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俺の冒険の準備。

何だかんだ言いながらも免許を取得した俺たち。


その後も、トウカのお父さんの知り合いの有名車メーカーの某テストコースを借り切って、日々運転技術向上に勤しんでいた。


これまたトウカの関係で、車やバイクを入手できた。


知らないうちに大型免許も取得していたハクとアユハルには、特注の大型トレーラーを。


ハクの方は、荷台をキャンピングカーのように改造していて、更にオフロードバイクを4台も収納している。

アユハルのトレーラーは、コンパクトカー一台を収容し、車などを整備出来る機械等が満載である。


俺たちは、ハクの方を「1号」、アユハルの方を「2号」と呼んでいる。


バイクに乗るのは、俺とタケゾウで残りの2台は予備である。コンパクトカーは、基本的にボタン専用であるが、買い出し用でもある。


トウカは、どこから持ってきたのか…

軍用でも使われている装甲車とSUVのハイブリッドみたいな車だ。天上からのみ出入り可能なので、ちょっと面倒であったが、丈夫さだけは折り紙つきである。何故かピンク色だが…


この車の車名聞いたのだが…あまりにもダサかったので「ジープ」と呼んでいる。

前列に3名、後列に3名乗車できるが、荷室部分に魔改造を施し高性能端末やら良く分からない機械類を所狭しと配置し、全て白地にバラの模様…あ、これ牡丹の花か…があしらわれていた。車外には大きなアンテナまで装備されていた。


ボタンは、ここに入り浸るのであろう。



運転の練習後は、「1号」に集合して、地図とにらめっこしたりボタンが新たな情報をつかんだ時は、それについて話し合った。


ちゃんと立派な宿泊施設も用意してもらってたのだが、これも予行演習とみんな「1号」で寝泊まりしていた。


「1号」は、助手席側の側面前方と後部ハッチに出入り口を持っているが、基本は側面の方を利用している。扉を開けると足元に三段のステップが出てくる仕様になっている。


入り口から入ると、畳み半畳分の玄関スペースに2メートルある天上まで繋がる下駄箱と収納棚になっている。入って正面には冷蔵庫とその上に電子レンジがあり、向かって左は運転席と助手席の後部の壁となっていて大きなテレビがそこにかかっていた。向かって右には、3人掛けのソファーが向かい合うように設置されており、その間にソファーにサイズを合わせた収納可能なテーブルがあった。壁のテレビの下に一つ折り畳みのパイプイスがあるのだが、それが俺専用であった。


玄関の下駄箱・収納棚の裏はキッチンになっており、その並びの奥にトイレとシャワールーム、そしてバイクを収納しているガレージへ続く扉があった。ソファーセットの後ろからガレージの壁まで2段ベッドのスペースになっている。


ただ、この2段ベッドは、この室内からは入れずに一旦ガレージに出てから入る仕組みになっている。ガレージ側からの入り口は、まるで蜂の巣のように上に2つ、下に2つと出入り口をアコーディオンカーテンで仕切られている細長いスペースがある。カプセルホテルを想像してもらった方が分かりやすいかも。


この4つに仕切られた2段ベッドに男4人がそれぞれ寝るのである。ハッキリ言って狭い…


女性3名の寝室は、室内からガレージの上に梯子で上って行った所にある。高さこそ80センチ程しかないが、ガレージの面積分の広さなので快適そうである。



まあ、最初は7名もの人間が寝泊まりしなきゃならないので、「2号」に女性用の寝室を作るかどうか迷ったのだが、ボタンの買い出し用の乗用車も必要でしょ。との一言で現在の惨状と相成ったわけである。




運転の練習や走行時の隊列の組み方等がそろそろ煮詰まってきたので、最初に何からすべきかを話し合った結果、全会一致でやはりあの黒くかすんで見える大きな山脈のような壁に出向いて行って、調査することになった。



そう決まると、トウカが壁に面している佐用町に別荘があるので、そこを拠点にしようと提案してきた。



「トウカよ。お前のとこはどれだけ別荘持ってるんだ!?」


半ば呆れ気味に半ば興味津々にハクが訊いた。


「どうかしら…全ては把握してないもの。でも、全ての街にはもれなくあるはずよ。」


俺たちからは、感嘆のため息しか出てこなかった。



「でも、トウカにゃんのおかげでこんな楽しいことが体験できるのにゃん。」


「そういうことだよねぇ。アカシさん、感謝してるよぉ。」


タマキとタケゾウは、楽しそうに言った。



そう言えば、ジープに専用のスペースを作ってもらったボタンもご満悦な様子だな。


俺も相当楽しんでるので人のこと言えないか。


アユハルは…いつも通り本読んでますな。



だが、俺には一つ重要且つ難題な案件が控えているのだ…


「コマチ姉さんには、何て言ってごまかそう…」


思わず声に出てしまっていた。



アユハルがピクッと反応した…のを視界の端で捉えた。

コマチ姉さんが絡むと分かり易い奴になる…愛い奴よ。



「昨日私がコマチ姉に電話しといたよ?夏休み明けてもトウカちゃんのところで泊まり込みの受験勉強するってね。」



―ボタン。グッジョブ!!



でもまあ一応俺からも「元気だよ。」と電話で伝えとくか。






それから俺たちは、出発に備えて食糧、水、燃料等の確認を始めた。


そうは言っても、別に辺境に行くわけではないので何も不自由は無いと思うんだがね…

雰囲気作りは、冒険の大切なエッセンスなのである。




待っていろよ「壁」!!


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