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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第1章 少女の陰と手にしてしまった罪
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14. キノコ狩りと覚えたスキル

昼食を食べた後は取り敢えず俺の武器を補充した。

オークのこん棒は攻撃力が低い上に重くて使い物にならないのだ。武器屋は初日に立ち寄った防具屋の隣にあった。

ちなみに店員はこちらも厳ついおっちゃんだ。俺たちは店の中を散策していく。

ノアは今日は武器を買うつもりは無いらしく、俺の後ろに付いて回っている。


「ねえねえタクミ、何かいいものはあった?」

俺の後についてくるのに飽きたのだろう。彼女はそう言って俺に話しかけてくる。


「いや、残念ながらまだ見つかって無いな。」

そう言いながら俺は目の前にある1つの武器を注視する。


名前 鋼の剣

効果 物理攻撃力+25

説明 ありふれた金属製の剣。耐久性に優れる。

価格 30000G


そして表示されるのはいつものアイテム詳細ウィンドウだ。

俺はこの店の武器を1つ1つこうやって注視して回っているのだが、気づいたことがある。


この店の武器は序盤のそれじゃ無いのだ。


正確には、最初期の街のものでは無いということなのだが、質がいいせいか総じて値段が高い。

その為、俺の所持金で買える額を簡単に超えてくるのだ。


しかし、それでも一応は初期の街、購入できる武器も存在するのだが、



名前 木の剣

効果 物理攻撃力+3

説明 木製の剣。安価だが、実用性はあまりない。

価格 300G


どう見ても俺が先程まで使っていた武器なのだ。

これの攻撃力不足は先の戦いで分かっている為、この店で今の所唯一買えるものだとしてもすぐに手は伸ばしたく無い。

あれは最終手段なのだ。


そう思いながら俺は武器屋の武器を全て確認したが、結局俺が買えるものは1つもなかった為、木の剣を購入した。

その光景を見ていたノアが、


「それ、さっき折れたやつと同じやつだけど、よっぽどそれが気に入ったんだね。」

とか言ってきたのが地味に腹が立った。

チクショウ、、、


そうやって気落ちした俺は、その後何もやる気は起きず、トボトボと昨日泊まった宿に帰っていったのだった。




「さて、今日は昨日取っておいたスキルを試そうと思う。」


朝一番、ギルドで依頼を受けて来た俺はノアに向かってそう言った。


「おお!!ねえねえ、なんのスキルを取ったの!?」


「それは見てからのお楽しみだな。取り敢えず2つだけ取ったと言っておこう。」


「むー、教えてくれたっていいじゃん。タクミのけちー」


少しむくれながらノアがそう言った。しかし、すぐに気を取り直して別のことを聞いてくる。


「それで?今日はなんの依頼を受けたの?ボク、今日もゴブリンは嫌だよ?」


「それについては安心して貰っていい。今日は街の北側にある森に生息するマタンゴの討伐、言って仕舞えばキノコ狩りだ。」


ちなみに、今回は1体につき400G、ゴブリンの倍だ。

「キノコ狩りって・・・相手は一応魔物なんだから、油断してやられたりしないでね。」


「大丈夫だ。昨日取ったスキルがうまく働けば、簡単に終わるはずだから。」


「おおー、えらい自身だね。これは期待しても良さそう?」


「おう、大船に乗ったつもりでいてくれ。」

俺たちはそんな会話をしながら、今日の目的地まで歩き続けたのだった。












「うわー、すごいねタクミ!!今日もいっぱいいるよ!!」


昨日も聞いたような台詞を口にするノアが俺の方を見てくる。

その表情はとても明るい。まるで甘いものを目の前にした女子のようだ。


「おい、1つ聞くけど、俺たち呪われているとか無いよな?」

俺は少し引き気味になりながらノアに問いかける。

しかし彼女は、


「何言ってんのタクミ、そんな訳ないじゃない!!」

と声を弾ませながら答える。だが、俺はその言葉を信じない。

というか、信じたくない。


俺たちの視線の先には、大量のマタンゴと思しき生き物がいた。

昨日の今日でこれだぞ?信じられるかよ。


俺は半ば憂鬱になりながらも、取り敢えずは依頼を達成するべきだと思い、剣を軽く構える。


「今日も昨日みたいに足元を水浸しにすればいいの?」

俺が前にで始めた時、ノアがそう聞いてくる。


「いや、今日はそれをやっても効果が薄いかもしれないから普通に遠くから攻撃してていいぞ。」


今日は森の中、木の根などによって地面がしっかりしているだろうので、地面を少し濡らしたところであまり変わりはない。

むしろ、変にヘイトを稼がない方がいい。


そう思っての発言だ。


「ん、分かったよ。じゃあ私はここから攻撃してるね。」

ノアは俺の言葉を素直に受け取り、詠唱を開始する。

詠唱文を聞く限り、昨日と同じものと思われる。


「ーーーウォーター!!」

そして詠唱が終了し、その魔法が放たれる。

俺はその魔法が放たれた少し後に走り始める。速度は放たれた水球と同じ程度だ。


バジャン!!


ノアが放った魔法がマタンゴの内の1体に命中した。側から見たら、大きめの水球がそれなりの速さでぶつかっただけなのだが、それだけでそのマタンゴは絶命し、灰と化した。


そしてそれを機に、マタンゴたちが俺たちに気づいた。

そしてすぐさま襲いかかるべく走り出す。

おそらく狙いはノアだ。攻撃を加えた彼女には、今一番ヘイト値がたまっているだろう。

その証拠に、俺になんか目もくれずに彼女の方向へ向かっている。


このまま放置して仕舞えば、ノアが危険にさらされるだろう。そこで俺は昨日取っておいたスキルの1つ目を発動させる。


「よっしゃ!!キノコども、こっち来い!!」

使ったのは《挑発ちょうはつ》のスキルだ。

このスキルは発動した際に周りの魔物の自分に対するヘイト値をあげる効果がある。


挑発ちょうはつ》を受けたマタンゴたちは、先程は俺を無視しながらノアの方に向かっていたが、俺の方に向き直る。


これで、ノアは安心して魔法が使えるだろう。


ーー相手の攻撃を引き受けるのが、前衛職の役目だからな。

俺はそう思いながら、目の前にいるマタンゴたちに、持っている木の剣を向ける。



先に動いたのはマタンゴの方だった。

俺の武器を見て、下手をしても死にはしないと思ったのだろう。

マタンゴは報酬額で言えばゴブリンの2倍。

ゴブリンを倒すのに2発叩く必要があったことから、マタンゴは最低でも3発は入らなければならないだろう。


マタンゴ自身、それを理解しているのだ。

だからそいつは、恐れも何もなく襲いかかってきた。


そいつが繰り出したのは、体当たりだ。

というかおそらく、キノコの形をしているこいつらは、これしか攻撃手段が無いのだろう。


そいつは飛びかかるように俺に体をぶつけようとする。


俺はそれに合わせるように、木の剣を振った。



俺の剣は吸い込まれるようにマタンゴの体に到達する。

そしてそれは、抵抗を許す様子もなくマタンゴの体を一刀両断することに成功していた。



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