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あうときゃすと・いんとぅ・ざ・ラジオ

*お読み下さい。

このお話は本編内で作者自身が矛盾を感じたが今更変更出来ない設定などを上げて謝罪する突発的な企画です。本編のキャラクターを使いますが、本編の雰囲気ぶち壊しなので、本編の空気を損ないたくない方はブラウザバックされて下さい。

「さーーーやって参りました、『あうときゃすと・いんとぅ・ざ・ラジオ』のお時間です!」


 そこは六畳一間位の狭い空間だった。床には畳が敷かれ、天井には蛍光灯が灯り不自然に強力な明かりをその部屋中に提供していた。部屋の真ん中にはちゃぶ台が置かれ、それを囲む様にバアルと配下の四天王が思い思いに座っていた。バアル達から見てちゃぶ台を挟んだ先に一人の人物が居た。


「おい、なんだこの状況は」


 バアルが訝しげに問いかけた人物は、Tシャツとジーパンに身を固め顔に『作者』と書かれた白地の仮面を被った男だった。


「はいでは早速~、このラジオの司会者兼ゲストの方々になるバアルさん達のお話を聞き始めましょうかー! やっふーー!!」


 仮面の男、以下『作者』、は手に持った金属製の棒らしきもの、マイクに向かってやたらとハイテンションに捲し立てている。


 バアルは一息吐くとマグナダインに向かってちょいちょいと指を振る。マグナダインは面倒くさそうに腰を上げると、音も無く『作者』の襟首を掴むと軽くその腹に拳を打ち付ける。


 ドスドスドス


「げふっ! ごはっ! げげぼっ! ……ちっ、もっと強く打てよ、気持ち良くなんねーだろうが」


「あ、駄目だこいつ。俺らが触っちゃいけない類の奴だ」


 マグナダインは気持ち悪そうに手を放すと一歩下がる。『作者』は開放された瞬間床に伏せて、ピクピク痙攣しだす。


「おいおい、もっと強くって言った割に偉く瀕死じゃねぇか」


「こちとら現代生活に慣れきった、筋トレも腹筋もやってない小デブちゃんなんだよ! ファンタジー世界の魔王軍四天王相手だったら指先一つでダウンするレベルじゃい!」 


 自身がスライム以下であるという宣言を発しつつ、よろよろとちゃぶ台を掴みながら身を起こす『作者』。状況を見守っていたカルニウェアンがようやく口を開く。


「それで、私達をこんな狭い空間に閉じ込めて何をさせようって言うんですか?」


 カルニウェアンにはいつものどこか余裕のある態度は無く、静かな威圧感を醸し出しながら詰問口調で『作者』を問い詰める。

 その迫力に若干ビビりながらも『作者』はどこに隠していたのか人数分のお茶と羊羹を手早く五人の前に置き、そして煎餅の盛られた木皿をちゃぶ台の真ん中に置く。ついでにお茶の入った急須も木皿の隣に置く。


「まあまあ、これでも食べて機嫌を直して下せぇ。何、皆さんにお頼みするのは簡単な事です。ここでラジオの真似事をしてもらえればいいんですから」


「ラジオって何ですか? …後この黒くて四角くて甘いもののお代わりを寄越しなさい」


「お嬢、せめてもうちょっと警戒しようや…」


 疑念に眉を寄せながら、カルニウェアンは既に食べきった羊羹の皿を差し出す。マグナダインは半ば諦めた口調でそれを嗜める。カルニウェアンは全く堪えて無かったが。

『作者』は素早く、今度は切り分けられていない丸のままの羊羹が載せられた皿をカルニウェアンに差し出すと、しわぶき一つ発して話し始める。


「まあ実際にはラジオじゃないんで雰囲気だけ再現してもらえればいいんですよ。やる事は、このマイクと言う金属の棒の先端に向かって、この紙に書かれた事を読んで貰えればいいんです。そんで、その紙に書かれた内容を軽~~く皆さんで話し合って下さい。それが済んだら皆さんを元の話に御返しします」


 そう言うと『作者』の姿が掻き消えて、後にはバアル達だけが残される。余りにも唐突に消えてしまった元凶に、全く対応が取れなかったバアル達。


「何かいいように転がされている気がするな…」


「全くだ、あいつの意図がさっぱり読めねぇ」


「何だか『悪ふざけ』と言うのが一番しっくりくる気がするのは気のせいでしょうか…?」


「でも逆らっても無駄な様な…、そんな感覚がありますわね」


「……同意……」


 五人は揃って苦虫を噛み潰した様な顔をするとしばし押し黙る。そして誰とも無く顔を見合わせると、一斉に視線をちゃぶ台の一角に移す。そこには指を広げた状態の手と同じ位の大きさの紙、葉書があった。


