種族紹介
*考えてはみたものの、本編中で詳しく記述する事は無いと思った設定をつらつら書いているだけですので、暇でどうしようも無い時にでもご覧下さい。
バアル達が居る世界では多数の種族が生活している。種族についての各論は後ほど書くが、この世界における種族間の交配に関する設定を記述する。
以下に各種族の分類分けを書く。
*種族のグループ
・一群:人間族*1 エルフ族・ダークエルフ族 ドワーフ族 オーク族 獣人族 魔族
・二群:吸血鬼 リザードマン族 アラクネ等の怪物、魔物と呼ばれる種族
・三群:ドラゴン 天使族 樹人族
次に各種族の交配について書く。
まず一群同士は全て相互に交配が可能である。そして交配の結果生まれた子供はどちらかの親の形質をそのまま受け継ぐ。
例えばドワーフとエルフの間の子は、ドワーフの様に低身長・がっしりした体格に男性ならば濃い髭、エルフのように高身長・細身の体格に長い耳、これらのどちらかを有する。(エルフの男性は髭が生えない)
ただし髪の毛の色に関しては異なる場合も多い。(ドワーフの茶色の髪の色を持ってエルフの体格、みたいに)
もしドワーフとエルフの合いの子がエルフの姿だった場合は、その子供はドワーフ亜形エルフと呼ばれる。逆の場合はエルフ亜形ドワーフと呼ばれる。
・各種族の冠詞
エルフ=エルヴン *ダークエルフも分類上『エルヴン』の冠詞になる。
ドワーフ=ドワーヴン
オーク=オーキッシュ
獣人=ビースチャン
魔族=デモンズ
このルールに沿わないのが *1 の人間族である。
人間族と交配した場合、その形質は両種族の中間を示す。例えば人間とドワーフの間の子は、標準より多少低い身長を示すし、人間とエルフの間の子はエルフの半分位の長さの耳を持つ。人間と多種族の間の子は、
ハーフ・(種族名) で現される。
更にハーフ同士の間の子はその形質が混ざって発現する。ハーフエルフとハーフドワーフの合いの子は、標準的な身長に濃い髭、長い耳を有するのだ。
この為ハーフ同士の婚姻が繰り返されると物凄い特徴を持った子供が現れたりする。(国家紹介・エロハイム共和国・種族院こぼれ話に記載)
またハーフの子が同一種族と婚姻を繰り返すと、最終的に人間族の特徴は無くなりその種族に収束する。例として、ハーフエルフの子孫が代々エルフと婚姻し続けると、何代か後の子供は完全にエルフしか生まれなくなる。
別次元の生命体である魔族とこの世界の種族が交配可能である理由は明らかにされていない。
次に第二群、第三群について解説する。
第二群の種族同士の交配は基本的に出来ない。第二群の種族は第一群の種族と部分的に交配ができるものがいるが、それぞれ遺伝形式が異なる。
1.吸血鬼の場合
吸血鬼と第一群の種族が交配した場合、産まれる子どもは第一群の種族+吸血鬼の能力を持つ者が産まれる。ただしその吸血鬼の特性は非常に弱く発現する。具体的には、親の世代の二世代下の能力を持つ。
例として、第一世代の吸血鬼とエルフが交配した場合、子どもは『第三世代型の吸血鬼の能力を持つエルフ』が産まれる。基本的に第四世代以降の吸血鬼は何と交配しても吸血鬼の能力を子どもに遺伝させない。
2.リザードマン族の場合
第一群との交配は可能だが、母体がリザードマン族出なければ子どもは出来ず、その可能性も限りなく低い。産まれる子どもは皆リザードマンだが、先天的疾患を抱えやすい。また白子が産まれ安いのもこのケース。
3.アラクネ等の怪物、魔物と呼ばれる種族
アラクネ、ハーピー等の種族が全て雌である魔物が該当する。これらの種族は第一群の種族から雄を獲得して種族を増やすしかない。これらの交配によって第一群の種族が産まれる、また形質を受け継ぐ事は無い。
蛙の子は蛙。アラクネの子はアラクネである。
第三群は、その種族同士でしか交配出来ない、あるいは交配そのものが出来ない種族群である。
ドラゴン族は同族同士で交配は可能だが、例え変身の魔術を使って他種族に変身していても、他の種族と交配することは出来ない。
樹人族もドラゴン族と同様、他種族との交配は不可能。
天使族は体つきは雌雄があるものの、交配の為の機能が存在せず(精巣、卵巣が無い)、子どもを産む事も産ませる事も出来ない。
○種族各論
ここからは各種族毎に解説をしていく。
・第一群
①人間族
この世界の生物は、神々が作ったと伝えられている。人間族は、太陽の神ルーによって作られたとされる。
