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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第4章   魔王の願いと蠱毒の少女
160/293

160 街最強と知らぬ男

ちょっとだけ別視点でこの街のことを大雑把に、、、読まなくても別に大丈夫です。


深夜中にあと1話、戦闘を進めるために投稿します。


俺の名前はアリオス。

この街、ベイルブレア出身の冒険者で、実は案外有名だったりする。

一応だが、この街最強とも言われていたりもするからな。


そのことに関しては普通に嬉しかったし、実際この街で一番強い冒険者は俺だろうという思いもあった。

だがしかし、その思いはつい先日壊されることになった。



そいつらは今現在、冒険者ギルドの中では少しだけ話題に上がる人物だ。


初めてその現象が起こったのは、大体1月かそのくらい前の話。

冒険者は自己の判断で依頼を受ける。

そのためずっと残っているという依頼は一定数存在する。その時存在した『アースドラゴン討伐』の依頼もそのうちの1つだ。

アースドラゴンといえば空は飛ばないが鋭い爪牙や鋼鉄のように硬い鱗などを持つ強敵だ。


その圧倒的な力には生半可な策なんて通用せず、蹂躙されるしかない相手だ。

この街の冒険者で、そいつを確実に倒すことができるパーティなんて存在しない。それ故に、ずっと放置されていたのだ。

ギルド側でも報酬を上げるなど手を尽くしていたみたいだが、その依頼はもう誰も見向きもしなかった。

そんな時、それは起こった。


ある日俺がいつものように冒険者ギルドの依頼板を見ていた時のことだ。

ふと、なんとなく気になって放置されている高難易度依頼の方をチラッと見て見ると、一箇所、空いているところがあったのだ。

俺はすぐにその場所には『アースドラゴン討伐』が張り出されていたことを思い出した。

その時はただ、「あ、金にでも困った奴が一発当ててやろうと考えたのかな?」くらいにしか思わなかった。


だが、少しだけ気になった。

誰があの依頼を受けたのだろうか?


俺はこの街の有名人なだけあってそれなりに顔が広い。

もし知っている人間だったなら、ちゃんと無事に帰って来られるかが心配になったからだ。


普段はあまりこんなことをしないのだが、依頼書を受け付けに持って行くときにでも聞いてみようと思った。

俺はパーティメンバーと話し合い、その日は程よく難易度が高い依頼を受けることにした。


依頼はその日の朝、日が上がりきって二刻ほどしたくらいの時に更新される。

そのため、この時間帯には多くの冒険者が集まり、割りのいい依頼を取り合うように持って行くのだ。

俺もその中の一人、ただ依頼が更新される少し前に来ていたため、余裕を持って好きなものを受けることができた。

俺はそれを受け付けに持って行き、その流れで聞いてみる。


「随分長い間放置されていた『アースドラゴンの討伐』って誰が受けたんですか?あれってずっとあのままだと思っていたんですけど。」


「それでしたら、今日初めて来た方達が持って行きましたよ。」

そうか、なら俺の知り合いということはないだろう。

それにしても、この街にきて初めて受ける依頼がそれだとは・・・よほど腕に自信があるんだろうな。


依頼は達成されなかった場合には元あった場所に貼り直される。

そのため、数日後にまた見てみれば勝てたかどうかくらいは分かるだろう。そう思い俺はその日はいつも通り仕事をした。







数日後

依頼が再び張り出されないということは、あのままアースドラゴンを倒すことに成功したのだろう。

この町の冒険者で、それが出来るのはどのくらいいるのやら。


そういえば、冒険者といえば最近、この街に新しい店が開かれたらしい。

売っているのは木の武具と石の武具が基本の製品なのだと・・・・


初めはアホかと思った。だが、知り合いに聞いた話によると性能はかなりいいらしい。

なんでも、鋼鉄製の武具に迫るくらいには強いみたいなのだ。

それでいて、値段は非常に安価。

駆け出しにはとても助かる店になることだろう。


俺もちょっと見に行ってもいいかもしれないな。

そう思いながら、俺は依頼を確認した。

・・・・・あ!!


よく見て見たら、高難易度の依頼がまた1つ消えている。

あの場所には何があったか。流石にそれは思い出せない。残されている依頼を全て覚えているわけではないのだ。


「すみません。あそこにあった依頼ってどうなりました?」

気づいたときには、俺は既に受付に話しかけていた。


「えっと確か工場に住まう魔物の討伐ですね。それでしたら先日達成された方がいまして。」


「その人物とは?」


「以前アースドラゴンを討伐してくださった方ですね。」


「ちなみに名前ってわかりますかね?」


「えっと、リーダーの方はタクミ、魔法使いの方がノア、戦士の方がリリスと呼ばれていましたね。あともう一人、獣人の少女もいました。」

受付の人は快くそう教えてくれる。普通はこう行った場合は教えてもらえることはないのだが、これもある程度俺がこの街で信頼された存在だからだろう。


タクミ、ノア、リリス・・・・聞いたことがない名前だ。

数日前に初めてここで依頼を受けたらしいし、王都から優秀な冒険者が旅行にでも来たのだろうか?