「とりあえず、私が読みましょうか」


「待てよ、お嬢。奴の言うとおりにするのか?」


 カルニウェアンは片手で羊羹を持ちながら葉書に手を伸ばす。それをマグナダインが止めるが、カルニウェアンに憂鬱そうな顔で見返され、言葉を止める。


「実はさっきから魔術を使おうとしても全く使えないんです。何かしら妨害されているんでしょうね」


「カルニウェアンもか。実は俺も能力が使えん」


「私も影から何の反応も無いですわ」


「俺は『いくさ丸ブリジット』がいつの間にか無ぇしな。何なんだ本当」


「…僕は擬態が解除出来ない」


「「「それは止めろ!」」」


 狭い空間でファフニールが擬態を解除すれば、バアル意外はまず圧死を免れない。そんな恐怖から異口同音にバアル達はファフニールを止めた。

 カルニウェアンが諦観の表情で溜息を吐く。


「まあ、この様に私達には抵抗の手段が無いようですので、ここは素直に従ってみましょう」


 そう言って気だるい様子でカルニウェアンは葉書を取ると、羊羹を置いてマイクを手に取る。


「え~~っと、……「始まりました『あうときゃすと・いんとぅ・ざ・ラジオ』の質問コーナー、一枚目のお葉書は、P.N 『作者』さんからのお便りです」…ってこれお便りというより原稿なんですけど」


 カルニウェアンが首を捻るがそこは話の流れの都合なので、察して次を読んで下さい。


「何か今言い訳が聞こえたような……。ええと続きですが、「こんにちわカルニウェアンさん。いつも『あうときゃすと・いんとぅ・ざ・ラジオ』楽しく拝聴しています」…今日が初めてなんですが」


 話の都合(ry


「また言い訳が…、まあいいです。「ゲストのバアルさんに質問です。『43.尋問ところにより土下座』で捕虜の虐待は御法度とか言ってますけど、勇者や降伏したアラクネの顔に落書きをする行為は虐待じゃないんですか?」……、だそうですけど。バアル?」


 いきなり話を振られたバアルは虚をつかれた様に一瞬呆けると、顎を親指と人差し指の間で挟み、考え込む。


「む……、言われてみれば……確かにそうかも知れん」


「おおっと、これは意外。捕虜の虐待を禁止した魔王様ご自身が実は捕虜の虐待をやっていた事を認めたのかー?」


「カーール!!」


 カルニウェアンの茶々入れに対してアナトーが顔を真っ赤にして怒り出すが、横に座っていたバアルは殊勝な顔をして重々しく頷く。


「いや、認めるしかあるまい。確かに降伏を宣言した相手にする行為では無かった。俺のお茶目は確かに虐待行為だった」


 まあ作者がバアルのキャラ付けに迷って無理やり付加した設定なんですけどね。しかもほぼそれを忘れているし。


「何だか、あの『作者』とやらに言い知れぬ殺意が湧いてきましたわ…。次会ったらコロスかも…」


 アナトーの口調が昔に戻りかけているのを察したのか、『作者』の気配が急速に薄れていく。それを意にも介さず、バアルはおもむろに立ち上がる。


「どした、バアル?」


 マグナダインが疲れた表情で煎餅を齧りながらバアルに問いかける。

 バアルはそれに答えずに、一気に上半身の服を脱ぎ、鍛え上げられた裸の上半身を晒す。


「ぶふぉわっ! バ、バアル様!? 一体何をされるんですか!!」


 アナトーは鼻血を吹き出しつつ、しっかりバアルの服をキャッチして条件反射的に畳み出す。だがバアルはそれにも応えず、真剣な表情でアナトーを見る。アナトーの体が固まり、その目は限界まで見開かれてバアルの目を見つめる。

