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第二十話 動き出した歯車

「――いよいよ、機は熟した。我々はバハールを攻める」


 立ち並ぶ武官、文官にむかい、意を決した表情でグロールが言葉短く、だがはっきりと告げた。一瞬の沈黙の後、場が騒然となる。いずれ戦になるだろうとは皆が考えていたが、いざ決定となると動揺するのも無理はない。

 グロールの命により、この評定の間には百人長以上の階級の者はすべて集められている。

 今のグロールの言葉は、彼らを通じてコインブラの全兵士に伝達されることになる。

 ちなみに、ノエルとシンシアも列の端の方で参加している。


「今、なんと申されましたか?」


 文官のペリウスが一歩進みでて真意を尋ねる。この場での言葉は冗談ではすまない。重臣だけならともかく、この場にいる全ての者に緘口令を敷くなど不可能に近い。確実に今の言葉は漏れることだろう。


「バハールを攻める、と言ったのだ」

「それは、ご本心でございましょうか」

「交渉のときは終わったということ。先日よりアミルに詰問の使者を送っているが全て黙殺されている。奴の臣であるリスティヒの首すら奴は受け取らなかった。その引き換えに、あやつが寄越した無礼な書状を見てみろ!」


 グロールがぐしゃぐしゃに丸まった書状を懐から取り出し、ペリウスに放り投げる。中を確認すると、七の月、一日に帝都フィルーズにおいて“昇陽の儀”を執り行うと書いてある。これは、グロールに対し式典に参列するようにという招待状だ。


「まさか、この時期にアミル様を皇太子にご指名されるとは……」


 ペリウスが思わず顔を顰める。そのようなことをすればどうなるか、皇帝ベフナムが予測していない訳がない。自らの息子たちが帝位を巡って争うよう、敢えて火に油を注いだのだ。生き残った者に後を継がせる気だろうが、アミルが本命視されているのは疑いない。何もしなければ、そのままアミルが皇太子の地位を掴むのだから。


(なんとしても止めねばならぬ。無益な血が流れることはもとより、今のグロール様と疲弊したコインブラでは、バハール公にとても及ばぬ。皇帝への野心さえ抑えれば、太守として生きる道はある)


 “昇陽の儀”とは、太陽帝ベルギスが大陸を統一後に定めた制度である。自らが皇帝に最も相応しいということを、大陸全土に知らしめるための式典。持ちうる全ての兵を動員して帝都に上り、自らの武力と財力を披露する。異議があるものはそれを上回る力をもって阻止すべしという古いしきたりである。

 とはいえ、前もって皇帝の許可を得ていなければ“昇陽の儀”は行なわれる事はない。大軍を動かすのは簡単なことではないのだから当然ではあるが。そして、実際にそれを阻止するための行動が起こされたこともない。そうなる前に、対抗馬となりうる者は懐柔、もしくは粛清されているからだ。いわゆる、予定調和の儀式である。

 どこか気がふれたような表情で、口元を歪めるグロール。顔は青白く、頬がひくひくと引き攣っている。


「兵を動かしバハールの土地を侵せば、敵味方問わず民の血を流すことになります。我らの兵も多数失うことになりましょう。それだけの大義が、此度の戦にあるとは思えませぬ。ここは陛下に急使を送り、先の反乱の事実が解明されるまで、昇陽の儀の中止を申し入れるのが最善かと!」


 ペリウスは声を荒げて訴える。仮に天運が味方してバハールを打ち破ったとしても、その先に待つのは茨の道だ。アミルを倒したとしても、そのまま皇帝になれるという保証などない。むしろ、世を乱した逆賊を討つという大義名分を掲げ、他の州の太守が皇帝候補に名乗りをあげる可能性が非常に高い。乱世が再び訪れることになる。


「私に、大義がないだと? 何をたわけたことをぬかすか! アミルめの策謀により、一体どれだけコインブラの民が死んだと思っている! 我等には彼奴めに復讐する義務がある!」

「太守、軽挙に逸ってはなりませぬ。これはバハール公が仕組んだ罠、みすみす乗ってはなりませんぞ!」

「黙れペリウスッ! 既に決めたこと、今更翻意などありえんわ! 罠であるならば食い破れば良いだけのことだ!」

「いけません! 太守、冷静にお考えください。バハール公による見え透いた誘いではありませんか。なによりも、先の反乱でコインブラの民は疲れきっております。いまこそ、彼らに救いの手を伸ばすのです!」


 グロールは皇帝の器ではないかもしれない。だが、世に噂されるような無能な暴君では決してない。それを長年仕えているペリウスは知っている。今の窮状を打破しようと、グロールはペリウスたち文官の声に耳を傾け、必死で努力してきたのだ。幸い、バハールの策謀による赤輪軍の反乱は退け、最悪の状況は回避できた。もう焦る必要は何もない。こちらさえ手を出さなければ、バハールは動けない。