いや、それにしては一切聞いたことがないというのはおかしい。

ある程度情報収集もしている身だ。ドラゴンを倒せるほどの冒険者を一切聞いたことがないというのは不自然だ。

俺は受付に最後の質問、「そいつらはいつ現れますか?」と聞こうとしたときだった。


ギルドの扉が勢いよく開かれる。

「みんなー!!例の店が竜の素材で作った剣を売っているぞ!!!」

あれはおしゃべりもののピーター、掴んだ情報は誰かに言わなきゃ気が済まない男だ。その性質は他の冒険者から良くも悪くも思われていたのだが、今回はプラスに働いた。


その言葉を聞いて、真っ先に件の店に向かった。

店の場所は話で聞いている。別に複雑な場所に立っているわけではないので、直ぐにそこに向かうことができた。


そこには人だかりができていた。

「「「おおーー!!!」」」

何か、驚くような声が聞こえる。俺は人だかりを押しのけ、中で何が起こっているのかを確認した。

そこにはカウンターに大きめの袋をどさっとおろした女性の姿。

その中身を確認する店員と、一振りの剣を手渡す店員の姿が確認できた。俺が彼女たちを店員と判断できたのは、全員同じような服を着ていたからだ。


剣を受け取った女性はうっとりとしたようにそれを眺め、やがては邪魔にならないように腰に差した。

何か店員と会話をしていたようだが、周りの喧騒もあってこの位置からでは聞こえなかった。


あたりを見渡すと、見知った顔がちらほらいる。

俺はそのうちの一人に何が起こったのかを聞いてみた。そして知ったのはあの女性が先程購入した武器こそ、竜の素材を使った剣なのだそうだ。

少し羨ましいと思ったが、俺には愛剣がある。特に嘆くようなことでもない。


問題はそれが竜の素材を使ったものであるということだ。

俺の予想が正しければ、あれは先日討伐されたというアースドラゴンのものではないか?俺は半ばそれを確信していた。

俺は店の中に入り、店員に話しかけた。


「あの、すみません。」


「ん?お客さんだよね!!?商品ならあっちの方に並べてあるから、好きなものを持ってカウンターに行くといいよ!!」

忙しそうに動くその少女ーーー実際忙しのだろうーー構っている暇はないと言わんばかりにそれだけ言って何かを運んでいる。


「あ、リリス!!そっちの木箱をシュラウド君のところまで持ってってよ!!」

何!!?今リリスと言ったか?

それは俺が気になっている集団の1人の名前だ。もうこれは確定だろう。

色々聞きたかったが、忙しそうで声がかけられない。そうやって俺がぐずぐずしているうちに、別の男がやって来て竜の素材で作られた剣を購入した女性と店の奥に行ってしまった。


それを境にさらに忙しさは増したように見える。


これは日を改めるか。

俺は店を後にした。




次の日も、また次の日も俺がそいつらに話しかけることはできなかった。

だから俺は諦めていつもの生活に戻ることにした。

彼らは店の運営をしながらも、たまに冒険者としても働いているのだろう。


たまに依頼が消えているのが確認されている。

ふっ、今日なんか2日連続だぜ?

『トロール王の討伐』『マジックパラセリアの討伐』どちらも危険な仕事だ。

彼らはそれを早急にこなして直ぐに帰って来ているみたいだ。




そしてついに、その時が来た。


その日、ギルドの依頼板には一枚の依頼が貼られていた。


『緊急:魔王の討伐』

街中に魔王が潜伏している。潜伏場所の調べはついており、周辺住人もすでに避難済みだ。

だが、奴をこのまま放っておけば街が崩壊することは必至。

その為、レベルが30を超えている冒険者は強制参加である。


一瞬、目を疑った。

レベル30、つまりは2次クラスのものは全員参加しなければいけない。

俺も当然その範囲内だ。


2次クラスというのは何百を超える魔物を倒した冒険者だという証、それ故に絶対数は思っているよりは少ない。

だがそれだけ歴戦の勇士ということであった。


そして今日集まったのがその数20余名、正直、負ける気はしなかった。

集まってくれた人たちの中にはあいつらもいた。

知り合いがいなくてすみによって固まっている様子だ。


直ぐにでも話しかけに行きたかったが、俺はリーダーを任されてしまった為この場を動くことができない。

俺は作戦開始の合図を告げる。

作戦なんてものはない。どうせ連携なんてほとんどできないんだ。


互いが邪魔にならなければ問題ないだろう。










魔王との戦闘が開始された。

奴は初めに15体程度の魔物を生み出した。見た目から判断するに、死霊術か何かだろうか?

