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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第4章   魔王の願いと蠱毒の少女
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119 ヴィクレアと勇者パーティ

この作品が第四章に入ってから、ほぼ毎日2話ずつ投稿され、そろそろ皆さんがうざいと感じているころかもしれません。

だが!!第四章はこのまま走り切らせてもらいます!!

エリック達が魔王エイジスと激突していた2日後、王国の王都ではヴィクレアがドラゴン討伐完了を報告に来ていた。


「ということで、現地の冒険者の協力もあってブラックドラゴンを打ち倒すことに成功いたしました。」


「うむ、よくやったぞ。流石はオーベル家の人間だ。これからも励むがよい。褒美はまた後日渡すとしよう。」

そう言って上から言葉を投げかけるのはこの王国の国王、その人だ。

彼は近年まれにみる良き為政者であり、民衆からの信頼も厚い。また王とは思えないほど謙虚な人柄で、仕事以外ではこういった上からの物言いはしない。


「では、ヴィクレア嬢は下がってよいぞ。」


「はっ、」

国王からの言葉を受け、それに従うべく跪いていたヴィクレアは立ち上がり回れ右をする。

そこに今から自分が出ようと思っていた扉から入ってくるものがいる。


その人物はなんてことはない、ただの兵士だ。

その兵士はどこか慌てたような様子で王の側近に何かを渡している。


あれは――――手紙?


それが何であろうと自分には関係ないわよね。

ヴィクレアは少し気になりはしたがそのまま退室しようとした。


だが、――――――――


「ちょっとヴィクレア嬢、少しだけ待ってくれるかな?」

部屋を出るために扉の取っ手に手をかけた時、国王によって後ろから呼び止められた。


あの手紙に書かれていたことは私に関係があったのだろうか?と、ヴィクレアは勘繰る。

そしてその予想は当たっていたみたいだ。


「はい。どうかいたしましたか?」


「うむ、今届いた情報なのだがな、お前の弟エリックが魔王の情報を送ってきてくれたのだ。」

何だって!!?と声を張り上げそうになるのをぐっとこらえる。

ヴィクレアのような人間にとって、魔物は敵でしかない。そしてそれの王となればなおさらだ。


すぐにでもその情報に食いつきたい気持ちを必死で抑えて次の言葉を待つ。


「でな、その情報によるとその魔王は現在、ヴィクレア嬢が先日まで滞在していたベイルブレアの街にいるらしいのだ。」


「なるほど、それで私はどうすれば?」

討伐に行けばよろしいのでしょうか?そういう意味を込めてヴィクレアは聞いた。


「それなのだが、勇者パーティを送ろうと思う。だから貴女には案内役をかってほしいのだ。いざとなったら一緒に戦うことも視野に入れてな。」

王は私の意も一応はくみ取ってくれるみたいだ。

ただ案内とは言わずに戦いたかったら戦ってよいといってくれる。


「それと、例のドラゴンを打ち倒すときに協力してくれたというパーティ、その者たちにも協力をしてもらってはいかがかな?相手は魔王なのだ、万全の状態で挑むといい。」


そういえば、タクミ殿たちはどうしたのだろうか?

彼らなら奇策とはいえドラゴンを倒せるのだ。魔王だってどうにかできるのかもしれないが、報告書には魔王がいるという話だけで、戦闘したという情報などは書かれていないみたいだ。


知らない―――ということがあるのだろうか?

一応エリックには彼の店で働くように言いつけていたため、その手紙・・・というか報告書が我が愚弟から来ているのだから知らないということはなさそうだけど。


ヴィクレアはそのことについて少しだけ思案を巡らせる。

その思考の中にまさか魔王と一緒に家を建てている、というものはさすがに出てくることは無かったが・・・・


「はい。承りました。では、今度こそ失礼いたします。」

もう用はない。

そう判断したヴィクレアは扉をくぐりそのまま部屋の外へ出た。


「そういえば、勇者パーティと一緒に行動してくれって言ってたわね。」

勇者とはその国で一番強いとされた人間に与えられる称号、最強の証だ。

そんな人物を今回の魔王討伐に躊躇いなく投入してくるとは、国王様の本気具合が伺われるわね。


取り合えずは私はすぐにあの街に戻らないといけないみたいね。


どっちにしてもドラゴン討伐の報酬を持って行ってあげないといけないから好都合ではあるかな?