 本当に大事なのはこれからだ。金鉱に頼らず生きていくための新たな産業の育成は、少しずつだが動き始めている。コインブラ州が有する肥沃な平野、豊かな海洋資源を最大限まで活かす。内陸部では真似出来ないコインブラの利点だ。州都マドレスが賑わいを見せれば、交易は再び活性化する。一朝一夕で結果はでないが、芽は確実に出ているのだ。無駄な戦をしている場合ではない。


「ええい、聞く耳持たぬわ! 私には悠長に待っている時間などない! アミルめに尻尾を振るような輩は、我が家臣に必要ない!」

「どうか私の話を最後までお聞きください。我々の努力は、もう間もなく成果がでようとしています。貴方が取り組んできた計画が、立派な花を咲かせる日がやってくるのですぞ。その日まで――」

「――太守!」


 ペリウスが更に諫言しようとするのを遮るように、将軍のウィルム、ガディスが前へと進み出て敬礼する。


「おお、ウィルムにガディスか! お前達の意見はどうなのだ。まさか、将軍ともあろう者が、ペリウスの如き臆病風には吹かれまいな?」


 見定めるような視線のグロールに、ウィルムは首を横に振る。


「このウィルムを見損なわれますな。コインブラの軍人たるもの、戦いとなればただ主の剣となるのみ。一兵卒にいたるまでその意志は変わりませんぞ。立ちはだかる者は全て粉砕して見せましょう!」

「民達を煽動し反乱を起させ、多くの血を流させたのがバハールであるのは明白。更に、サーラ様の御身体が思わしくないのも、全てはあの反乱が原因です。どちらに大義があるかは、世の良識ある者ならば承知しております。太守、お心のままにお進みください。我等はどこまでも従う所存!」


 どことなく演技ぶった口調で、声を荒げるガディス。多少の観察力があればその白々しさに気づくのだろうが、グロールは感極まって、涙まで浮かべている。アミルへの憎しみ、怒り、嫉妬により目は曇り、愛妻のサーラが危篤状態に陥ったことで冷静さは完全に失われてしまっていた。今のグロールの頭にあるのは、アミルを排除することと、サーラの命が尽きる前に皇太子の地位を得ることだけだ。帝位を獲得し、死に行く妻に自らの栄光をなんとしても贈りたいのだ。


「……流石は私が最も信頼する者たちだ。お前達の忠誠と覚悟、確かに見届けたぞ。この上は、バハールへ攻め入り、アミルの非を世に知らしめてやろうではないか。奴には昇陽の栄誉などではなく、落陽の汚名を存分に与えてくれるわッ!」

「ははっ、我等武官一同、グロール様のため、コインブラのため最後まで全力で戦うことを誓いまする!」

「ウィルム、そしてガディスの両将よ。お前達の働きに心から期待しているぞ!」

「ありがたきお言葉。このウィルム、太守の信頼に必ず応えてみせましょう」

「将の地位と名誉に賭けて、必ずや太守に勝利を!」


 ウィルムとガデイスは視線を合わせた後、列へと戻っていく。


「これで我らの方針は完全に決まった。今まで私が汚泥の如き屈辱にひたすら耐えてきたのは、後顧の憂いを断つ必要があったからだ。その甲斐あって、ゲンブの協力を得る事ができ、ギヴ州からも多大な支援物資が到着した。……そして、諸君らにはもう一つ素晴らしい報告がある」


 グロールが手招きすると、文官の列から一人の男が進み出てくる。金髪で痩身、全身を豪奢に着飾った、長い顎鬚が特徴的な中年の男。


「こちらはリベルダム州の特使、グリエル殿だ。以前より内々で進めていた話が纏まり、ようやく諸君らにも紹介することができるようになった」


 リベルダムという名が出たとき、場がざわめく。それも当然だ。リベルダムはバハールと極めて親しい関係にあり、逆にコインブラとは疎遠である。コインブラが没落した原因は金鉱の枯竭と大陸との貿易中断だが、もう一つの理由は海運都市リベルダムの著しい発展にある。

 南方諸島、リベルダム、バハール、帝都と繋がる新しい貿易ルートは、夥しい人の流れと、富と幸福を呼び込んでいった。コインブラの没落と引き換えに、バハールとリベルダムはめざましい発展を遂げたと言ってもよい。


「ご紹介に預かり光栄の至りです。私はリベルダムの特使、グリエルと申します。此度の一件、我が主もバハール公の卑劣な行いに憤慨なさっております。故に、我等としては、今後何が起ころうとも中立を維持することをコインブラ公にお約束いたしました」