人間族の身体的特徴は特に無い。というより、他の種族を語る上で全てこの人間族を基準に考えて解説されるので、人間族が他の人型を有する種族の基本である。
成人の身長は平均して百七十五cm前後。体重は六十kg程。女性はより軽量・低身長になりやすい。
魔力や身体能力も際立った者は多くない。
伝説として、人間族を含めた全ての人型種族は創造者の神々から、神々自身を創り上げた『創造神』の下へ戻る手段の開発を命じられた。
人間族は最初に『創造神』の下へ行く為の技術を開発した。だが人間族は、その技術を餌に神々を騙し神々が持っていた膨大な魔力を操る術を盗み出し、その力を以って神々を封印したと伝えられている。神々はその後世界に溶け込み姿を消した。そして人間族は大いなる魔力を操る術を以って世界を支配し、一大国家を作り上げ、他種族の上位に君臨した。この伝説を知る者は少ない。
人間族は、神々の被造物達をその支配から救った英雄、あるいは親殺しを行った恥ずべき罪人、そのどちらかであろう。事情を知るドワーフ達の一部は人間族を英雄と呼び、一部のエルフ達は人間族を罪人と呼ぶ。
だが殆どの種族は人間族に対して何ら特別な感情は抱かない。これは千年前の悪魔大戦が終結した時から密かに行っていた歴史の抹消、思想誘導の成果なのかも知れない。
あるいはもっと別の理由がある可能性も、まだ残っている。
②エルフ・ダークエルフ族
エルフ及びダークエルフ族はどちらとも自然の神ケルヌンノスによって造られたと言われる。一部の選民思想の入ったエルフ達は、ダークエルフは影の神シーナがケルヌンノスからエルフを造り出す秘儀を盗み出して造った存在だと主張している。
エルフとダークエルフ間の体格・体重に差は無く、人間と同等か少々高めの身長で細身である。俊敏性が高くなる傾向があり、力そのものは低くなる傾向にある。また保有魔力が高めであり、エルフは自然神の秘術に、ダークエルフは影神の秘術に良く親和する。*この事が前述のエルフ・ダークエルフの創造神が異なるとする論の根拠になっている。
魔術に対する親和性も高く、簡単な魔術ならばすぐに使いこなせる様になる。
外見的特長は、
髪の色:金あるいは銀 *ただし混血の場合はこの限りではない。
長い耳:人間とエルフ達を見分ける一番の部位。長耳万歳。
肌:エルフとダークエルフを見分ける最大の特徴。エルフは白に近く、ダークエルフは褐色である。ただし日焼けは有り得る。夏場はダークエルフ大発生である(エルフが日焼けして褐色になるので)。
またエルフとダークエルフは長命で、数百年は生きると言われており、それに伴って成長や老化も緩やかである。
だが平均生存年数は寿命よりかなり下がる。これは世代交代が稀にしか起こらない割りに若手はどんどん増えるので、行き詰った若者が冒険者や軍隊に入って武功を立てようとしたり、あるいは非合法的な手段や危険な方法で社会的に高い地位を得ようとしたあげく命を落すことが間々あるからである。
この社会問題はエロハイム共和国やシルヴェ・アールヴ両国の首脳陣の悩みの種となっている。
エルフ達は神からの指令を神々が持っていた技術(秘術)の改良・発達によって成そうとした。しかし神々の技術は難解であり、また同時に完成品に近い技術だったのでほとんど改良らしい改良は出来なかった。しかし学問的な秘術への理解・蓄積は相当な物であった。これらの成果は代々エルフ達の長老達の間で伝承され、今はシルヴェ・アールヴ国内の神殿が管理し、信徒達に教え広めている。ただしこれらの秘術は魔術師ギルド内における次元の研究並に厳重な管理体制が敷かれ、他国への技術流出を神経質な程に制限している。シルヴェ・アールヴ国内とそれ以外の国では秘術の使い方そのものが違うとも言われるが、情報が制限されている為詳しくは分かっていない。
また神殿は本来魔術師ギルドの別分派の様な存在だが、シルヴェ・アールヴでは完全な宗教団体として存在している例もある。そしてその団体は神の復活も目指していると言われている。
自身を造りだした神の存在を決して忘れない愛情深い種族、それがエルフ・ダークエルフなのだろう。
……あるいは神々を再誕させ、神の御力の下に新世界の覇者とならんとしているのかも知れない。
③ドワーフ族
ドワーフ族は大地の神カリムヒによって造られた種族と言われている。身長は一m前後と低身長であるが、体重は一般的な人間と然程変わらないか若干重い。筋肉質になりがちだが、トレーニングによる筋力の増加量が高い程度で、一般人はそこまで筋力は高く無い。その代わり生命力、体力面で優位にあり、疲労し辛く病気も殆どしない。ついでに肝臓も強いのか、酒に強い&酒好きが多い。
