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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第5章 新たな仲間と小さな正義
198/293

198 捜索と乱入

朝、窓から差し込む朝日の光に晒されて俺は目を覚ました。

朝日が見える、ということは今日もノアは起こしてくれなかったらしい。


昨日と連続なことを考えると、実家ではああいったことをしていないのだろうか?

そんなことを考えながら俺は意識を覚醒させた。


そしてベッドから体を起こそうとして、それに気づく。

あれ?体が重いーーーー?あ、いやなんか引っ張られているような?


そう思い俺は自分の体を見た。


「ぅみゅぅ〜〜〜、、、すぅ、すぅ・・・」


なるほど、ノアはまだ寝ていたみたいだ。

昨日はよっぽど疲れたのだろう。いつもは誰よりも早く起きるノアが、こんな時間まで眠っている。


彼女は両手で抱きかかえるように俺の右腕を掴んで抱き枕がわりにしていた。

これが先ほど感じた引っ張られる感覚の正体だ。


俺はそっと腕を引き抜こうとするーーーーが、できなかった。

「、、ぃっちゃ、、ぃやぁ、、」

腕を彼女から離そうとすると、彼女は握る力を少し強めた。

無意識下での行動だろうが、その仕草がなんとも可愛らしい。・・・・まあともかく、ノアが起きてくるまでは俺もこのままだろうな。


俺は半ば起き上がりかけていた体を再びベッドのよ答えさせる。

そしてノアの方を見ていた。


すぅすぅと小さな寝息を立てて、とても幸せそうに眠っている。







少しするとノアの目が突然開かれた。

俺と目が合う。


・・・・・


少しの沈黙の後、彼女は今の状況を把握したみたいだ。

「お、お、おはようタクミ!!」


「おはようノア。昨日はよく眠れたみたいで良かったよ。」


「えっと、、、あ、これ!!ごめんね。」

ノアはそういって拘束していた俺の右腕を離した。

寝ぼけていたとはいえ、人の腕を勝手に抱き枕にしたことに思うところがあるのか、彼女はすぐに起き上がってベッドから降りた。


俺もつられて起き上がる。


「えっとタクミ?」


「何?」


「昨日のこと、全部夢じゃないんだよね?」


「そうだな。ノアがここで寝てたってことは夢じゃないんだろうな。」

お互いまだ実感がわかないようで、互いが互いに確認するように笑いあった。


そしてひとしきり笑い終わった後、俺たちは各自の部屋で着替えなどの準備を済ませる。

途中、朝食ができたから早く来いというエスリシアさんの声が聞こえてきたことから、いうほど遅い時間ではないのだなと思った。

















「さて、タクミ!!あんまり待たせちゃ悪いし、そろそろみんなのところに戻ろっか!!」

朝食が終わり、俺とノアは2人で外に出た。今日は何をするかはまだ決まっていないが、とりあえずはリリスたちと合流しようという話になった。


「それはいいんだけど、、、なあノア、今さならながらどうやって俺たちはこの広い王都であいつらと合流するんだ?」


「えっと確か、リリスが迎えにきてくれるって言ってたけど・・・」

ノアの話によればリリスはなんらかしらの方法で俺たちの場所は把握しているので、数日時間が経ったら迎えにきてくれるということだった。


「ってことは俺たちからあいつらの方に向かう手段はないってこと?」

逆に俺たちはみんなの位置を知らない。だからこそ、こっちからできることはないような気がした。


「そうでもないかもよ?ほら、ボクってばお友達たくさんいるし、彼らに頼めば見つけてくれるはずだよ!!」

ノアはそう言ってシルフを1体呼び出した。

こいつにみんなを探してもらおうという魂胆なのだろう。


「でもあんまり飛ばすと目立ちそうだし、難しくないか?」

目立ったところで悪いことをしているわけではないからどうでもいいのだが、むやみやたらと目立つのは御免被る。


「そうだね〜、じゃあこの子だけで探してもらうよ。ねえ君、この街にいるボクの仲間達を探してきてくれないかな?」

ノアの言葉に、シルフは首を上下させた

そしてすぐにどこかへ向けて飛び立った。


「あとはあいつが見つけてくれることを願うだけだな。」


「そうだね〜。それまで何する?」


「やることないし、今日は2人でここら辺を適当に歩いて見ないか?」


「あ!いいねそれ!!昨日に引き続いて2人っきりで手を繋いで歩くんだね!!?」

いや、誰も手を繋いでとかはいってないけど・・・まあいいや。


「そうだな。じゃあ初めはこっちの方に行ってみようか。」

俺はノアの手を取り、適当な方向に歩き出した。

この先に何があるかは知らないが、俺からすればこの王都は大体がそんな道だから帰り道だけ覚えていれば大丈夫だ。


最悪、ノアに頼れば変えることは簡単だろう。

俺とノアは何をするでもなく、他愛のない会話をしながらブラブラと歩いていた





















「それでね〜、、、ん?」


「どうしたノア?」


「タクミ、あれ、何かもめているみたい。」

ノアが会話の途中、突然遠方を指差す。その方向を見てみると、1人の女性と2人の男が何やら言い争っているようにも見える。


その声は大きく、それほど近いわけでもない俺たちのところまではっきりと聞こえてきた。


「どうか!!どうか、ご慈悲をくださいませ、あとひと月でいいんです!!」


「ああっ!!?ひと月待ったところでどうせまた同じことを言うんだろうが!!兎に角、もうこれ以上待てねえな。」


「そこをなんとか・・・」


うわあ、これはもはやテンプレそのままレベルの借金取り立ての光景だ。

どうしよう、今俺たちが進もうとした方向にそいつらいるんだけど、別の道を通ったほうがいいかな?