「中立の維持、ですと? 太守、グリエル殿の今の言葉、まさか信じるおつもりではありますまいな!?」


 ペリウスがグロールに問い質す。ペリウスにしてみれば、とても信じる事はできない。むしろ、バハールと組んで包囲してくるという方が現実的だ。それほどコインブラとの仲は険悪なのだ。


「私は彼らの言葉ではなく、リベルダムの歴史を信じる。彼らは体の髄まで商人なのだ。機を見るに敏。反乱軍を打ち破った我らにこそ勢いがあると、彼らは踏んだのだ。その証として我々に莫大な資金を提供してくれた。私が勝った後、決してリベルダムに害を加えないという約束でな」


 グロールが書をペリウスへと投げ寄越す。そこには、リベルダムから送られてきた金貨の数量が記されている。


「……太守のお言葉ですが、私にはとても信じられません。どうか、冷静にお考えください。リベルダムはバハールと最も縁深き州、それが我らに味方するなど天地が裏返ろうともありえないことではありませんか。彼らが寄越した金など、彼の州の財力から見れば些細なもの。何の保証にもなりません」

「太守、恐れながら私も同意見です。どうかご再考を」

「ペリウス殿の申す通り、ここは焦るのは禁物かと。今判断を誤れば、恐ろしい災禍を招きますぞ!」


 ペリウスに近しい文官たちが口々に同意する。確かに、リベルダム人が根っからの商人というのは間違いではない。彼らは命よりも金を大事にし、利益を得るためならば、何でもする。故に、信用できない。現状はバハールのお抱え商人なのだからなおさらだ。将来の優良顧客のアミルのため、下手な芝居をするくらいわけはない。

 リベルダムの戯言を信じて開戦を決意するなど、正気の沙汰ではない。ペリウスは必死に訴えかける。

 ――だが。


「また臆病風に吹かれおったか腰抜け共がっ!」

「太守は既に判断を下しておられるのだ。そのご意志に逆らうということは、反逆罪に等しいことぞ!」


 ウィルム派、ガディス派の武官たちが怒声を上げると、文官たちとの応酬が始まる。


「反逆者とは聞き捨てなりませんな! 不要な戦いを避けるのは当たり前のこと。匹夫の勇に駆られているのはそちらであろうが!」

「黙れッ!! ウィルム様、ガディス様の両将が同意され、太守が開戦の判断を下されたのだ! 既にコインブラの方針は決まっている。貴様らのような惰弱な臆病者は城に篭って金勘定でもしておれ!」

「左様。ここで様子見など好機を逃すに過ぎぬ。ペリウス殿、恥というものを知っておられるならば、直ちに職を辞されるがよろしい!」

「血気に逸った愚者の意見など聞くに値せず!」


 ペリウスも負けじと一喝する。勢いだけの武官たちは一瞬身を竦ませるが、再び罵声を飛ばし始める。

 評議の場での勢力は、ウィルム派、ガディス派、そのどちらにも属さない者の3つに分ける事ができる。ウィルム、ガディスが開戦に同意した以上、武官たちの殆どは開戦側だ。対する反開戦派はペリウスを筆頭とする文官と、数少ない武官のみ。冷静に現状況を判断できる者達ばかりだが、不幸なことにコインブラにおいては非主流派だった。


「太守、調子の良い甘言に乗ってはなりません。一度戦が始まれば止めるのは容易なことではありません。どちらかが致命的な敗北を喫するまで続くのです。それに、我等が劣勢と見れば、リベルダムは確実にこちらに攻め入るでしょう!」


 ペリウスの言葉を聞いたグリエルが哄笑する。


「ハハハ、これは異なことを仰られますな、ペリウス殿。今回の戦において、決定的な劣勢に陥るというのは、すなわち敗北を意味するもの。攻め寄せるのは我等だけではなく、隣接する全ての州ではありませんかな?」

「グリエル殿は何が仰りたいのか!」

「今申し上げた通りです。リベルダムは資金を提供し、中立を維持するとわざわざ申し上げているのです。これを信じられぬというのであれば、我らとしてはバハールに味方するしかありませんな」

「好きにされるがよい! 我らが開戦するという前提で話をするのは止めていただきたい! 同じ帝国の臣同士、無用な戦などする必要はない!」

「これは失礼を。グロール様のお心は決まっていると早合点しておりました。心から謝罪いたしますぞ」


 激昂するペリウスに、深々と頭を下げるグリエル。それを見たグロールが怒鳴り声を上げる。


「控えぬかペリウスッ!! ……グリエル殿、我が家臣が失礼した。そなたの言う通り、私の心は既に決まっている!」

「ハハハ、お気になされますな。我らとて、中立などという都合のよいことを言っている事は重々承知しております。そして、リベルダムの世の評判が芳しくない事もです。いやはや、悪評というのは実に拭い難い物ですなぁ」