とても醜い魔物、だがその見た目に気圧される人間はこの場にはいなかった。

魔王を守るように展開している為、その魔物を無視して魔王を攻撃することはできない。


少々癪だが、先に魔物たちを倒してしまうことにする。

そう考えたが事態は悪化した。

先ほどのより強そうな魔物が呼び出されてしまったのだ。まだ先に呼び出されたのは数体残っている。


あれ?1体どこに行った?

注意をしていたはずなのに、敵を1体見逃してしまった。

とっさに周りを確認する。すると俺が見逃した魔物は、俺たちの後方にいた。


そいつは急に現れ、後衛のうちの1人、あの時一度話しかけた女性店員を襲おうとしている。

とっさに対処し突き放そうとしているが、体が半分地面に埋まっている為突き放すことができない。


不味い!!!


なんとか助けないとと思ったが、俺がここを離れることはできないし、今から行っても間に合わない。

そう思った時、魔物の首が落ちた。


あの男だ。あの男が一撃で魔物の首を寸断したのだ。

実際に戦っている俺たちだからこそわかる。魔王が呼び出した魔物たちは強く、耐久力もかなり高い。


だからこそ、あれを一撃倒せるその男は強い奴なんだろう。


新たに呼び出されたのは先のとは違い全て同じ、その暴力的なまでの能力で俺たちを圧倒しようというのだ。

正面から戦ったら勝てない。

俺はできるだけ側面から攻撃するように指示を出した。



4体呼び出されたうちの1体が倒れた。

やったのはやはりというべきか、あの男だ。横合いから一撃叩き切っただけでほぼ致命傷に近い傷を与えているのが横目で確認できた。

彼は倒し終わったことを確認した後、直ぐに次の場所に向かい仲間と合流しさらに1体倒している。


このままでは我々の面目が立たない。

今俺たちは残った人数ほぼ全てを使って1体を取り囲んでいる。

それなのに倒しきれない状況だ。少数で時間を稼いでくれている人たちのためにも、なんとかこいつを倒し切らないといけない。


俺は必死に手を動かした。


途中、パリンという音が魔物の近くでなったのを、俺は聞き逃さない。

それと同時に、魔物の動きが鈍くなった。

これは誰かが弱体化のアイテムを投げてくれたんだな。


そのことに感謝し、俺は一気に攻めるように周りに指示を出した。

魔物の動きがみるみる悪くなっていく。

しかし、もう少しで倒せる、というところでいきなりそいつは後ろを向き、自分の腕を思いっきり遠くへ放り投げた。


一体何を!!?と思ったが、投擲先にはあの男がいた。

先に魔王を倒しに向かったところを阻止されたみたいだ。


続けざまに投擲される魔物の足。

そこで俺たちはそいつを仕留めることに成功したが、魔王の準備も整ったらしい。

魔法は詠唱完了から魔法発動までに僅かにラグがある。

だから俺は魔法発動までの時間に畳み掛けられないかと思ったが、無理だったらしい。


魔王がその言葉を唱えると、空から「醜悪」という言葉がふさわしいような魔物が降りてきているのが見えた。

そしてそれと同時に、魔王側と思われる発言をする男。


どちらも同じくらいの危険に思えた。

どちらか片方は俺たちが束になってかかればなんとか倒せそうだ。だが、両方は流石に無理と思えた。

それに忘れてはいけない。

魔王そのものが動き出そうとしていることも。


状況は絶望的、俺はもう結構諦め掛けていた。

だが、その時ーーーー

「くそっ、リリス、ノア、お前たちはあっちの魔王の足止めを頼んだ!!リアーゼはこのまま周りのサポートを頼む!!俺はエイジスの相手をする。」


あの男の声が聞こえた。

それが最善の手だ。そう確信しているかのような手だ。

彼は1人で、新たに登場した男を抑えると言っているのだ。無理だ。そう思ったが、心のどこかで彼だったらもしかしたら?


そう信じるところもあった。

これは彼に興味を持ち、少しでも周りを調べたり受けた依頼をチェックしてたりしたからだろう。

俺は彼に近づき、「お前1人で行くのか?」と聞いた。それから少しだけ会話をした。


会話の中で彼があの男を知っていることがわかった。

そこで俺はこの人たちは魔王を倒すためにこの街に来たのでは?そう思うようになった。

確かエリックという男が魔王の情報を集めに来たのと、彼らが来たのはほぼ同時期だ。


俺は彼を送り出した。

新しく参戦した男、それに向かって行く様子は敗北なんて一切考えていない。

そんな様子だった。



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みなさんありがとうございます!!!

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