「そもそも俺たちが待ってどんなメリットがあるって言うんだよ。俺たちの時間はこんなボロ施設なんかよりよっぽど貴重なんだぜ?」


「私にできることならなんでもいたします。ですから、どうか子供達だけは助けてください。」

女性の方は男にすがりつくように近づく

だが、それを男は良しとしなかった。


「きゃっ、」

男は女性を払いのけ、女性の方は突き飛ばされた衝撃で地面に倒される。

地面にぶつかったことで土がついたその顔には、苦悶の表情が浮かべられる。


あれは自分が暴力を振るわれたことではなく、守りたいものが守れない。そんな悔しさからくる表情だった。



「・・・・ねえ、タクミ?」


「分かってる。」

それを見た俺たちは小さな確認だけを済ませてその騒動に身を投じることにした。


「兎に角、今すぐに払えねえって言うんなら、この施設を取り壊すしかねえよな?」


「そ、そんな・・・」


「まあ?俺達だって悪魔じゃねえし、どうしても時間が欲しいって言うんなら誠意を見せてくれれば考えてやらねえこともねえけどなあ?」


「ど、どうか私たちにお時間をいただけないでしょうか?」

男の提案を馬鹿正直に受けた女性は、その場で手をつき頭を下げる。


「違うだろうがよ!!誠意って言ったらーーーーー「ちょっと待ったああああ!!」

その行為に苛立ちを覚えた男が女性に手をのばす直前にノアの大声がその場を支配した。

そしてその直後俺たちが現場に到着する。


「あ?誰だよお前ら、俺たちゃ忙しいんだ。さっさとどっかいけ。」


「正義の味方ごっこならお友達と一緒にやりな。」

2人の男は突然乱入してきた俺たちに訝しげな目を向ける。

「えっと、貴方方は?」

女性の方も知らない人がいきなり割ってはいって混乱しているようだ。


「ちょっとそこの君!!か弱い女性の弱みを握って無理やり、、えっと、そういうことをしようとするのは良くないんじゃないのかな!!」

ノアは途中恥ずかしくなったのか言い淀む。まさに初心な少女といった感じだ。


「だから誰なんだよてめえらは!!」


「いい加減邪魔だぞ!!」

先ほどの女性とのやりとりでのイライラと、ノアの発言によるイライラが爆発した男はついに手を出してくる。




それに対しては、俺が間に挟まって止めた。


「まあまあ、ちょっと聞いた感じだと借金がどうとかこうとかそう言う話でしょ?だからここは暴力じゃなくて話し合いましょうよ。」

暴力沙汰は禍根を残す。だからこう言う時こそ冷静に対処しなければいけないのだ。


「あ?そんなことお前らには関係ねえだろうが!!それとも何か?こいつらの借金、まとめて1500万G!!お前らが払うって言うのか!!?」


「そんなっ、今月の分は20万G、それに借金は全額で500万Gしかないはず・・・」