 グロールの評判が芳しくない事を承知で、グリエルが慇懃無礼に頷いてみせる。だが、興奮しているグロールはそれに気付けない。グリエルは口元を歪めながら言葉を続ける。


「グロール様、要は勝てば良いのです。この戦は、どう言い繕おうとも帝位を巡るものになりましょう。勝てば、貴方こそが正義となる。我らは貴方の器、そして太陽の如く燃え盛るその執念に賭けてみたいのです。執念こそが人の心を動かすのですから」

「……私はアミルごときに負けぬ。必ず勝利し、ホルシードの頂点を、太陽の座を手にしてみせる!」

「その意気でございます。……グロール様、決して焦ってはなりませぬ。慎重に、そして武威を示しながらバハールを着実に制圧していくことが肝要です。一度の敗戦が命取りとなりましょう。努々お忘れなきように」

「グリエル殿の忠告、心より感謝するぞ。急いてことを仕損じるわけにはいかぬからな」


 グリエルの言葉にグロールが重々しく頷く。それを見届けると、グリエルは満足そうな笑みを浮かべ、退出していった。


「――全将兵に告げよ。帝位を狙う君側の奸、アミルめに鉄槌を下すため、我がコインブラは兵を挙げると。準備が整い次第出陣し、カルナス城塞を陥落せしめバハール領に雪崩れ込むぞ。詳細はウィルム、ガディスより全州兵に通達させる。各員心して準備せよ!!」

『応っ!』

『コインブラ万歳、グロール様万歳!』


 グロールが立ち上がり気勢を上げると、居並ぶ武官たちが敬礼してそれに応えた。開戦に反対した文官たちは、もはや止める術なしと天を仰ぎ嘆息することしかできなかった。それでも止めようとしたペリウスは衛兵に拘束され、強制的に退出させられていった。


 ちなみに、端にいたノエルはつい居眠りをしてしまい、シンシアに背中を思い切り抓られていた。

 


 


 ウィルムが執務室に戻ると、ロイエが押し殺した声で尋ねてくる。


「父上、このままで宜しいのですか?」

「……何がだ」

「戦になれば、コインブラ領は相当の被害を受けます。領土の荒廃、兵の損失を招くのは必定。……ならば、いっその事我らの手で太守を拘束、もしくは亡き者に致しましょう。ここに至っては、悪名など気にしている場合ではありますまい」


 ロイエがグロールの積極的な排除を提案してくる。コインブラの兵権の大多数を握っているのはウィルムとガディスの両名だ。ウィルムが反旗を翻してグロールを拘束すれば、戦を起こすまでもなく事は収まる。アミルの皇太子就任の儀はつつがなく執り行われることだろう。


「滅多なことを申すな。太守の排除は我々が為すべきことではないのだ。それに、此度の戦はアミル様の御意志でもある。アミル様は、太守を踏み台として更に名を挙げるつもりなのだ。」

「太守を討ち取るのはアミル様でなければならぬと、そういうことですか」

「アミル様は野心強きお方、自らの手で完全に決着を付けたいのだろう。此度の戦で武名を高めれば、今後の円滑な大陸統治にも繋がるのだからな。……私としては、無用な戦はできれば避けたかったのだが。ふん、そもそもはあの愚かな小娘がいなければ避けられた戦だ!」


 ノエルの顔を思い出し、憎々しげに吐き捨てる。その後で眉間に皺を寄せて、気を落ち着かせるために深く息を吐く。

 そう、無用な戦を避けたかったのは事実だ。ウィルムが排除したいのはグロールだけなのだから。コインブラ人が死に、コインブラ領が荒れる事態は本意ではない。本来であれば、グロールの愚かな考えなどに賛同する訳がない。


「父上はそれを知っていたから、太守の軽挙に賛同なされたのですか」

「そういうことだ。でなければあのような妄言に、私とガディスが乗るはずがなかろう。我らはコインブラの将なのだ」


 ウィルムの工作により、ガディス一派も既にアミルとの内通を果たしている。まだ迷いはあるようだが、ほぼ間違いはあるまい。戦の後は、ウィルムとガディスがコインブラを統治する約束となっている。


「しかし、ペリウス様は完全に現状を見抜いておられましたな」

「あやつの粘りは予想外だった。危うく押し切られるところであったわ。文官にしておくのは惜しい男だ」


 ウィルムの声が勝ったのは、グロールからの信頼の厚さもあるだろうが、耳に聞こえが良いからだ。ペリウスの諫言は、グロールにはさぞかし耳障りで癇に障ったことだろう。


「実に、皮肉なものですね」

「太守が激昂しているときに、正面から正論で諌めても徒労に終わる。私は長い間太守に仕えてきたゆえ、その性格を誰よりも知っている。あれに支えるだけの価値があったのならば、どれだけ良かったことか」


