俺の新たな門出。
一夜明け、ハクの両親への説明と説得も無事終わった。
実家に帰った時に手伝うのなら…との条件であったが。
―宇宙艦隊の将官が、実はお菓子屋さんだったなんて…
―なんだかラノベが書けそうだな。
俺とハクとボタンの3人は、喫茶店で談笑していた。
そんな折、俺たちの腕時計型端末に呼び出しのコールが鳴った。
内閣府から至急来て欲しいとのことであった。
幸いにして、ここから内閣府の庁舎までは徒歩で5分とかからない距離なので助かった。
日傘を差しているとはいえ、ボタンがいつ目を回すか気が気でないのもあったのだが。
内閣府に着くと、係の役人に総理室まで案内された。
この庁舎全体も快適な室温調整されていたのだが、総理室に入ると更に心地よい冷気に包まれた。
出迎えてくれた播磨総理に案内され、奥の部屋にあるモニタールームに通された。
「先ほど宇宙防衛軍より緊急の連絡が入ってね。今コールしてもらうから少し待って下さい。」
20畳ほどの広さの部屋の壁に巨大なモニターが備え付けられてあった。
すると間もなくモニターの回線がつながり、男性の姿を映しだした。
「閣下。お久しぶりであります。早速ですがご報告いたします。先ほどナグモ元帥閣下より入電がありまして、敵の攻勢が激しく味方の8割を失い、辛うじて戦線を離脱したとのことであります。」
「しかし、敵の制宙権の真っただ中にあり、進退窮まっておるとのことであります。つきましては、イズミ閣下に救援隊を率いていただき、味方の救出と敵部隊の撃退をお願いしたいとのことであります。」
うやうやしく敬礼するその士官に対して了解した旨を伝えたところ、リニアの線路の敷設がまだ終了していないとのことで、航空機を1機迎えによこすとのことであった。
「総理。緊急事態のようなので、俺はすぐに赴かなければならなくなりました。そこでお願いがあるのですが…」
ボタンが俺の自宅に居を移すことになったので、そこの1室をオペレーションルームに改装して欲しいことと、更にホットラインにアクセスすることを許可して欲しい旨をお願いした。
「ボタン。今日は自宅に戻れそうにない。コマチ姉さんの事を頼んでもいいかい?」
「ええ。任せときなさい。でも…無理しちゃダメなんだからね…ハクも。」
「大丈夫だって。俺たちは何世紀も戦い続けてきたんだぜ。ボタン、うちの両親にもよろしく伝えといてくれるかい?」
俺とハクは、政府が用意した車にて神戸空港に向かったのであった。
「ハク。お前、長年のブランクで感覚が鈍ってないだろうな?」
「そのままそっくりお返しするぜ。足が震えてるんじゃないですか?イズミ閣下。」
二人には、まだ軽口を叩けるだけの余裕があるようだ。
晴れ渡る空の下、2人を乗せた航空機は一路宇宙防衛軍に向かって飛び立ったのであった。
再びこの宇宙船に平和の訪れんことを祈って。
冒険編~終~