証拠の品としてドロップアイテムを借りてきてしまったし、これを返しに行かないといけない。


「ふふっ、帰った時には私の分の制服ができているといいな。」


ヴィクレアは全く関係のないことを口走りながら、その日は王都で居住としている家に帰った。






そして後日、彼女は勇者パーティを連れて王都を後にした。

当然のことながら馬車での移動だ。ここからベイルブレアにつくには大体1週間ってところだ。


「それで、あなたが今回私たちを案内してくれるヴィクレアさんでいいのよね?」

馬車乗り場の前で、勇者パーティの魔法使い役が話しかけてくる。

ちなみに勇者パーティの構成は勇者であるライガ、精霊魔術師のリオーラ、狂戦士のダミアン、そして専属神官のアイナの4人構成だ。


そこに私を加えた5人で今から馬車に乗ろうとしているところだ。


「はい。勇者様たちの案内、謹んで務めさせていただきます。」


「そうかしこまる必要はないさ。いざとなったら一緒に戦うんだろう?それなら俺たちは仲間じゃないか。」

勇者はそう言って頭を上げるように促した。

気にする必要はないさ―――と、


勇者とは初めて会話をしたのだが、人がいいという噂は本当だったみたいだな。

そのことに少し安心したヴィクレアは馬車に荷物を積み込んで自分も馬車に乗り込んだ。


案内役、という名目で付いてくることを許されているが、実際に街までは馬車で行くことができるので私が案内するというのは街の中での話だ。


全員が乗り込み、私から馬車の代金を受け取った御者は前の席に乗り馬車を動かし始める。


「そういえば、今回の情報はあんたの弟が知らせてくれたんだってな。」

馬車が動き出し、ただ黙っているのが退屈だったのだろう。

ダミアンが唐突にそんなことを聞いてくる。


「はい、そうですね。あとで調査書を読ませていただいたのですが、もっと詳しく記せって言いたくなる内容でしたよ。」

我が愚弟が送ってきた魔王の情報は、その大まかな見た目と普段はどこにいる、ということくらいしか書かれていなかった。


一応、一度交戦したらしくその時の様子が書かれていたりしたのだが、その内容が彼のパーティメンバーの放った魔法が何の効果も及ぼさなかったことだけだ。

もっと何が弱点とか、そこら辺のことを書いてほしかったものだ。


「しっかし、魔法が効かないっていうのは厄介よね。どうしたものかしら」


「そう考える必要はないさ。君は補助に手を回していればいい。」

確かに、私は魔法が使えないので対した情報だとは感じなかったけど、魔法が効かないっていうのは案外有益な情報かもしれない。


こういうのは誰が見るかによって意味合いが変わってくるわね。


「なら、今回は俺とライガがメインとなって戦う必要があるな。あっと、あんたも剣を使うんだよな?」


「はい、私のクラスは騎士ですので、近接攻撃が主となりますね。」


「しっかし、いい剣持ってるよな。さすが貴族様、」

いい剣、というのはあの時タクミ殿の経営する店で買った竜爪の剣のことだろう。

確かに、この剣は一級品だ。


「これは家に代々伝わるもの―――というわけではないのです。」


「あれ?そうなのか?そのレベルの剣なんてほとんど市場に出回らないからてっきりそうなのかと。」


「そうなんです。これは今から行く街で購入したものですね。アースドラゴンを倒した時のドロップ品から作ったらしいですよ。」


「へぇ、確かベイルブレアって地方の街だよな?そんな街にアースドラゴンを倒すことができる奴がいるんだな。」


「はい、実はその方々にこの前のブラックドラゴンの討伐を手伝ってもらいました。」

まぁ、パーティリーダーはまずついてこさせてもらえないなんてトラブルもあったけどね。

内心そんなことを口走る。


「俺としてはどちらかで言うとその素材を加工した人に興味があるね。確か竜の素材って加工が難しいんじゃなかったっけ?」


それについては説明が難しいわね。

シュラウドがどうやってこれを加工しているかは見たことがないから知らないし・・・


「あ、そういえば国王様が可能ならその者たちにも協力を取り付けたらどうかって言ってました。」


「それはどうなの?人が増えると、連携、難しい。」

これには反対意見が出た。いくらドラゴンを倒せる人物でも、数をそろえればいいわけではないだろう。


それにドラゴンだったらこの勇者パーティも狩ることができるらしい。

それも真正面から挑んでだ。


タクミ殿たちは勝てはするけど危なっかしいからな。

ある意味賢明な判断かもしれない。


彼はあんまり危ないことは好みそうにないし・・・・


その後も話は続く。

そしてどのくらい話をしただろうか?


「そろそろ暗くなってきたんでここで止めますね。」

気づいたらもう夜だ。

今日はこれ以上進むことはできなさそうね。仕方ないからここで野宿するとしましょう。


馬車の御者はそれも仕事のうちに入っているのか、通行の邪魔にならないとこでテントを張り始めている。

その手際たるやもうすでにプロの域だ。


「今日は野宿かー。」


「屋根が欲しかった。」


「水浴びできる場所くらいほしかったわね。」


「ガハハハ、いいじゃねえかたまには。」

口々に文句のようなことを言っているが迷いのない動きでテントを貼っている御者を手伝いに行っている。

私も一足遅れてそれに続くのだった。






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