 ウィルムは疲れたように嘆息する。アミルがコインブラ太守だったならば、ウィルムは喜んで働いたことだろう。グロールにはそれだけの能力はない。己より明らかに劣る愚かな若造に気分で動かされるなど、死ぬ程我慢ならない。だから裏切った。

 現状では、心よりグロールの身を案じているのは、ペリウスと数名の文官ぐらいなもの。その意見を退けるグロールは人の心底を見る目がない。見る目があれば、ウィルムは既に失脚していることだろう。更には世情を的確に読むことができず、私情を殺して冷静な判断をすることもできない。グロールに統治者としての器がないのは明白だった。


「今後、我々はいかに動くべきでしょうか」

「アミル様から、開戦の後は一切の遠慮は無用と密書が届いた。機を見て動かねば、我らも太守と共にバハール軍に粉砕されるであろう」


 ウィルムが険しい視線をロイエに送る。


「し、しかしながら。我らはアミル様にお味方すると伝えているはず。それを、敵と見做すとは思えませんが」

「甘いな。あの方はそのようなことは全く気になされぬ。障害と見做されれば確実に殲滅されるぞ。よいかロイエよ、戦の流れを的確に見極めるのだ。その流れを見誤れば、濁流に呑まれて破滅することになる」

「……しょ、承知いたしました」


 ロイエが頷いたのを確認すると、ウィルムは窓を開けて太陽を見上げる。強烈な陽射しが目に入り、思わず目を細める。

 後ろからロイエが遠慮したような声で問いかけてくる。


「父上、もう一つお尋ねしても宜しいでしょうか」

「……なんだ」

「サーラ様のご容態の悪化、もしや父上の差し金によるものでしょうか」


 ロイエはサーラの病状悪化をウィルムの仕業だと疑っているらしい。確かにサーラの新しい侍医は、ウィルムがリグレットに指示して手配させた。だが、行動を起こすような指示をしたことはない。


「あれは違う。私が指示しておいたのは情報収集だけだ。太守は重要なことは全てサーラ様にご相談なされる故。治療は通常通りに行なわれていたはずだ。今更サーラ様を排除したところで、何の意味も利益もなかろう」

「そうですか。失礼なことをお尋ねして申し訳ありませんでした。何か思惑があったのかと早合点してしまいました」

「構わん。まぁ、これも運命であろう。あの反乱の折、サーラ様と太守は、忌々しい小娘によって奇跡的に命を拾うことはできた。だが、結局は同じ事だ。サーラ様は病に倒れ、太守は破滅という運命を変える事はできぬ。……そう、太守達は今日までに死ぬべきだったのだ」

「…………」

「よいかロイエ、我らは破滅の運命に巻き込まれてはならぬ。必ずや生き延びるのだ。我らにはコインブラを立て直すという使命があるのだからな」


 多くの兵が死に、民が苦しむことになるだろう。それでもウィルムは己を貫き通すつもりだ。次の皇帝はアミルが就き、ウィルムは今までの功によりコインブラの指導者になる。グロールに対して不忠なのは確かだが、コインブラの歴史には比類なき忠臣として残るはずだ。なぜならば、全ての行いはコインブラの膿を出すための荒療治なのだから。


「分かっております」

「ならばよい」

「……ところで、姉上はどうなされるおつもりですか。武勇に優れるノエル殿の副官ということは、最前線に出る可能性が高いはず。このままでは流れに巻き込まれます」


 リグレットのことを心配するロイエ。不仲なのは確かだが、肉親の情は残っているらしい。だが、ウィルムにはそんな感情はない。まだ、何とか使える駒だから排除していないだけのこと。役目が終わればどうなろうと知ったことではない。


「誰であろうと、流れに逆らえば破滅するだけのこと。生き残れるかどうかは、リグレット次第だろう。手助けするつもりは全くない」


 ウィルムは振り返ると、冷たく言い切った。

 リグレットの最後の役目、それはノエルの監視だ。ウィルムが見極めきれないでいる少女――何を考えているかわからない獣。死ぬべきグロールを救い出してしまった愚か者だ。多少腕は立つようだが、それだけだ。結末は何も変わらないし、変える事はできない。だが更なる余計な行動については看過することはできない。アミルの目もある。


(あれがいなければ、このような面倒な事態にはならなかったものを。実に、実に忌々しい小娘だ。だが、その報いはすぐに受けることになる。邪魔者は、皆死ねば良いのだ!)


