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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第4章   魔王の願いと蠱毒の少女
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107 魔王!!?と悪魔


「おう、来たか。もうできてるから好きなところに座ってくれ、ってなんだその獣!!」

食堂に行くと俺たちの姿を見たイアカムが驚いた声を上げる。

あぁ、そうか。


リリスがそういう態度をとるので当然のように連れてきたけど、ライオンがいたらそりゃあ驚くよな。

それでもパニックにはならないイアカムや周りの人には少し驚いたけど、まぁ、魔物が蔓延る世界ではこういう動物くらいなら落ち着いて対処できる範囲に入るんだろう。


「あー、リリスのペットなんだけど。こいつにも何か食べさせてあげることはできないか?代金はちゃんと払うからさ。」


「お、おう、わかった。お前らと同じものでいいんだよな?」


「ああ、それで大丈夫だ。」

食べても食べなくてもいいということは何を食べても大体大丈夫ということにはならないだろうか?

そもそもこいつがリリスと一緒で何も食べなくてもいいかはわからないけど。


「おい、お前、我をペット扱いとはずいぶんと舐めたことをしてくれるな?」

どうやらこのライオンはそれが不服だったらしい。


「でもこれのほかにどうやって説明したらいいかよくわからないんだけど?悪魔ってことをばらすつもりか?」


「我はそれでも別に・・・・」

このライオンは正体をばらされようが一向にかまいませんが?とでも言いたげな表情――――動物の姿のためよくはわからないけど――――でそう言っている。


正直な話正体をばらされたら困るのは実際は人間側なのかもしれない。

リリスをして強いと言わしめる相手が街中で戦闘を開始しようものならどれだけの被害が出るかが分かったものじゃないしな。


「これでいいんだよな。」

少しするとイアカムが俺たちの夕食とそれとは別の大きな深皿に入った肉を持ってくる。

そして彼はそれをライオンの目の前に置いた。


「あ、そうだお前さん。そろそろ宿の契約期間が切れるからどうするか決めてくれよ。」

イアカムは皿を配置し終わった時、思い出したかのようにそのことを話題に出した。

そうか。もうこの街に来てそのくらい経つんだな。


「って言ってるけど、みんなどうしたい?」


「ボクはどうでもいいよ!!別の街に行くのでもいいしここにとどまっても!」


「私はまだこの街にいたいわね。まだ気になる食べ物がいくつかあるし。」


「自分もどちらでも、しかし街を出る場合には店のほうをどうするかを決めなければいけません。」

あー、それもあるな。

何もなしに閉めたら何か言われ―――るか?これ。

別に誰かに追い回されるようなことがないならば別にいいかもしれない。

あ、でもなんかヴィクレアが戻ってくるとか言ってたからそれまでは待たないといけないな。


「私は皆さんの意思に従います。」


「我ももう少しこの街にいる。理由はリリスと同じ。」

さらっとこの会話にライオンが参加しているんだけど、まさかとは思うけどこいつはこのままついているつもりだろうか?

その場合はリリスに舵取りを頼むとしよう。


「じゃあとりあえずもう1か月追加でお願いします。これ、代金です。」


「ありがとよ。じゃあ、ゆっくりしていけな。」

イアカムは俺の手から金を受け取ってから厨房のほうに戻っていってしまった。

咄嗟にこの場で渡してしまったのだが、今考えたら宿の受付をやっているときにしたほうが手違いがなくてよかったかもしれないな。


今日の夕食は――――やはり肉!!

この店は基本的に夕食には肉を出されるのだ。冒険者もこれにはにっこり。

いつもは何も感じないのだが、怪我をして体力を消耗している今日みたいな日には確かに助かる。


「そういえばさ、聞きたいことがあるんだけど。答えてもらってもいいかな?」

俺は食事の途中、おいしそうに肉を食むライオンに向けて質問を投げかける。


「ん?別にいいけど?」


「じゃあ遠慮なく、この街に魔王が来ているらしいんだけど、何か知らないか?」

というか、お前が魔王とかいう展開はないか?そういう意味も込めて聞いてみる。

エリックがあれから一向に姿を見せないから魔王の詳細もよくわからないままだし、ここはこのライオンに聞くことにした。


リリスはこのライオンを強い悪魔だといった。

俺の知識の中でライオン型の悪魔といえば何柱か、心当たりのあるものがある。


1柱目はブエルといわれるゴエティアの悪魔、5本のヤギの足とライオンの頭を持つといわれているあれだ。


次の2柱目以降はソロモンの72柱の中の悪魔だ。

下から順番にヴァプラ、オリアス、アロケル、ヴィネ、サブナック、プルソン、ヴァレフォル、マルバス、どれもライオンの部位を体に持っている。


そして全て悪魔の階級は上のほうだ。

加えて言うならプルソンやヴィネは階級的には王だ。

魔王がこの街に来ているという情報と併せて考えるとこいつが魔王だっていうことも十分あり得るのだ。


「と、思っているところ悪いけど我は別に魔王じゃないよ。魔王はあっちで大ぐらいをしている奴。」

―――!!

思考を読まれた!!?


