか?


いや、よそう。子供相手にムキになっても仕方ない。


「こらレオン!!どうしてそんなにひどいことを言うの!!?タクミ先生に失礼でしょ!」

ああシャオリ、君だけだよ俺なんかを先生と言ってくれるのは・・・・

たとえそれが立場上のポーズだったとしても俺は何も言わない。

見せかけだけでも味方がいるなら俺はまだ頑張れる。


「と、とりあえず今日はリアーゼ先生じゃない。今日読んだのはまた別な先生だ・・・・あ、一応言っておくけど女子陣は全力で警戒しろよ?というわけでこっち来てくれr律識!!」

俺は建物内でくつろいでいた律識を呼んだ。

リアーゼとは違って彼には事前に話を通しているので、すぐにこっちに来てくれる。



「えっと、、、その人が今日の?」


「ああ、名前は律識という。今日は卑怯な戦法を存分に教えてくれるはずさ。」


「ちょっと待った!!おい匠、そんなことを言ったら俺が卑怯者みたいじゃねえか。というか、全力で勝ちに行くときはお前の方が卑怯だろうが!!」

む、心外だな。

俺は別に卑怯ではない。勝利のために必死に準備をするタイプの人間なだけだ。

そう言ってもよかったのだが、ラチがあかないのでこのくらいにしておこう。


「まあまあ、とにかくこの子達にいくつか有効な戦い方を教えてやってくれよ。俺の戦法は悉くリリスに抑えられて使えないんだ。」


「はあ?危ないことは教えたらダメみたいな話は聞いたけど、それでも教えられるものはあるはずだろ?」


「いや、教えてもどうせ使う機会がないピンポイントな作戦ばかりしか残っていないから正直難しいんだよ。それに律識、お前にはこの純真無垢な気持ちで強くなりたいという子供達の思いを無下にできるのか?」


