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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第4章   魔王の願いと蠱毒の少女
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102 無理と無為

俺は説明書の文字に再び目を通していく。


初めは世界観の説明や、初期クラスの特徴など大したことは書かれていない。

いたって普通の説明書だ。


これは外れか?

そう思って俺が読み進めていくと、終わりに差し掛かったあたりでそれらしい情報が記入されていたことに気が付いた。


『ここの文章まで真剣に読んでいる君はこの世界の脱出方法を真剣に探していることだろう。

安心してほしい。この世界から元の世界に戻る方法は簡単だ。このゲームをクリアすればいい。

そうすればいつでも世界を行き来できるようになる。だから今はただ、私が作ったこのゲームの世界を存分に楽しんでくれたらいい。では、健闘を祈っているよ。』


最後のページのほんの一部分、その情報は入っていた。

製作者はこの世界からの脱出方法をちゃんと用意してくれていたのだ。


それを読み終わった俺は一度大きく息を吸ってからそれを吐き出した。

そして――――――――――――



「パッケージ裏にこのゲームにクリアの概念がないとかなんとかかいた奴はどこのどいつだよ!!!!!!!」

説明書を地面に向かってたたきつけた。

この世界には特定の目的はない。ただ自分の思うがままに、それがパッケージにも、説明書の前半部分にも書かれてあった内容だ。

まさか最後の文章は後付けか何かか?


そう思わせるかのような適当具合だった。


「はぁ、これが本当ならもう俺は元の世界には帰れないと思ったほうがいいのかもな。なんだか、ネバーランドみたいだ。」


ネバーランド、こどもの国。

大人はいないからずっと遊んでいられる世界の話だ。夢の国として知られるその世界だが、そんな世界にも暗い部分は存在していたのだ。


子供はいつか成長する。そうすればいつかは大人が誕生する。そしたら――――いや、やめておこう。

考えても栓のないことだ。

この世界はゲームの中という夢のような世界ではあるが、それと同様にここから生きて出ることはできない・・・と思われる。そして最後は――――――、チッ・・・


俺はたたきつけた説明書を拾い上げポケットに入れる。

そして今見たことを忘れようと全力疾走でシュラウドが働いている店まで走った。













「じゃあこれ運んでおくな。」


「はい。お願いします。」

いつもと違って今日は2人しかいないが、それでも何とか店は回っている。

それでもきついのは変わりないんだけどな。早くあいつら帰ってこないだろうか。


いや、帰ってきても疲れているだろうし働かせないほうがいいのか?


「なあシュラウド、俺たち以外の従業員って雇わないのか?」

この店の運営は任せているのだからそこらへんは彼の自由なんだけど、シュラウドは一向に人員を増やそうとはしない。


「はい。ギリギリ自分一人でも店を回すことができますので必要ないかと思いまして。」


「そうか?でも一人じゃ何かと不便じゃないか?店頭要員くらいはもう少し配置したほうがいいと思うんだけど。」


「そうですか?何とかなっているので大丈夫だと思いますよ?」

でもなぁ、今日だって俺がハブられることがなければ1人で回さなければいけなかったし、それもギリギリって今本人が言ってたしなぁ。

何とかしなければならないだろう。


う~ん、バイトの募集でもかけてみるかな?


そんなことを考えながら仕事をしていると店のドアが勢いよく開け放たれる。

ドアの近くに他の客がいなかったからよかったものの、こういう開閉方法は今後はやめてほしいものだな。


―――ってあれは・・・


「どうやらお困りのようね!!私が何とかしてあげましょう!」

店に入るなりすぐにそんなことを口にする人物。その人物には俺は見覚えがあった。


「お前確かノアと戦ってた魔法使いだよな?今日は何の用だ?言っておくけど店の襲撃とかだったら容赦せずにぼこぼこにするつもりだからな。」


「そんなことしないわよ。というかわたし、あそこをクビになったのよ。」


「で、それで仕事がなくなったから人手が足りなさそうなこっちに雇ってもらいに来たって感じか?」


「そ、そうともいうわ。」

う~ん、個人的に助かりはするんだけど数日前には敵だった奴を雇い入れるのは少しリスクが高いようには思えないだろうか?

前のところをクビになったというのもいまいち信用できる情報であるかはわからないし。


「というか、あれだけ戦えるならここで働くよりパーティでも組んで外に出たほうがいいんじゃないのか?」

なんか戦っている最中に魔職の中でも優遇されたものを引き当てたとかなんとか・・・というか、前の仲間たちはどこへ行ったのだろうか?


「だって最近割に合う依頼がないのよ。」


「あ~、」

なるほどなぁ。俺もこの前ちらっと見てみたけど依頼の難易度が異様に高いような気はしたんだよなぁ。

結構いい仕事だと思った工場の魔物の討伐だって蓋を開けてみればあんな目にあったんだし。


「シュラウド、こいつが雇ってほしそうな顔でそっちを見てるぞ。雇うか?」

まぁ、こういうのは俺が決めることじゃないしな。俺はお決まりの台詞でカウンター下を何か整理しているシュラウドに話しかけてみる。


「えーっと、自分は別にいなくても問題はないのですが?」


「雇いましょうよ!ほら、私はいざとなったら戦闘もできるわよ!!?」


―――――バン!!!

