俺のプロローグ。
さて、夏真っ盛り。
作り物と分かっちゃったこの日差しと暑さ。
分かっちゃいるが…暑い。こればかりはどうしようもない。
俺は、イヤ フユキ。18歳。受験を控えたバリバリの高校生である。
この夏休みを利用して、同級生であるアカシ トウカの計らいで部活のメンバー全員の車及びバイクの免許を取得しに来た。
何故、名前がカタカナ表記なのかって?
俺の国では、ずいぶん昔から簡略化の為にそうなっている…としか説明できない。
どうやら俺の部活のメンバー7名のうちトウカを除く6名には、特殊能力があり18年前にプチ転生を果たし紆余曲折の後に俺の住む町、神戸市にやって来たのだ。
俺たち能力者の事を「Will Diver」って呼ぶんだ。
腦でイメージした物を創造することが出来る能力なのさ。考えようにはとても便利な能力だよね。
それもそのはず。元々は限りある資源の有効活用の為に開発された能力だもの。
細かいことは端折るが、空気であろうが何であろうが原子や分子があるものを、その構造や性質を変化させることによって、まったく違うものに作り替えることが出来ちゃう能力。
要するにアレだ。錬金術師みたいなものさ。
この街が。この国が。この世界がー。
全て巨大な船の中なんて信じられるかい??
転生前の記憶を取り戻した俺だからこそ信じられるが、最初は夢物語の様だったさ。
18年前の過去よりずっと、この船の中で宇宙軍と陸海空の軍が武力紛争を続けている。
俺たちは、それを止めなきゃならない。そのためにこっちのエリアに転生してきたんだから。
軍の黒幕は、俺たちと同じ「Will Diver」だ。
それも強力な奴だ。「God's territory」と呼ばれるクラスだ。
…まあ、俺とボタンもそうなんだけどね。
ボタンは、気の遠くなるほど昔からの俺のパートナーだった女性さ。
コンピューター関係のエキスパートで、赤みがかった髪のスタイルよし。顔よし。の完璧さ。
…黙っていればーだが。しかも完全インドア派で日の光にめっぽう弱い残念女子でもある。
後のメンバーは…
ハク。こいつは長身でスポーツ万能だが、ちょっとオツムが残念な所が短所であり長所なのかもしれない。
有名な老舗菓子店「高砂屋」の跡取り息子さ。
そして、俺たちが所属する部活「宇宙防衛軍」の部長でもある。
アユハル。成績優秀でいつも冷静沈着。物凄く頼れる男だ。
眼鏡のフレームが光る時、それはこいつの絶好調のサインである。
眼鏡を外すと超絶イケメンに大変身。タマキはメロメロである。ただし、超年上萌えである。
タケゾウ。チャラい見た目と言動とは裏腹に鋭い洞察力と変に偏った知識でいつも助け船をくれるいい奴だ。性格に裏表がなく一番信用が出来る類の人間かもしれない。
ちょっと調子に乗って失敗するところも魅力の一つかもしれない。
タマキ。小柄で華奢な女の子。愛らしいその容姿には似つかわしくない巨乳ちゃんである。
何故か語尾に「~にゃん」と付けたがる残念系でもある。良く付け忘れたりもしてるが。
転生前は、男だったって事はナイショである。
「God's territory」に匹敵するほどの能力の持ち主でもある。
トウカ。この国に財閥と言うものは存在しないのだが、父親が数多の会社を経営し全てにおいて成功を収めている人物で、そこの「超」お嬢様である。言われないと分からないほど普通のオーラの持ち主であるが。
その底知れぬ財力と人脈には大変お世話になっている。多分これからも…
以上の7名が「宇宙防衛軍」メンバーである。
…詳しくは、「ちょっと変な俺の街~日常編~」を読んでいただけるとありがたい。
―てへっ
そんな俺たちが織り成す物語が、また始まる。