「利子合わせてこの値段なんだよ。文句言うなら払わなくていいんだぞ?」

利子率が暴利ってレベルじゃねえなこれ。

3倍だぞ?日本なら間違いなく捕まるレベルだ。


・・・・まあ、利子率の話とかは全く詳しくないから

実はこの世界ではこれが一般的だったりするのかもしれないけど。


「1500・・・・」

ノアが思案するような顔をしている。

あれ?お前ならポンと投げ渡すかと思ったんだけど?


「そうだよ1500万払えるのか?」


「う〜、今手持ちが500万Gしかないよ。残りは全部リアーゼちゃんに持ってもらってるから・・・」

ああ、手持ちが足りないのか。最近大量に増えた金をどうやって保管しようか考えることがあったのだが、ノアはその点をリアーゼに持ってもらうと言うことで解決したらしい。


その手があったんだな。

いまだに全額持ち歩いて若干体が重くなっているどこかの匠くんとは大違いだ。


「じゃあ500万はノアが出してくれよ。残りは俺が出すから。」

俺は腰のポーチから札束を取り出した。

これらは10万G札を100枚にまとめたものの1つだ。

このポーチを盗まれてしまうとそのまま無一文となってしまっては困るので、俺は服のありとあらゆる場所に金を分けて持ち歩いている。


「あ、ありがとう!!これでぴったり足りるよね!!?」

ノアは俺の手から金を受け取り、それを男達に渡した。



「あ?え?ああ!!?」


「足りるよね?」


「ちょっと待ってくれ・・・・・・・た、確かに足りる。」


「チッ、今回はこれくらいにしといてやらあ!!」

おーおー完璧な捨て台詞とともに立ち去ろうとする2人の男達。だが、今少し見過ごせないことを言っていたよな?

「なあ、今お前ら今回はっていったか?」


「は?」


「もしお前らが借金を返済したこの人にこれ以降手を出そうとしたらーーーーこれをそのまま振り抜くからな?」

言葉の途中、俺は自分のできる最速の動きで腰から剣を抜き、それを男達の首元に当てた。

勇者でさえギリギリ反応することができるレベルの動きだ。

そこらへんの借金取りには知覚すら難しいだろう。


「は、はいい!!」


「あ、あとちゃんと返済の証拠として領収書を残して欲しいんだけど、今この場で。」


「わ、わかりました!!」

脅しが聞いたのか、男達は従順になりカバンの中から一枚の書類を取り出し

それに記載をしていく。

内容をざっくり要約すると「完済しました」と言う内容だ。


これを書かずにどっかに行こうとしたということは、俺たちが渡した金は下手したらネコババされるところだったのだろう。

まだ余裕があるとはいえ、金だけ巻き上げられるのはムカつくからやめて欲しいものだ。



「こ、これでいいでしょうか?」

男達は俺に見せるように書類をかざした。

う〜ん、こういうのって普通あっちの女性に渡すものだよな?


