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俺の地下迷宮探索ツアー。その1

あれから5日後、内閣府の方より連絡が入った。


徒歩で来られるなら内閣府庁舎に、もし自前の車両等で来られるのなら六甲山を超えた裏側にある有馬温泉駅の駅前に来てほしいとのことであった。


俺たちは、再び1号・2号とジープに分乗して有馬に向かうと伝えて出発した。


六甲山の尾根沿いに東に少し走ったところで左に折れ、裏六甲ドライブウェイに入った。裏六甲の山道は少々険しかったが、無事に下り終え、六甲有料道路を経て有馬温泉駅に到着した。


駅前の道路は、あまり広いとは言えずトレーラーを駐車するには無理があったので、アユハルとハクを駅前に降ろして近くの観光バスが停まる駐車場へと移動した。



アユハルとハクの元に温泉街には似つかわしくない、スーツ姿の二人組が汗を拭き拭き近付いてきた。

一人は、内閣府庁舎で総理室まで案内してくれた人であった。


「いやぁ、先日は失礼いたしました。本日はお暑い中ご足労いただきまして誠に恐縮であります。」


「いえ、こちらからの申し出を快く引き受けていただきまして。我々の方こそ感謝いたします。」


形式ばった挨拶をかわしつつ、その男は名刺を渡してきた。


「内閣府総務部部長 川柳 宗助」名刺にはそう書かれていた。


「早速なんですが、その場所までご案内いただけないでしょうか?」


アユハルが丁寧に言うと、川柳は自分の車の後に付いてきて欲しいと脇に駐車してある乗用車に乗り込んでいった。


アユハルからの連絡を受けた俺たちは、駐車場を出発し駅前に向かい二人を回収後、その車の後を追うことになった。



一旦山道を北の方角に下り街に出た。看板を見るに三田市のようであった。

そこから数キロ北に走ったところに、小高いと表現した方がいい感じの小さい山とその裾野に広がる大きな公園があった。その有馬富士公園と書かれている公園の中を突き抜ける様に道路が走っていて、その途中から山に向かう道が伸びていた。


小高い山は、有馬富士と言って標高が374メートルの山でその麓までこの道は続いているようであった。

途中に大きなゲートが設けられ、厳重なチェックが行われていた。


ゲートをくぐり、程なく行くと山の中に入って行くようなトンネルになっていた。


トンネルはそのまま地下にもぐり込む形で、長い緩やかな下り坂となっている。


地上から100メートル程潜ったであろうか、目の前の視界が広がった。野球場がまるまる一つは入りそうなその空間の向こう側には、何本ものリニアモーターカーのホームが並んでおり、1台のリニアが停車していた。


このリニアは、人を乗せる客車は先頭の1両のみで、残りは貨物用となっていた。

俺たちは係員に誘導されるままに、リニアの荷台部分に車を乗せた。


車が車両に乗ると係の作業員が車体を固定し始め、俺たちは客車に誘導されたのであった。



客車には、既に川柳らも乗車しており、彼らの対面の座席に俺とアユハルが座ることになった。他のメンバ

ーも思い思いの座席に座っていた。


「川柳さん、このリニアはどちらへ向かうものなのですか?」


「はい。これは農耕地エリアへと向かいます。」


俺の質問に川柳は未だ引かない汗をぬぐいながら答えた。


農耕地エリアは、この宇宙船の中央部分の6層に分かれているエリアの4層目に位置しているらしい。

縦横それぞれ250キロの広大な大地に完全にオートメーション化された水田、各種畑などがあり、この船全体の穀物や野菜を賄っているという。


その1層上は、同じ広さの大地に森林が広がり、果樹園等も点在している。この船全体の酸素の供給にも役立っているという。


1層下は、広大な海水スペースで様々な魚介類が養殖されている。海の上は無数に点在する浮島を縦横無尽に桟橋が繋いでいた。


最下層は、各種資源を貯蔵していている倉庫のようなものらしい。


1層目は、軍の本拠地であり、元々は東北地方があったとのことで、2層目は沖縄となっている。リゾート地ではあるが、今はほぼ軍によって掌握されていて、そこへのルートは閉ざされているらしい。



話をしているうちに穀倉地帯の駅に着いたようである。


ボタンが、俺たちの座席に近づいてきて、座っている川柳の横に立った。


「川柳さん、内閣府のサーバーへアクセスするためのパスワードを教えてくれない?」


不躾にもそう要求しだした。


川柳は困り果てた様子であったが、ボタンの気迫に負けて内閣府へと電話を始めた。


―ボタンのやつ…結局プロテクト外せなかったようだな。



川柳は、総理より許可を得てボタンにパスコードを教えた。


パスコードをメモしながらボタンは、これからは自分たちのみで行動するので付添いは結構と突っぱねるように言った。


―ボタンって怖ぇ…



それは困ると最後まで抵抗していた川柳であったが、総理からの許可してあげなさい。との一言で決着がついたようであった。



「それでは、私共は戻りますが…お帰りになられる際にはリニアを手配いたしますので、名刺に書いてある連絡先までご連絡をお願いいたします。」



そう言い残して、川柳はリニアに乗り込んでいった。



リニアを見送った後、俺たちは1号のリビングで今後の行動について話し合うことになった。




それにしても広大な農耕地である。


おそらくそこの中心部分にある駅なのだろう。ぐるっと全景農耕地で全方位奥がかすんで確認できない広さである。




―それにしても、のどかだなぁ。



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