また、店の扉が勢いよく開け放たれた。

こちらの話が全く進んでいないというのにこのタイミングでだれが入ってきたのだろうか?

こういうのはひと段落つけてから来てほしいもんだな。


「ってあれ?エリックじゃん。どうしたんだこんなところまで。」


「おぉ!!情報は正しかったのだな!!わが友よ!今日は朗報を持ってきたのだ!!」

入ってきたのはエリックだった。

彼は満面の笑みで再会を喜んでいる。


「朗報?何かあったのか?というかお前仲間の人は?」


「あぁ、彼らは今は宿で待機しているのだ。それよりも聞いてくれなんとあのダンジョンの先へ続く道が発見されたのだ!!君の言った通り、第三階層が終結ではなかったみたいだぞ!!」

あぁ、開いちゃったのね。

あのダンジョンというのはクリフォトのダンジョンのことだろう。

第三階層はいままでの認識として行き止まり、つまりあの場所より先はないという感じだったのだが、ついにその先が発見されてしまったみたいだ。


まぁ、大方戦闘中にスカった攻撃が壁に直撃したんだろうな。


「ああ、忠告はしておくけど軽い気持ちで第四階層にはいかないほうがいいと思うぞ。行くときは何があってもいいように準備しておくことだな。」


「ふむ、その忠告は受け取っておこう。」


「ってか今回ここに来たのはそれだけが理由なのか?」

それだけのためにあの長い道のりを伝ってこの街にまで来るとは思えないんだけど・・・・まぁ、なんかエリックならやりそうな気がするんだよなぁ。



「ふむ、それもあるのだが今回ここに来たのは依頼があったからだ。今日は街についたばっかりということで休息もかねて来たというわけだな。」


「へぇ、そうなのか。頑張れよ。」


「うむ、応援ありがとう!!」

それにしても第四階層見つかっちゃったか~、これ、明らかに俺が原因だよな?

俺が第三階層の魔物の定期掃討とか依頼したのが悪かったんだろうな。まぁ、冒険者が探索中に命を落とすのは自己責任だろうし気にすることじゃないのか・・・


俺がここまで気にする理由として1つ、あのダンジョンの性質というものがあった。

『クリフォトの樹』というものは10の悪徳(クリファ)によって成り立っている。それとは別に場所の区分があったりするのだ。


10i、9iは地獄そして8iは地獄の門7iは死の影・・・そして6iからは少し位が上がるのだ。

何かの話で聞いたことがあるのだが、クリフォトは10~7が下級、6~4が中級、3~1が上級の地獄として分けられることがあるのだそうだ。


それになぞらえているのなら、第四階層からは敵のひいてはダンジョンの凶悪性が増している可能性があるのだ。

まぁ、俺がまたあそこに行くことはないだろうから気にするべきことではないのだろうが、俺が原因となって地獄の門である8iが突破されたということのため、一応忠告だけはしておくことにした。




「じゃあ、給料は時給5000Gってことでいいわね?」


「え、えぇ。」

あ、俺とエリックが会話をしている間に彼女を雇うか否かという話も裏で進んでいたみたいだ。

もう雇用するということは確定した事実になって今、給料の交渉が終わったみたいだ。


ってか時給5000って、こいつはとりあえず一時間はたらけば宿で一泊して食事をもらってもおつりがくるのか・・・


「ふふん、わたしはお高い女なのよ。わたしを働かせたかったら最低限このくらいはつむべきね!」

胸を張ってそんなことを言っているが、そもそも頼み込んでいるのはお前のほうじゃなかったか?

いや、確かに人員的な話で困っていたのは事実だからいつかは誰かを雇ったんだろうけど・・・


「では、僕は今日はここで帰るとしよう。またいつか来るだろうから―――――



――――バン!!!

ん?今日は会話の途中に誰かが扉を叩き開けるということが多いな?今日はそういう日なのか?

エリックが立ち去ろうとドアへ近づいたとき、店の扉が再び強く開けられ近づいていたエリックはその勢いに敗けてしまい倒れこんでしまう。


全く、今度は誰だ?

流石に三度目となれば驚くことは特にない。

わからないのは誰が来たかくらいだ。


俺はドアのほうに目を向ける。


「うわあああああん、タクミー!!死ぬかと思ったよー!!」


そこにはボロボロになり泣きべそをかいているノアがいた。

よかった。無事だったんだな。

みんなが帰ってきてくれたことに少しだけ安心を覚えながら俺は、


「おかえり。どうしたんだそんなにボロボロになって。」

と、今日の話を聞く姿勢を作った。



誤字脱字を探しています。

見つけた方はお手数ではございますが作者にお伝えください・・・と、迷子風に書いてみる。


後で見返して思ったんだけど今回話が飛びまくっててわかりにくいですね。

謝っておきます。

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