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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第4章   魔王の願いと蠱毒の少女
136/293

136 目の前と完成した魔王城

「勇者たちよ。今回はご苦労だったな。無事で何よりだ。」


謁見の間にて国王が初めにそう口を開く。

勇者たちはほぼとんぼ返りさながらの速度で王都に戻ってきて、それでほぼ傷がないように見えた。

それを見れば勝利を収めてきたと思うのが当然だ。


国王は早速何か褒美を与えなければと思案する。

そして何がよさそうかと勇者たちの様子を見た。


彼らは頭を下げ、横に並んでいる。

案内役を頼まれてくれたヴィクレアも同様だ。それを見た国王は少し違和感を覚える。


頭を下げる勇者たちがどこか重苦しい顔をしているような気がするのだ。


「む?どうした勇者たちよ。何か問題でもあったのか?」

国王はすぐさま感じた違和感を確かめるべくそう問いかける。

しかしすぐに返事はない。


だがいずれ勇者はその重々しい口を開いた。


「王よ。少し、問題が発生したのですが聞いていただけますでしょうか?」


「うむ、・・・話しにくいことなのだな?」


「はい。できればお聞かせするのは最小限の人数にしたいのですが・・・」

勇者がこういうことを言うのは初めてだ。

いつもこのような時は大概依頼を完ぺきにこなして報告するか、もしくは何かを言い渡す時くらいだ。

そんな彼がこうして頼むということはよっぽどのことが起きているのだろう。


「わかった。ちょっと外してくれないか?」

国王は護衛や大臣を部屋の外へと下がらせる。

普通なら護衛を外すような行為は大臣辺りが許さないのだが、今回ばかりは無理を言って外してもらった。

そうでないといけない気がしたのだ。


渋々といった感じに王と勇者たち以外はこの謁見の間から退出する。

それを確認した後、再び問いかけた。


「それでライガ殿、何か問題が発生したのだな?」


「はい。それなのですが―――――」

勇者は2週間前、王都を経ってからの出来事を一つ一つ話始めた。











「なんと・・・そんなことが・・・」

話をすべて聞き終わった後、少し力を抜くように国王は椅子に腰かける。

与えられた情報量が多いため、それを整理しようとしているのだ。

魔王については今まででもわからないことがたくさんあった。


その一つとして、どうして魔王が生まれるのかというものがあったのだが、その秘密を持ち帰ってくれたのだ。

それだけなら嬉しいことなのだが、その内容が問題であった。

確かに、これは他のものにおいそれと聞かせられるようなものではない。

この情報が出回ってしまえば民衆が混乱する可能性が高いからだ。


いや、魔王の成り立ち自体ならいい。

問題の出回ってはいけない情報というのは本物の魔王に対しては勇者では太刀打ちできないということにあった。

他のものを下がらせたという判断は間違っていなかったみたいだ。


「むぅ、これからどうしたものか・・・」


「そのことなのですが、文献などをあさって見えている脅威だけでも対策を立てる必要があるかと思います。」


「確かその魔王の名前はベルフェゴールといったな。・・・聞き覚えはないがだれか知っている者はおるか?」

勇者たちはその言葉に黙って首を横に振るだけだ。

ただ一人、ヴィクレアがぽろっとあることをこぼした。


「あの、現地の冒険者で一人、有益な情報を持っていそうな者がいるのですが・・・」






勇者たちは王都に帰った。

それにあたり俺たちも止まっていた作業を再開しようと思う。

勇者がいるうちにまたエイジスと仲良くしていたら何を言われるかわかったものじゃないからな。


「あいつはあの後姿を見せないし、もしかしたら一人で進めているかもしれない。」

あ、そういえばあの時ゴブリンも置いてきちゃったし案外終わっているかもしれないな。


俺は町はずれの森にゆっくりと歩き始める。

ちなみに今日はリリスやノア、リアーゼなんかは来ていない。

店の手伝いとかなんとか、何やら俺抜きでやりたいことがあるらしい。この感じ、前にもあったよな。


確かドラゴン討伐の時か。

あの時も俺は連れて行ってくれなかったんだったよな。

俺に隠れて何をやってるんだが・・・まぁ、危険なことをしないなら別になんでもいいんだけどな。


そろそろ目的地に着く。

それにつれて声が聞こえてくる。あの声は―――エイジスのものだな。

後ゴブリンの声も聞こえる。

ということは俺の予想通りあいつらはあの後作業を続行したみたいだな。


この位置からでは何を話しているかまでは判別できないが、そこにいるのは間違いないようだ。


「よぉ、久しぶり。」

もう少しでこっちから話しかけようとしたところで、エイジスの方が話しかけてくる。


「久しぶり、ごめんな。手伝いに来れなくて。」


「いいってことよ。作業はもう終わっちまったしな。ほれ、見てみろよ!!」

エイジスは手を大きく広げて後ろの家を差した。

そこにはこの前見た時とはほとんど変わりないが、確かに完成した家――というか山小屋があった。


「そういえば聞いたことがあったかもしれないけどさ、カッコよさを気にするんならこういった山小屋よりもっとデカい奴のほうがよかったんじゃないのか?」


「それはいいんだよ。大切なのはこれがあるって言うことだからな。」

ふーん、それでいいならいいんだけどさ。魔王が町に住んでいる、、っていうよりは魔王が山小屋に住んでいるのほうがかっこ悪くないか?


「でー、この前の時点では外装はできててやったのは内装の家具とかの部分だよな?正直入ってみないとできてるかどうかわからないんだが?」


「ああそうだな。入ってくれ。」


「ウン!自信作ダゾ!!」

技術担当のゴブリンがそういうならまぁ、大丈夫なのだろうな。


俺は迷わず山小屋の扉を開く。

それは見た目にそぐわない、重い金属の扉を開くような音で開く――――――あれ?


「なぁゴブリン、この扉ってこんな音だったっけ?前触った時はほぼ音を立てずに開いたと思ったんだけど?」


「ソレハ最近改造シタ!!コッチノホウガカッコイイラシイカラナ!!」

そのノリでできることなのか?

このゴブリンの技術には結構謎が多いな。


で―――内装は・・・・・


「・・・・・何これ?」


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