俺は男達の手から書類を受け取り、それをいまだに尻餅をついた状態の女性に渡して確認を仰いだ。



「大丈夫ですか?」


「あ、はい!!問題ありません。」

本人の確認も取れたことだし、これで大丈夫だろう。


「あ、じゃあもう君達行っていいよ。」


「「は、はい。ありがとうございました。」」

男達はそそくさと立ち去った。

そしてその姿が見えなくなったことを確認したあと、俺は一言呟いた。


「あれだな。一回脅しただけですごい効果だったな。」


「そりゃそうだよ。ああ言う人って自分が一番大切だから、命の危険があるとすぐに従順になって裏切ったりするよ。」

それは少し納得のいく理由だな。

誰だって自分は大切だろうし、金を命を天秤に乗せられた時、どちらに傾くかは明白だ。


「それと、タクミが剣を抜きっぱなしだったのもよかったんだろうね!!」

あ〜、いつ振ってもおかしくない。そう思われてたのかもしれないよな


これまた納得だ。


少し変わり身が急だったので、何か企んでいるのかもしれないと思ったんだけど、今の話を聞いたらただ怯えてただけって言うのが有力だな。


俺たちがそんな会話をしながら立ち尽くしていると、


「あ、あのっ!!」

いつのまにか立ち上がっていた女性が俺たちに話しかけてきた。

俺はその人物を観察してみる。


まず服装、高級なものではなく、むしろボロい。さっき地面に転がったから土も付いている。


女性の見た目は若い。多分だが、20代中盤くらいか?

見た目だけでいえばノアのお母さんであるエスリシアさんの方が若いな。


髪型はストレート。これといって語るところはないが、手入れがよくされているのか荒れている様子はなかった。


そしてーーービシィ!!

ノアに叩かれた。


「こらタクミ!!何ジロジロみているの!!お姉さんが戸惑ってるじゃない!!」

そしてノアから注意が入った。確かに、初対面の女性をジロジロみるのはセクハラとして訴えられても仕方がない。


ただ、初めてみた人をみてしまうのはもはや癖みたいなものなので、少しくらい許してもらいたいものだ。


「それに見るならボクを・・・・」

俺を叩き終わったあと、照れながらそんなことを言っている可愛い生物のことは今は放っておくことにしよう。


「えっと、それでなんだったっけ?」

なんの話をしていたっけな?確か、呼び止められたんだよな?


「あの、どうして?どうして助けてくださったのですか?」

女性は困りきった顔でそう尋ねてくる。

あれ?借金返済できたからもっと明るい表情でもいいと思うんだけどなあ。


「それはタクミがああいう流れは大っ嫌いだからだね!!」

ノアがピースしながらそう答えた。

いや、ああ言った流れが嫌いなのは俺の理由だから・・・お前が答えることじゃないから。


「そうだな。弱みに付け込んで・・・っていうのはちょっと嫌いな展開だったから飛び込んだってのはあるよな。」


「そ、それにあんな大金どうやってお返しすれば・・・・・」

またも困り顔で尋ねてくる。

ああ、この人からしたら借金の先が変わっただけで何も問題は解決していないのか。


「だってさ、どうするタクミ?何かいい案はあるの?」


「は?別に返してもらう必要ないから放っておいていいんじゃねえの?」


「え?」

俺の言葉に、その女性は惚けたような声をあげた。

何を言われたか理解ができない。理解が及ばないと言った様子だ。


「いや、だって俺たちが勝手にやってしまっただけで、頼まれたわけでもなかったしな。」


「そんな、いけません。あんなご慈悲をいただいておいて、全く何も返さないなど、許されるはずがありません!!」

俺の言葉は強く否定される。俺としては本当にこのまま何事もなしにどこかに行ってしまってもいい。


だが、それだと相手は納得しないんだろうな。



好意は与える側としては気にならないが、受け取る側は過剰に気にしてしまうものなのだ。


「そうだけど、聞いた話じゃ結構苦しい生活してるんじゃないの?無理しない方がいいよ?」


「それでもです!!、えっと、とりあえず中に入ってください。話はそこでしましょう


俺たちは半ば強制的に建物内に入ることになった。




















こういった、ぶっちゃけ話の本筋的になくてもいいような話を書いているのは気が楽でいいですね。



匠の現在の所持金

だいたい2000万G程度。


リリス 5000万Gくらい


リアーゼ 4500万Gくらい


ノア 4000万Gくらい


エレナ 100万G


律識 100万G(匠からのお小遣い)


シュラウド 1000万G(店の運営資金)


リリスはほとんどお金を使いません。匠がいない場合の食事代くらいです。

あとはエレナの小遣いですね


あれ?一番金遣いが荒いのまさか匠?



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