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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第4章   魔王の願いと蠱毒の少女
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144 身と行先

「何とかみんな無事に終わったな。お疲れ様。」

トロール王は見た目にそぐわない知性を見せていた。他のトロールは軒並み本能に従って行動するだけだったので、通常から考えたら考えられない進化なのだろう。


だからこそ、王の名を冠しているのかもしれないな。


まぁ、そのおかげで入り口占拠の危険性に気づいて排除しに来るという罠を踏んだわけだけど。


「いやー、あのおっきいのがこっちに走ってきた時はびっくりしたよね!リリス、ありがとう!!」


「ええ、どういたしまして。」

ノアとリリスがハイタッチをしている。

かつてのようなぎこちなさはなく、そこにはちゃんと仲間意識のようなものが生まれていることが分かった。

よかった。うまくやれているみたいだ。


「それにしてもリリスはすごかったな。あの強撃をその槍一本で防ぎきるなんて。」


「あー、ボクとしてはいつ折れちゃうか気が気じゃなかったよ。」

何で折れなかったのだろうか?

リリスの持っているのはただの鉄の棒、トロール王の攻撃を防ぎ続けるのは難しいと思ったのだけど・・・


「タクミからの贈り物だからよ。そんなに簡単に折れるわけはないわ。」

リリスは全くもって意味が解らないことを言っているのだが、多分そうじゃないだろう。


本当のことを言うと、リリスのパッシブスキルのひとつにアイテム保護というものがあるからだ。

かつて力が強すぎることが原因で家具などを頻繁に壊していた時にスキルポイントが2しか必要ではないからとったスキルなのだが、彼女自身そのことは完全に忘れてしまっている。


その為この事実は表沙汰になることは無い。


「それで気になったんだけどリリス、お前のステータスってどうなってるの?普段から高い高いと思っていたけどトロール王と正面衝突はちょっとびっくりしたんだけど。」

体重や重力を利用した一撃でさえもすまし顔で受け続けていた。

それ相応のステータスを持っているはずだ。力のステータスがとんでもない数値なのはわかっていたけど今思えば正確な数値は知らなかった。


「ん?気になるの?少し恥ずかしいけど別に見せてあげてもいいわよ?」

リリスは胸の前で腕を交差して、少し恥じらいを持った表情でこちらを見てくる。


ステータスを見られるのが恥ずかしい・・・ねぇ。

確かに、これはその人のことが一部だとはいえ詳細に記載されている。

携帯電話の中身を人に見せるくらいの勇気はいるかもしれない。


「別に見せたくないなら見せないでもいいぞ。なんとなく気になっただけで知っていなくても問題はないからな。」

ステータスの数値が分からなくても、リリスがどのくらいのことまでならできるかはわかっている。

知らなくたってどうってことは無い。


リリスは自分のステータスを開いて俺のほうに見せてくれる。




名前 リリス

称号 根源

クラス  踊り子


レベル      49

HP     9412/9412

MP     7910/7910

力      1421

魔力     112

体力     411

物理防御力  309

魔法防御力  212

敏捷     199

スキルポイント 34

状態      弱化



うわっ!!何これやばい。

敏捷とかは俺のほうが高いけど力がとんでもない。

っていうかHPなんだこれ絶対神官職のものじゃねえだろこれ。


リリスはいつもダメージを受けてもさして気にしている様子を見せたことは無かった。

HP的に見たら本当に対した怪我じゃなかったんだな。

っていうか、弱体化しておいてこれかよ。


『白の翼』のやつらは5人がかりとはいえよくこいつを抑えられたものだな。

今更ながら尊敬するよ。

対悪魔のスペシャリストというのは伊達ではなかったということだな。


というか踊り子!!魔力低すぎやしないか!!?

あ、これでも前は高かったんだろうな。


「まじまじと見られると恥ずかしいわね。こんなもの見てもいいものじゃないでしょう?」

色々と衝撃が走る内容だ。

何か悪いことをしているような気分だ。


「いや、ありがとう。これからはリリスさんを怒らせないようにするよ。」


「なんで態度が硬化しているのよ!!?」

何かの拍子で怒らせて殴られでもしたら死ぬ可能性さえある。

なんだよあの力のステータス。

文字通り桁が違ったんだけど!!?


「まぁ、冗談は置いておいてすごいなこれ。」


「あらそう?ありがとう。」


「あ、ボクのもみる?そして褒めてくれてもいいんだよ?」


「あ、ノアのは別にいいや。この前見たし。」

ノアのステータス画面はちょくちょく見る機会がある。

偶にスキルをいじってくれっていう頼みとかあるしな。


ちなみになんだがノアのステータスはいたって普通の魔法使いだ。

体力面が低く、魔力面が高い。

何も言うことは無い。


「えー、酷いよー!!」

酷いというのはどういうことだろうか?そんなことを考えているとどこからかリアーゼの声がかかる。

どうやらドロップ回収が終わったみたいだ。


そろそろ戻ろう。

そして旅の準備をするとしよう。




「それで?今回の報酬は旅行をするのに足りそうなの?」

みんなで食事を囲みながら、そんな会話を始める。


「そうだな。もう少しあったほうがいいと思う。旅費、その他もろもろとしては十分に足りるんだけど、何か起こらないと限らないから明日まで依頼をこなして費用をためようと思うんだけど。」

今回の旅行、もといダンジョン探索への費用はすべて俺持ちだ。

この前のお返しという名目だからここは当然だ。


「足りないならば自分のお金を使ってください。店の利益は元々、タクミ様のものなのですから。」

いや、店の金はすべてシュラウドのものだからな。

別に好きに使いつぶしてもらっても構わないんだけど、言っても聞かないだろうな。


「別にいいよ。それはいざという時のために取っておいてくれ。」

そのいざという時が来ないといいんだけど。

それに、どうせ明日までだ。別にたいして変わらん。


「そうですか。必要になったらいつでもお申し付けください。」


「それで?結局ボク達はどこに行くつもりなの?」

あ、まだ言っていなかったか。

ここは伏せておいたほうがサプライズ感が出ていいと思うんだけど、黙っていたらノアがずっと聞いてきそうだな。

これまでの付き合いでこういうところにはしつこいと分かっている。


「ここから南下したところにあるルイエとかいう街だな。そこの近くにあるダンジョンにでも潜ろうと思う。」


「へぇ、どうしてそこにしたの?」


「理由としては海が近いからだな。」


「海?タクミ海好きなの?」


「いや、海が好きなわけではなくてそろそろ魚料理が食べたい。」

この街も食べ物はうまいんだが、魚介類が一切ないのだ。

運搬の関係上ここで食べるのは無理なのだろう。

日本人としてそれは由々しき事態であった。腹は減ってはいないんだが、少しずつ飢えてくる。


理由はどうであれ行先は決まっているということだ。

ちなみに誰がごねてもこの行き先を変えるつもりは毛頭ない。

ノアのための旅行であるが、魚を食べるという目的はどうしても譲れない。


最悪そこにダンジョンがなくても行くつもりだった。


「わかった。楽しみにしているね!!」


期待に添うようにはしないといけないな。



今回、話が全く進まなくて本当に申し訳ない。

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