 そのときは、恐らくリグレットも運命を共にすることになるだろう。グロール、ノエル、そしてリグレット。ウィルムを悩ます厄介極まりない連中が一気に片付く。未来のコインブラには選ばれた人間だけが残れば良い。多くの犠牲の上に、豊かな国土を築きあげるのだ。そう、これは荒療治なのだから。

 ウィルムは僅かに口元を上げると、これからの行動計画について考えを巡らし始めた。





 ――数日後。

 マドレス城では、グロールの号令により盛大な閲兵式が催されていた。

 戦が近いという噂がいたるところで流れ始め、民だけではなく領主たちにまで動揺が走った。強兵で名高いバハール相手に、果たして勝てるのかという当然の疑問だ。グロールとしては、まず足元の混乱を抑えなければならなかった。何より、兵達の戦意を高揚させたいという強い思惑もあった。

 それが功を奏したかは分からないが、州都は久々に賑やかさを取り戻していた。コインブラ州各地より集められた兵の数は、総勢五万。各隊選りすぐりの精兵が城下に整列し、バルコニーに立つグロールの演説に聞き入っている。その堂々とした姿は見るものを勇気付け、奮い立たせるに十分だった。――その実情はともかくとして。

 精兵の枠に入れられているノエル、そしてシンシアも閲兵式への参加を許されていた。とはいえ、バルコニーのグロールは遠すぎて、何を言っているかさっぱり分からない。他の兵も同じであろうが、聞いている振りをしているのだろうとノエルは思った。あの糞みたいな教会でも、よく聞いている振りをしていたからノエルには分かる。長い話は疲れるし、しんどいし、面白くない。それが全く聞こえないのならば尚更だ。

 隣に立つシンシアは、直立不動でひたすらグロールの話に耳を傾けようと頑張っていた。


「ね、太守が何を言っているか全然聞こえないよね?」

「…………」

「もしかしてシンシアには聞こえてるの? ね、聞こえてるなら私にも教えてよ」

「…………」


 どこかイラついた様子で頬をひくつかせるシンシア。それが面白かったので、ノエルはもう一度問いかけることにした。


「おーい、お転婆娘のシンシアちゃん、私の声が聞こえてますかぁ? 聞こえてたら元気良くお返事を――」


 耳元で大声で話しかけた瞬間、強烈な拳骨が落ちてきた。こうなるのは予測できるのに止められない。なぜかというと、楽しいからだ。痛いのはもちろん嫌だが、どうでもいいやりとりが面白い。小さな幸せといっても良いだろう。


「太守のお言葉は、後で書面で通達される。今は、この雰囲気を感じ取ればよいのだ。分かったら大人しくしていろ!」

「なんだ、やっぱり皆聞いている振りしてたんだね。あー、そうと分かったらなんだか眠くなってきた」

「どうやらもう一発欲しいようだな、ノエル百人長」

「私は遠慮しておきます、シンシア上級百人長殿!」

「格好つけても無駄だ、この大馬鹿者が!」


 もう一発落ちてきた。あまり痛くなかった。今度は少しだけ手加減をしてくれたようだ。頭を擦りながら空を眺めてみる。生憎の曇天模様。お日様は隠れてしまっていた。晴れた日はいいことがある。雨の日はよくないことがある。曇りはどちらか分からない。だから好きでも嫌いでもない。


「はぁ、戦が近いというのに、余裕すぎませんか。隊長としての威厳を少しは身につけてください。副官の私が、恥ずかしい思いをしますので。死ぬ程迷惑です」


 後ろに控えていたリグレットが、呆れたような視線を送ってくる。ノエルは面白そうに笑ったあと、大きく伸びをした。そして、振り返る。


「あはは。ごめんね」

「……分かれば、構わないのですが」

「そっか」

「…………」


 素直に謝ると、リグレットが何かを迷っているような顔を浮かべる。気になったノエルは素直に聞いてみる。


「ね、何か言いたい事でもあるの? また悪口を考えてるのかな? 私の頭がおかしいっていうのは前聞いたけど。」

「い、いえ。何でもありません。私のことなど気にしないでください」

「そっか。じゃあ、別の事を聞いても良いかな?」

「な、なんでしょうか」


 どこか緊張した面持ちのリグレット。珍しいその表情にノエルはなんだか面白くなってしまった。


「私達は、これから誰と戦うんだっけ」

「……何を今更。私達の敵はバハールに決まっているでしょう。夏の暑さで頭が更にやられましたか?」


 つんつんと自分のこめかみを突きながら、馬鹿にしてくるリグレット。先ほどの妙な様子は完全に掻き消えている。人を小馬鹿にするとき、リグレットは本当に活き活きとしているのだ。


「じゃあ、何故バハールと戦わなければいけないんだっけ?」

「ふん、簡単なことでしょう。先の反乱はバハール公の策謀というのは明白です。その罪を償わずに帝位を狙うなど言語道断。故に、太守は開戦を決意なされたのです。……これぐらい、百人長ともあろう者なら知っていて当たり前です」