 そしてバアルは強い口調でアナトーに命令を発した。


「アナトー……、お前の鞭で、俺を打て」


「…………えっ?」


「急に何言ってるんですかバアル。エリナリーゼさんやさっきの『作者』に影響されて目覚めましたか?」


 カルニウェアンが半眼で問いかけて、ようやくバアルは答える気になったのかカルニウェアンの方に顔を移す。アナトーはまだ固まったままだ。


「今まで捕虜の虐待をしてきた者にはそれ相応の罰を与えてきた。俺にも罰を与えるのが筋であろう」


「……まあ、貴方がそれでいいんならいいんですけど。…アナトー? 魔王様からのご命令ですよー」


 カルニウェアンの呼びかけにアナトーはハッと意識を取り戻すと、高速で頭を横に振る。


「でででで出来ませんわ! そんな恐れ多くも甘美でいてそして私の消えない傷痕をバアル様に刻み込むなんてそんな大興奮な事をしてもいいんでしたら吝かではありませんですわね!」


 ハァハァと荒い息を吐きながらアナトーは急いで立ち上がり、血走った目で腰の鞭を引き抜くと両手で持って引っ張ったり伸ばしたりしてピシィ! ピシィ! と音を立てる。


 微かに引きつった様な顔をしていたバアルだがぐっと顔を引き締めると、そのまま後ろを向く。


「よし、いつでも来い! 百回は打てよ!」


 力強いバアルの命令を受けたアナトーだが、その顔は恍惚と罪悪感がせめぎ合う異様な風貌になっていた。元が美人だからかその有様は人目にお見せ出来るレベルでは無い。


「うひぃ、嫌な物見ちまった! 何か夫婦喧嘩中のブリジットと似たような顔になってやがる…」


 マグナダインが辟易した様な顔で顔を背ける。カルニウェアンに至ってはもう興味が無いのか、「まだ帰れませんねー」等と言いつつファフニールと最後に残った煎餅を取り合っている。


 さてアナトーの心中と言えば、千々に乱れて思考すら曖昧になっていた。


(ああ、お慕いするバアル様の背に鞭を振るうなど…、興奮する、じゃなくて恐れ多いわ! ダメよアナトー、バアル様の命令と言えどバアル様ご自身に鞭を振るうなどあってはならないわ。ああだけどこんな機会は二度と巡ってこないでしょうし…。)


 鞭を振り上げたままプルプルと震え、煩悶するアナトー。既に覚悟を決めていたバアルはいつまで経っても鞭が来ない事に疑問を覚え、首を少しだけ巡らせて、視線だけをアナトーに向ける。


「どうした? アナトー?」


 その様子を見ていたアナトーは、バアルがまるでおねだりするかの様に視線を向けてきた様に錯覚した。アナトーの脳内では少しだけ振り向き頬を赤らめたバアルが、期待と不安で胸一杯になってアナトーを見つめてきたように感じた。実際は訝しげな視線だけだったが。



(……萌え……!!)



 そしてアナトーの精神は限界を迎え、真っ白に萌え尽きながら一番のいい笑顔で倒れ伏す。


「あ、アナトー!?」


「あ、やっぱり駄目でしたね」


「…アナトーの性格から言ってこうなる事は目に見えていた…」


「お、何か視界が薄らいでいくぞ。これで帰れるんじゃないか?」


 倒れこむアナトーを抱き上げて混乱するバアルを余所に、残りの四天王三人はのんびりと薄れゆく部屋を眺めていた。

 そしてカルニウェアンがふと気づいた様に葉書に目を落とすと、マイクを片手に最後の文章を読み上げる。


「「では、『あうときゃすと・いんとぅ・ざ・ラジオ』、これにて終了で~~す。それでは次回にまたお会いしましょう~」……次あるんですか、これ」





 うんざりしたカルニウェアンの言葉と共に、バアル達と彼らの居た空間は消え去った。





 真っ暗な空間に突如スポットライトの光の下、『作者』が現れる。


「次回? あるかどうか分かりません。正直ノリで書きました。ごめんなさい。後、矛盾した事書いて失礼しました」


『作者』は土下座すると今度こそ、全てが消え去った。



本当にどうしようかと思いました。

バアルは一応主人公というか主人公達のまとめ役的ポジションにしようとしてたので、キャラの薄さが半端無く、苦し紛れにキャラ付したらこの体たらくです。

キャラの練が足りないと痛感しました。


まあ、攻撃の大半が投石な魔王もある意味新しいかなぁ?


とにかく本編にそぐわない内容のお話を書いて失礼しました。今後もノリだけで書く事がままあると思いますが、こう言う作者だと思って諦めて下さるとありがたいです。

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