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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第4章   魔王の願いと蠱毒の少女
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133 質疑応答と知恵者

前回無理矢理切った余りのため少し短くなっております。

「それでも、それでも俺は魔王を・・・」

倒したい。そう言いたいのだろうか?だがそう言う勇者の歯切れは悪い。

暫定的にだが、倒す必要のない魔王。

そして今の自分たちでは勝てないと分かっている魔王。


そんな相手を、本当に倒しにいく必要があるのか?

信念では倒しに行くべきだといっていても、理性がそれにブレーキをかける。


「何黙ってるのよ!!あいつのせいでアイナが死にかけたのよ!!?倒さなきゃいけないに決まってるじゃない!!」

魔法使いがそんな勇者を見てそう口にした。

仲間を殺されかけた、それだけで戦う理由としては十分なのだと、そう言った。


確かに、俺もパーティメンバーの誰かが殺されそうになったら、激昂して何が何でもそれをやった奴を殺しに行くかもしれない。

だが、冷静に考えれば倒しに行かないほうが賢いのだ。


一度殺されかけている敵、それを倒しに行くということはまた同じ危険を味わう可能性が高いということ。

今回は見た感じ相手は本気ではなかった。

だが自分を殺しに来たものが目の前にいればいつかは本気で戦ってくるだろう。


そうなれば被害は拡大するばかりだ。

最悪全滅まであり得る。せっかく拾った命、無駄にするべきではないのだ。


俺はそんなことを考えながら話の流れを見守る。


「でもよ。そもそも倒しに行くって言ってもあの魔王はどこに行ったんだ?」

話の流れで、戦士がその疑問を提示した。

あいつがどこに行ったのか、その疑問を抱くのは当然だ。


あの魔王は魔物を召喚した後すぐに魔物をはさんで俺たちとは逆の方向に歩き始めたのだが、その途中で突然その姿を消したのだ。

多分移動系の何かを使ったのではないかと思われる。


要するに、誰もどこに行くかは見てないしどこに行ったのかがわからない状態なのだ。


その疑問を聞き、熱くなっていた勇者たちが少し冷静になる。

そして何かを考えるようなしぐさをとり始めた。


「そうだ。あの魔王は確か一度帰るって言ってた気がするわ。だから多分家にいるのよ!!」


「それはそうなんだが、肝心な家の場所がわかんねえんだよな。」


「あの魔王、確かベルフェゴールと名乗っていた。先ほど得た情報では長いこと生きている魔王らしいから文献を漁れば何かわかるかもしれない。」

論点が少しすり替わっているような気がするがそれはいいだろう。

それよりも気になること、、、というよりかはちょっと思い当たることがある。


俺はこっそりリリスのほうへ顔を向ける。


そして小声で話しかける。


「なぁリリス、ベルフェゴールって心辺りあったりしないよな?」


「残念ながらないわね。いきなりどうしたの?」

あれ?ないのか。

リリスが元々いたのはダンジョンの中なのだが、そのダンジョンは俺が見た限りマルクトの邪悪の樹を模している。

ベルフェゴールはその中に配置されていた悪魔だった気がするんだけど・・・違ったのか?


「ほう、この話題の中で真っ先に我ではなくリリーに心当たりを聞くってことは君、知っているの?」

リリスに話を聞いていたのを、マルバスにはばっちりとみられていたらしい。

こっちを見てそういうことを言ってくる。

そしてそのせいで勇者たちにばれてしまったのだろう。


彼らも一度意見交換をやめて俺のほうに目を向けて静かにしている。


「いや、リリスが知らないっていうなら俺は知らないかな。それよりマルバスなら何かわかってるんじゃないか?」


「そりゃあ、ね。」


「本当か!!?教えてくれ!!」

マルバスの答えに真っ先に食いついたのは戦士だった。

机に身を乗り出して食い入るように話を聞く体勢を作る。


「えー、どうしようかな。」

何故かマルバスは教えない。いつもなら大抵の質問には気をよくして教えてくれるのだが、なぜか乗り気ではない。

どうしたのだろうか?


「どうして?やっぱり同族を討伐するための情報は渡すわけにはいかないということかな?」

勇者が考えられる理由を上げている。

成程、そういう考え方もあるんだな。


「いや、勘違いしないでほしいのは我ら悪魔に同族意識はないから。ただ単純に気乗りしないだけだよ。」

そういうマルバスは若干投げやりだ。

教えてあげてもいいけど、意味ないよね?そう言いたいのがひしひしと伝わってくる。

どうしたのだろうか?


「気乗りしないってどういうことさ。別に教えてあげていいんじゃないの?」

それに反応したのはノアだった。

彼女は下敷きになっているスライムを指でつつきながらどうでもよさげな様子でそう言った。


「だって我に得がないし・・・あ、先に言っておくけど頭下げてもだめだから。」

損得とかそういうことを言う奴だったんだな。

俺にはよくいろいろなことを教えてくれるから今回もすんなり教えるものだと思ってたよ。


「ならヒントだけでも教えてもらえないだろうか?」

なんかなぞなぞでもしているかのような空気だな。


「そもそも変に教えて我があれに目をつけられたら面倒なんだけど?」

あ、そうか。その可能性も考えないといけないのか。

そういえば俺が質問した中で唯一こいつが答えなかったのは、エイジスがその体を隠していた時だけだったな。


あの時もそういうことを考えて言っていたんだなと、俺は思い出す。


「というか、そろそろ君は我の質問に答えるべきではないか?」

彼女は話が終わったという風にそう言って俺のほうを見た。

マルバスからの質問?何があったっけか・・・・


この場についてからの会話をすべて思い出してもそのことに思い当たる節はない。


「質問ってなんだっけ?俺一切覚えがないんだけど?」


「しらを切るなよ。そっちの部屋で寝ている奴を助けるときに我の質問に答えるって言っただろうが。」

あー、そうだったっな。

何を聞かれるんだろうか?彼女が大概のことを知っているみたいだし、俺みたいなやつが答えて有益と判断できるものがどれくらいあるかちょっと想像がつかないな。


「わかった。じゃあ俺が答えられることなら何でも聞いてくれ。」


「うむ、その心意気やよし。じゃあさっそく、君の知識の出元と君の出身地を聞かせて。」

マルバスは陽気な声でそうつげるのだった。

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