見た目危険がない作戦や戦術は俺の中にまだ残っている。だが、それは教える意味がないのだ。

何せそれらは状況をこと細かく限定した状態で作られた作戦。

都合のいい場所で飲み力を発揮できるようなものがほとんどで、教えても使わない可能性の方が圧倒的に高い。


そんな技を教えるのにいちいち時間をとってられないのだ。

だからこその特別講師システムなのだよ。


律識は視線を落とした。その先には期待した目で彼を見る6人の子供達の姿。

だが、彼の目にはその全ては写っていない。

彼の目が捉えているのは、その中の4人だけだった。

そう、言わずもがな女の子たちだ。


期待を込められた少女の目。それを見て断れる律識ではなかった。


「ふ、ふう。わかったよ。俺の全てをこの子達に教えてあげないとね。ほら、何かあったら危険だから。」

律識はそう言って数々の卑怯戦術を教えてくれる決意をした。

一応、生徒側にいた俺は彼が何か暴挙を犯さないように見張っていた。


















「じゃあ今日はボクの番だね!」

そのまた次の日。まだ呼んでいないのだがノアが自信満々に俺の方にやって来た。

彼女にも話は通してある。だからだろうか?誰よりも早くそこにいたノアはみんなが集まってすぐにそう言った。


ちなみに昨日は律識の講義が一日中開催されていたのだが、初めは期待の眼差しを向けられていた律識は最後には微妙な目で見られいていた。


まあ、それも当然と言えるだろう。

彼が教えたのは子供には少しだけ難しかったみたいだ。

まあ、内容を要約するとリアーゼみたいな生き物の意識の話と、それを使った相手のはめ殺し方法と言った感じだ。

具体的に一つ挙げるなら、人はどうしても足元に目が行きにくいから、足元を破壊するだけで結構な意識を裂かせることができるよと言った感じだ。

そういえばあいつ、俺と模擬戦をやったときは変なスキルを使って俺の足元を柔らかくしてたな。

あ、補足的に言っておくと律識は子供達に手を出すどころか触れるようなことはしなかったぞ。


なんでも、紳士協定に反するんだとか。


さて、前日の話はこのくらいにして今日はノアだ。

初日のリアーゼがプラス。

昨日の律識がマイナスと言った感じで特別講師をそのまま信じていいかわからない子供達は少しだけ警戒している。


「えっと、今日は何のお話を?」

ビビが恐る恐ると言った感じでノアに話しかける。


「今日は魔法の話だね!!」


「「「おぉ!!」」」

ノアの発言を聞いた子供達は少しだけ期待を込めた声をあげた。

やっと冒険者らしい単語が出てきたことが嬉しかったのかもしれない。


なにせ、今まで隠れるだとか嵌めるだとかそういうことしか教えてこなかったからな。


「じゃあ早速説明するね。まずは魔法っていうのはねーーーー」

ノアの授業が始まった。
















「でねっ、そこで相手のドッカーンって感じのね!!」

「えっとつまり、味方の前衛が相手を崩した瞬間に一番でかいのを叩き込んでやれって感じだ。」


「それでもダメだったらね。今度はばばばばばって感じにやるんだ!!」

「それで仕留めきれなかった場合は一度引いて波状攻撃を仕掛けろ。」


・・・現在俺はノアの通訳をしている。

一応、予測はできていたのだがノアは説明が下手だった。

これが俗にいう感覚タイプのキャラというやつだろう。

説明に擬音語が入るやつはセンスがないというが、ノアはその例にもれない説明の下手さだ。

というか、それを聞いて思考しなければ何を言ったかのかすらも分かりづらい。


俺は今までの付き合いがあるので彼女がある程度何を言いたいのかがわかるのだが、出会って間もない子供達はそれができない。

だから俺がこうして通訳していたのだ。



ちなみに、意外や意外ノアが子供達に教えた内容は案外普通のことしかなかった。

なんというか、結構勉強はしているんだなって感じの授業だったな。



そんなこんなで俺たちが孤児院で過ごしてーーーーー
















一月が経った。


特にその間何か特別なことがあったわけではなく、俺は子供達に冒険者としての基本を教えて、ちょいちょい特別講師を招いて授業をしてもらうくらいだった。


子供達の成長にはめざましいものがあり、着々と教えたものを身につけていったーーーーー才能がなくてできないものや俺が教えた戦術以外は・・・


なんだよ。そんなに俺の話は聞く気がないのかよ。そう思った期間もあったが、別に覚えるつもりがないならそれはそれでいい。

一応ではあるが、シャオリは年長者としての責任感から聞いてくれているみたいだったが・・・


そんな俺たちが少しだけこの孤児院に溶け込み始めて来たある日、思わぬ来客があった。




その人物は昼頃に現れた。

孤児院の正面にある呼び鈴が大きな音を立てて鳴らされ、扉をノックする音が聞こえる。

それに対応するのは当然グレースさんだ。


「おや?こんな場所にどなたでしょうか?・・・子供の引き取りとかでしょうかね?」

彼女は少しだけ警戒しながらも、疑問に持たずに玄関の方に向かう。

一応、俺も少し離れた場所から警戒してそっちを見ている。





グレースさんが内側から扉を開けた。

そしてそこから覗き込むように外にいる人を確認して、驚愕したように後ずさったのが俺の場所から見えた。

なにやら、予想だにしない人物でも来たらしい。


「本日はどうなさいましたか?」

だが、そこはプロなのだろう。少し驚きはしたが、普段と全く変わらない声音で対応してみせる。


「うんちょっとここにタクミ君が来ているって聞きまして、、、いますか?」


「あ、はい。ひと月ほど前からお客様として滞在しております。」


「そうですか!ちょっと彼に会いに来たのですけど、入ってもよろしいですかね?」


「は、はい。勿論です。どうぞお入りください。」

グレースさんはそう言って半開きの扉を全開にした。

すると当然、俺にも来訪者の姿が見えるようになる。


そしてそこにいたのはーーー


「一月ぶりですねタクミさん。」

「はっ、邪魔するぜえ。」

「お邪魔します。」

「お邪魔するわね。」



勇者ライガとそのパーティメンバーだった。




深夜にあと1話、、、予定です。


キャラ紹介その4『ダミアン』

クラスは狂戦士。中味も割と狂戦士な節があり好戦的な男。

大きな斧を豪快に振り回す戦闘スタイルで数々の敵をなぎ倒して来た。

彼の剛腕から放たれる全力の一撃は硬質な殻を持つ甲殻類モンスター『シガリガリ』を一撃で粉砕するぞ!!

激辛が大好きで、逆に甘いものが苦手。

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