 リグレットが鼻で笑う。


「でもバハールは同じ帝国の州。それに戦を仕掛ければ、私達は世を乱す悪逆の徒になるね。幾ら言葉で飾り立てても、先に兵を動かすのは私達なんだから」

「少しはその足りない頭で考えて下さい。勝てば私達の言い分が通るんですよ。バハール公の名声は地に落ち、太守が皇太子の座につくことになるでしょう。それこそがこの戦の本当の狙いです」

「なるほど。全部、リグレットの言う通りになれば完璧だね。流石は私の副官だ。偉い偉い」


 ノエルがおどけてみせると、リグレットのこめかみにビキッと青筋が浮かび上がる。試しにリグレットを真似て馬鹿にしてみたら、怒らせてしまったようだ。自分がやられるのは嫌なようである。

 ちなみに、別に聞かなくても、それぐらいはノエルにも分かっていた。だが、確認しておかなければならない。自分の知識は、あの場所で詰め込まれたものばかり。軍学や兵法、様々な武器での戦闘術。そして皇帝への忠誠を誓う数々の祝詞。外に出て分かったのだが、世間での常識とはかけはなれたものも多い。だから、ノエルは話を沢山して確認する。そうすれば、自分だけではなく、皆の世界が広がるから。


(自分の意志で好きなことを話せるのは、本当に楽しい)


 あそこを出てから、余計なことを喋っても殴られることはない。シンシアに拳骨を貰う事はあるが、憎しみは篭っていない。あの屑どもとは何もかもが違う。一杯話をしたから、ノエルには分かるのだ。

 外に出てから、ノエルは自由になった。そして、あの反乱が起こってから、また変わった。色々なものを手に入れることができた。


「ノエル、何か気になることでもあるのか? 珍しく真剣な顔をしているようだが。似合わんぞ」

「結構ひどいことを言うね。実は、ちょっと考え事をしてたんだよ。……ね、いきなりだけど、シンシアは戦は好き? リグレットにも聞きたいんだけど」

「何を言うかと思ったら。戦が好きな人間などいないだろう」

「あまりにも愚かな質問で、答える必要を覚えません。本当に迷惑なので、もう話しかけないでください」


 苦笑するシンシアと、そっぽを向くリグレット。戦が好きな人間はいない。なるほど、そういうものかとノエルは一つ勉強した。その上で、一つ疑問に思ったので聞いてみる事にする。


「シンシアはそう思うんだ。じゃあ、どうして戦わなくてはならない軍にいるの?」

「それが私の、騎士としての務めだからだ。騎士として、弱き民を守るために戦い、主君に忠節を尽くす。私が守るべき正義であり信念だ」

「そっか。やっぱり、シンシアは凄いね。誰かのためにそこまでできるんだから」


 本当に凄いと、ノエルは思った。心の底から凄いと思った。自らを犠牲にして、見ず知らずの人のために命を賭ける。自分にできることではない。だから、シンシアは凄い。


「うん、シンシアは凄いし、きっと正しいんだろうね」


 だが、その弱き者というのは、きっとコインブラの民だけなのだろう。シンシアでさえそうなのだから、他は言わずもがなだ。

 村で暮らしていて分かったが、大事にするのは自分の周りだけなのだ。知らない人間がどうなろうと、知ったことではない。世の中というのはそういうものと、ノエルは学んだのだ。

 世の中に正義が一つならば、それは間違いなく正しいことである。では二つ、三つ、或いはもっと沢山あったらどうだろうか。皆がそれぞれの正義を掲げて、自らこそが正しいと主張したならば。

 そのときは、一番声が大きい者の言葉こそが正義になる。自らの正義を押し通すため、財力を蓄え、武力で脅し、鋭利な剣を用いて相手の口を塞ごうとする。ノエルがあの場所で学んだ“歴史”というのは、その繰り返しだ。

 ――太陽帝の剣となり敵を屠り、盾となりてその身を捧げよ。

 何度も何度も叩き込まれた文句の一つ。今ならば少しだけ分かる。あの場所は“声が大きい者”の為に働く人間を作り出す場所だったのだろう。結果は大失敗に終わったが。


(ざまぁみろ。お前達の計画は、失敗だよ)


 皮肉なことに、失敗作と見做されたノエルだけが生き残った。太陽帝の剣や盾になるつもりはさらさらない。自分だけではなく、他の“仲間”も今は同じ思いのはずだ。もし目の前に皇帝がいたら、指を差して笑ってやりたい。失敗作に笑われるというのは、どんな気分だろう。


