第二話 気づく
紫「宏……ね……平凡な名前ね」
紫はクスクスと笑った。
宏「余計なお世話だ、それより俺は死んだんじゃな
いのか?俺は末期ガンだったはずだ。生きて
いるはずがないだろ?」
前から思っていた疑問を口にした。俺自身も自分が
死んだことは"何故か"わかっていた。
紫「そうね………」
宏「勿体振らずに教えてもらえないか?」
俺は自分が今どんな状況に、置かれているのか知りた
かった。自分が何故生きているのか、ここはどこな
のか、自分の家族はどうなっているのか、純粋に知りたかった。
紫「………何故あなたは、自分が"今"生きていると思っ
ているの?普通なら自分がこんなに何もない、
暗闇の中にいたら死後の世界にでもいるんじゃ
ないかと思わない?」
宏「?……勘だが?」
即答だった。
紫「……ふふっ、面白い人ね」
宏「勘は大切だぞ?」
勘は大切だと経験で知っていた。現役の時は何度この
"勘"に助けられた。
紫「そうね……確かにあなたは死んだわ」
宏「やっぱりか……なら何で俺はここに居るんだ?」
紫「それは、あなたの魂だけをここに連れて来たか
らよ」
宏「魂だけを?」
次回に続きます!