「いやぁ、流石に露骨すぎるよ。このくらいなら悪い人を見てきた悪魔たちなら普通に読み取れるさ。」

当然、といった様子だ。

ってさっきなんて言った!!?あそこで大量に飯をほおばっている奴が魔王!!?


「うん、あれが多分君が言っているこの街に来たという魔王だろうね。まぁ、あれかどうかは確認をとってないから知らないけど多分、多分あってると思うよ。」


あれかどうか?ということは?


「そうだね。察しがいい、魔王は複数いるよ。当然だろう?人間の王も複数いるんだから。」

チッ、あれを倒してゲームクリアというわけにはいかないらしいな。

まぁ、どこかでそんな気はしてたよ。いや、本当、俺くらいになると倒せばクリアかどうかなんてすぐにわかるんだ。


誰にしているかもわからい言い訳を俺は心の中で続ける。


いや、もしかしたら目の前のライオンが何かまた気づいてたりするのかもしれないな。

そんなことはどうでもいいけど・・・・


俺は魔王といわれた人物のほうに目を向ける。

奴は何をしている?


―――――肉を補給している。


・・・・いや、ちょっとやってみたかっただけだけどさ、それ以外にわかることがないんだよな。

見た目は深いフードに覆われていてたいして判断材料になりそうなものは得られないし、しいて言うならその大きな体くらいか?


服の上からでもマッチョなことくらいはわかる。

だがそれだけだ。そいつの顔も、見た目の特徴もつかめてこない。


「なぁ、あれが魔王っていうなら何か特徴的なものはわかるか?」

さっきから何気に物知りなライオンさんに聞けばわかるのではないか?


「それはさすがにフェアじゃないかな?あれだってそれを隠したくてあんな服装を選んでいるんだろうし。じゃあ、我は食べることに集中するから」

そうか、だめか。

これ以上話を聞いてくれる様子はないし、俺も食事に専念するかな。

詳細は一応だけどエリックが調べてくれているらしいし、今度探して集まった情報を聞き出してみるのがいいかもしれないな。


間違っても、今強行突破するべきではない。


「何?タクミ、魔王討伐にでも目覚めちゃったの?」


「やめときなさい。魔王なんて倒してもどうせほかのやつが魔王になるだけよ。不毛にもほどがあるわ。」

そんな会話をしていた俺たちには2人はあきれ顔だ。

この世界の住人の認識として、魔王は倒すものではないらしい。






俺は食事が終わり、そういえばと聞きそびれていたことを一つ聞いてみることにした。


「そういえば、ライオンさんは名前はなんていうんだ?」

これを知っているといないとでは結構違っていたりする。

そのくらい名前は重要な要素なのだ。


「それを教えて何になるというのだ?」


「いや、単純に呼びにくいなぁって思って。」

これは完全な建前だけどな。これも読まれているだろうがまぁいいだろう。

最悪リリスに聞けばいいだけの話だし。


「はぁ、我がここで答えなくても我のいない場所でリリスに、、、か、仕方ないね。我の名はマルバス覚えておいて損はないよ。」

ふむ、えらく質問に素直に答えてくれると思ったけどマルバスだったんだな。


マルバスとはソロモン72柱の序列第5位の大悪魔だ。

疫病を振りまいたり逆にそれを癒したりすることができるらしい。

そして伝承によれば知識を授けてくれる存在でもあるとか。


ちなみに、シェイクスピアの作品にバルバソンという悪魔がいるらしいが、それはこれではないかという説もある。

まぁ、何が言いたいかというと悪魔の中では結構有名な存在ということだ。


「ということは、望めば人間の姿も取ってくれたりするの?」


「望めばね。あんまり好きじゃないから普段はこの姿だけど、人の目も欺けるしね。」

あぁ、そういえば俺も言われるまで――というかこいつがしゃべるまでただのライオンとしてしか見てなかったからな。

こいつがこの姿で草原にいても誰も気が付かないまでありそうだ。


「というか、そんなことも知っているなんて興味深いね。リリスのことも詳しいところまで知っていたらしいし、どこでそれを知ったか教えてもらっても?」

うっ、それを聞かれると少し困る気がする。

この世界はゲームの中で、そして俺は外の世界から――――とか言っても絶対に信じてもらえないだろうし、かといってなぁ。


「えーっと、リリスが教えて―――――「くれたわけじゃないよね?」」

言い訳は先回りされるっぽい。

これはどうしたものか。


「まぁ、人には言えないことの一つや二つ持ち合わせているってことで納得してくれないかな?あんたにはわからないかもしれないけど・・・」

様々なことを暴露する悪魔であるマルバスという存在にとってはその気持ちはわからないかもしれない。でも、人間が何かを隠す生き物であるということくらいは理解してほしいものだ。


「まぁ、、いいか。」


お、納得してくれた。

マルバスはそれだけ言って部屋のほうに先に一人で戻ってしまった。





・・・・あれ?なんであいつ、俺たちの部屋に向かって戻っていっているんだ?

若干の不安を覚える行動だった。



最近、なろうの迷言みたいなものを見たんですけど、、、、凄いですね。これを目指せばいいんですか・・・


私も肉を両面焼きしたら褒められますかね?


補足、途中でいくつか悪魔の名前を出していますが、ライオン型の悪魔はあれが全てとは限りません。

あくまで作者の頭の中にあったやつです。

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