表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第1章 少女の陰と手にしてしまった罪
17/293

17 今必要なものと商人ギルド



「さて、俺たちに足りないものは何だと思う?」

防具屋を出た時、ちょうどいい時間だったため、俺たちは今昼食をとっている。その途中で俺から出た発言がこれだった。

ちなみに、俺たちが食べているのは『コカトリスのから揚げ』一人前500Gだ。表面のパリッとした触感もさることながら、その肉の柔らかさには目を見張るものがあった。


「ん?ボクへの尊敬の心とかかな?」

あまり深くは考えていないのだろう。完璧にぼけたような答えがノアから帰ってくる。

普段なら、声を大きくして突っ込みの一つや二つ入れただろうが、今は食事中、冗談を言い合うくらいでちょうどいいのだろう。


「いや、それは十分に足りている。もっと、冒険者パーティで必要なものだ。」


「全然足りてないよ!!っと、足りないものといえば・・・荷物持ちかな?」


おお!ノアにしては珍しく早い段階で正解にたどり着いた。いや、この二日の惨状を見ればその答えに行きつくのは自然なことなんだろうけど・・・・

「よくわかったな正解だ。」

俺は彼女の言葉を肯定するように頷く。


そう、俺たちには今荷物持ちが必要なのだ。それもかなりの急務だ。


いや、普通ならこんなことを悩んだりはしていないだろう。だが、連日の魔物の大量発生との遭遇で、アイテムがあふれているのだ。

確かに、魔物のアイテムをドロップする確率は大体10%くらいだ。だが、魔石に関してはその限りではない。

魔石は魔物を倒すと、確実にひとつ落とすのだ。1つ1つは小さな石だとしても、ちりも積もれば山となるだ。

流石に三桁も魔石を持っていれば、体が重くなっていく。

その上、モンスターのドロップ品だ。


通常はそんなもの、捨て置けばいいと思うだろうが、序盤はいかに効率よく自分を強化するかがゲーム攻略のカギになる。

その材料ともいえる魔石やドロップ品はできるだけ捨てたくはない。

現在は、大半を運動能力が落ちてもさほど問題のないノアに持ってもらっているが、それではいざというとき困るだろう。


「なら、午後からは荷物持ちさんを雇いに行くのかな?」


「ああ、どこで雇うことができる?知っていたら教えてくれ」


「確かそういう人たちは商人ギルドにいえば派遣してくれたはずだよ?」

なるほど、商人ギルドか。初めの街にしては結構いろいろなものがそろっているんだな。

俺はこの街の設備の充実に感心しながらも、言われた言葉を頭の中で反芻する。


そして少しあと、俺は決断する。

「よし、これを食べ終わったら案内してくれないか?」

俺たちは商人ギルドに行くことにした。




商人ギルドは街の中央付近に存在した。

場所としては、冒険者ギルドとかなり近い位置に存在する。


「ここが商人ギルドだね!!物の売買や人員の派遣とかを請け負ってくれるよ!!」


「へえ~、物を売ったりするだけじゃないだな。」

俺はそう言いながら、その建物の扉を開く。すると、


「おい!!ふざけるなよお前!!」

ど、男の怒号が聞こえてきた。とっさに身構えて得しまったが、俺に向けられたものではない。


俺は声の聞こえてきたほうに目を向ける。

そこには、3人の男性が1人の女性を囲んで何やら言っているのが見受けられた。

俺は、その会話を聞こうと、耳を澄ます。


「お前の、、、で、、値が、、、下が、、、、、」

「ごめんな、、、、、して、、、い」

「それに、、、ド、、、品を、、、なく」

「やめ、、、だ、、」


先ほどの叫ぶような声ではなく、できるだけ周りの注意をひかないようにしているのだろう。それはもう意味をなしていないが・・・

その声はこの位置からではようやく聞こえるくらい大きさでしかない。

これでは内容の把握をするのは難しいだろう。


だが、それを聞いたのが一般人であった場合の話だ。

過去遊んだゲームの中で、数々の虫食い文を読んできた俺はその限りではない。


俺は瞬時にその状況を理解する。そして、なぜこのタイミングでこれが起きているのかも。


俺は女性を取り囲む3人のほうに向かって歩き始めた。

「ちょ!?タクミ!?あれとかかわるつもりなの!?」

ノアはあれと関わるつもりはなかったのか、そう聞いてくる。


「意外だな。ノアなら真っ先に首を突っ込むものだと思ってたよ。」

俺はその言葉を軽く受け流しながら、男たちに近づいた。


彼らはその女性の説教に夢中になっているのだろう。俺が真っすぐそちらに向かっていることにはまだ気づかない。


「そうか、そんな態度をとるなら・・・・」

男のうちの一人が、そんな言葉を言い放つ。ここまでくれば、耳を澄ます必要もなく、会話の全貌を聞くことができる。

そしてそれを言った男が、女性の髪の毛をひっつかもうと腕を伸ばし始めた・・・その時、


俺の木の剣がその男の側頭部に向けてたたきつけられた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