第三話 目覚める
その後、俺は彼女から今の状況についていろいろ
と説明を受けた。
まず、俺が今いるのは幻想卿という場所らしい。なんでもここは、博麗大結界という強力な結界によって外部と遮断されているらしい。この結界は、外の世界から忘れ去られたものが集まるそうだ。さらに、驚くべきことにこの結界内には妖怪が住んでいるらしい。
結界は、妖怪たちを守るために八雲 紫が能力で作ったそうだ。
なんでも彼女は"境界を操る程度の能力をも持っていて、よくわからんが俺の魂だけを持ってきたのも
その能力らしい。俺はまだ忘れ去れてないということだ。良かった。
宏「まあ大体わかったが、何で俺を連れてきた
んだ?」
俺の疑問をぶつけてみたが、
紫「……秘密よ」
と、その後ものらりくらりと質問に答えてはくれなかった。
宏「そういえば、妖怪ってのは人を襲うのか?」
紫「襲わないわよ。"中に住んでいる人はね"」
ということは、外から来た奴は襲うという
ことか……
宏「それじゃあ俺は、すぐに死んじまうぞ?」
そう言いながら昔の事を思い出していた、昔の俺なら
どんなに無理な事もためらわずやっていただろう。
こういう事を思う時に、俺は老いを感じずにはいられなかった。
紫「あら、心配 は要りませんわ。」
彼女は言った。
紫「体に工夫をさせていただきましたので。」
さらに彼女は続けて言った。
紫「あと、あなたは18歳の時の体にさせてもらいまし
た。」
え?と俺が聞き返すと、彼女はこう続けた。
紫「私はあなたの魂だけをここに連れて来ました。です
ので、魂の入る器を別の者に造らせておいたのです。」
そうか、と言うと急に眠気が襲ってきた。
紫「そろそろ、この夢もおしまいです。準備が整うころで
しょう。」
宏「わかった………ここまでやってくれて…"ありがとう"」
紫「"ありがとう"……ね、では"おやすみなさい"…」
宏「おう、じゃあ"おやすみ"……」
そう言うと、俺の意識は暗闇に飲まれた。