「ならば、お前はどうなのだ。お前にだって守りたい者や場所はあるだろう」

「……どうなんだろうね。うーん、よく分からないかな。あ、私の仲間は守りたいかなぁ」

「いつものように自信を持って話したらどうだ。……目が泳いでいるぞ」


 シンシアに指摘されたので、ノエルはわざと目をグルグルと回して見せた。拳骨ではなく溜息が落ちてきた。

 自分の仲間たちはできるだけ守るつもりだが、味方というだけの人間のために命を捨てるつもりはあまりない。そんなことをしていたら身体がいくつあっても足らないだろう。コインブラの民全てを守ろうとするシンシアは本当に凄い。


「いきなり言われても難しいよ。あ、皇帝のために死ぬのだけは嫌かな。うん、死んでも嫌だ」


 太陽帝ベフナムの為に死ぬのだけはまっぴらゴメンだ。そう不遜な言葉を吐くと、シンシアが低い声で咎めてくる。


「こら、不敬な言葉は自重せよ。……お前も今は立派な騎士なのだから、信念の一つぐらいは持つようにしろ。何も考えずに戦うのでは、獣と同じだぞ」


 確かに獣は何も考えていないかもしれない。だが、生きるために戦っている。それが本能というやつだ。きっと、自分もそれに近い。そんなことを少し考えた後、ノエルは首を捻る。


「うーん、信念かぁ。……私の考えは、シンシアとはちょっと違うかな」

「どういうことだ?」

「私は別に、戦うのは嫌いじゃないんだ。信念なんて持たずに私は今まで戦ってきた。ずっと考えてたのは、死にたくないということだけだったんだ」

「…………」

「でも、戦うようになってから、私は色々なものを手に入れた。シンシアや若君と友達になれたし、バルバスたちも仲間になってくれた。面白いリグレットも副官になってくれたし。部屋は宝物で一杯。だから、私は戦うのが好きかな」


 ノエルが無邪気に微笑むと、シンシアは眉を顰め、リグレットは目を見開いて絶句する。


「……戦うのが好きだなどと、他所で言うのは止めておくように。狂人扱いされてもおかしくない」

「でも本当のことだし。戦えばもっと沢山の宝物が手に入りそうじゃないかな?」

「うるさい。これは上官命令だ! とにかく、口に出すのは禁止だ!」

「ずるいなぁ。じゃあ、戦うのは趣き深い、なら良いかな?」


 この前シンシアに覚えさせられた単語を使ってみる。


「それもほとんど同じ事だろう。全く、余計なことばかり覚えるんじゃない!」

「えー。この前教えてくれたのはシンシアじゃない。ちゃんと覚えろって言ったくせに」

「う、うるさい! それはそれ、これはこれだ!」


 ノエルがそれはないよと両手を上げると、隣で堪えきれないと言った様子で噴出した人間がいた。

 ゲンブから来た武官、クマに良く似ているカイ百人長だった。頬に走った傷が特徴的なのでよく覚えていた。どちらかというとバルバスに近い類の人間だろう。


「いや、これは失礼を。今の言葉、思わず感嘆いたしましたぞ。戦うのが趣き深いとは。ノエル殿は、ゲンブ人に近い思考の持ち主のようですな」

「そうなの?」

「うむ。我らゲンブの武士は、誰よりも強くあれと幼少時より育てられる。つまり、戦うことは人生そのものなのだ」

「戦うことが人生。それって、なんだか凄い趣き深い言葉だね」

「はは、そうであろう。よければ、今度我らの州に遊びに来るとよい。そなたらほどの腕の持ち主ならば、いつでも歓迎するぞ」


 カイがそういってノエルの背中を力強く叩いてくる。またいろいろなことが分かる気がしたので、ノエルは喜んで返事をすることにした。


「じゃあ、約束だね。いつか絶対に遊びにいくね」

「おう、いつでも来られるが良い! それがしが案内いたそう」


 カイが深々と頷いたので、ノエルもご機嫌に頷いておく。シンシアはというと、また深々と溜息を吐いている。“言葉もない”とはこのことだろう。この前シンシアに教えてもらった、面白い言い方だ。言葉もないのに、言葉がある。実に不思議なことである。


「ゴホン。とにかく、今は来るべき戦いに集中するんだ。次の戦が終われば、きっと平穏な世が訪れるはずだ」

「うん、分かった。私も戦いに集中する。戦って、戦って最後の最後まで戦い抜くね。そうすれば、きっと――」


 そこでノエルは言葉を切った。また怒られてしまいそうだったから。

 今の自分があるのは、戦い抜いてきたからだ。だから、最後までノエルは戦い続けなければならない。何があっても戦い抜けばきっと幸せになれる。そう、きっとこれが幸せになるための一番の方法なのだ。――そんな気がする。

区切りのいいところまで進めてみました。

ここでSTOPの方がきりがよいので。

なんだか、戦が始まりそう!


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