ドワーフ族は古代の頃から科学技術に対しての関心が高く、物理学、化学、数学、金属関連技術等について研究を重ねていた。神から命じられたのは次元移動の方法の探求にも関わらず、全く見当違いの研究ばかり行ってきた。次元移動に関しては研究するどころか、そもそも興味が無いようだ。神からの命令を真っ向から無視して自分の好きな事に打ち込む、オタク気質な種族。でもそんな者達でも大地は遍く受け入れる。
彼らの科学技術は魔法帝国時代まではそこまで進歩しなかった。しかし帝国が瓦解した後、従来の科学技術に魔術の要素を付加した頃から技術革新、いや革命が始まる。
その例として、竜大戦前には『ゴーレム』と呼ばれる自律人形を発明した。このゴーレムは色々な形式が存在し、一般的な人型の他、動物型、虫型なども存在する。材質も木、石、銅、鉄など様々。
用途は一般雑用から戦闘まで幅広い。家に入れば木製ゴーレムがメイドをしていたり、戦場ではドワーフ戦士に混じって鉄製ゴーレムが居たりする。
ドワーフ達の国『ガンザード』では、竜大戦中もこのゴーレム達が巨大な竜族を恐れず戦い、一定の戦果を上げた。だが戦果を上げ過ぎたせいで竜達の癇に障り、猛攻を受けたせいで終戦後は最も領土を多く失っていた。
閑話休題。
ドワーフ達は次元移動に関心が無く、専ら現世利益を尊ぶ。彼らは神への関心が薄く、神殿などに対しても敬意を示さない。
だが自らの拠り所たる環境、家族や自治体、他にも悪魔大戦時に協力してくれた、天使族や魔族には信頼と礼を示す。
ドワーフ達にとって、現実の世界で関わる環境や人々、すなわち大地とそこに住む者達こそが神なのかも知れない。
④オーク族
オーク族は、火と勇気の神ブラギオスによって創造された種族と言われている。六大神に含まれない神によって創造された、と言う点で時に格下に見られる彼らは、その容姿と身体的特徴、性格からも煙たがられることが多い。
オーク族は人間に比べて高い身長・体重、筋肉量を持つ。単純な力比べならば獣人にも匹敵する素晴らしい肉体を持つが、容姿が比較的残念であることが多々ある。
成人すると口内から出る程の牙が二本、下顎から伸びるので全体的にしゃくれた顔になり易い。また目が小さめなのも余り容姿にプラスとなり難い。獣人よりも動物、特に猪か豚に見えると言われる事もあり、他種族とのトラブルになる原因の一つである。そして、体臭が男女共にきついのが特徴である。オーク族以外にのみ悪臭と感じられるのが、また双方の摩擦を生んでいる。
また種族全体として、強い者が偉いという風潮が根強い。オーク族は基本的に学術面を余り重視せず、専らその強靭な肉体を鍛えることに執心する。それゆえ粗暴で単純、短気な者が多数である。
この事から、オーク族は脳筋であると陰口を叩かれる事もしばしばだ。
しかし現在、オーク族は単純な性格をしたお馬鹿である、という考えに否定的な者達も多い。
彼らの主張では、オーク族は一つの事に専念する傾向が強いだけであり、彼らの強さへの想いは古代において、その性格の発露の方向が限定的であった為である、という論である。
現在、オーク族を中心とした国家は存在しない。竜大戦の際に神竜王国に併合され滅び、亡国の民はエロハイム共和国に身を寄せるか、神竜王国で奴隷となるしかなかった。
神竜王国の奴隷となったオーク達は、相変わらず粗暴で単純労働しか出来ないが、エロハイム共和国では異なる。
オーク族はエロハイム共和国内で自らを創造した火の神の信仰が認められると、神官や司祭になる者が増加した。
それに伴い神学の学習者が増え、他宗教の信者になる者も増えてきた。そして徐々に他の学術面でも大成するオークが増えてきたのである。これは多数の宗教・種族を包括するエロハイム共和国で、多くの価値観に触れる事でオーク族の学習の幅が広がった事に起因すると考えられている。
オーク族は、強さへの信仰を神への信仰に変え、その在り方も変化させたのである。
学ぶ事を選んだオーク族は、彼らの一つの物事に専念するという志向から、他種族より勤勉に努め、それによって大成するのである。
まあ長々と書いたが、オーク族の学習に専念する者の絶対数はそこまで多くない。オークだけに。
やっぱり彼らは今日も体を鍛え、明日の障害を筋肉で乗り越えようとする伝統を捨てられないのである。
火の消えたように見える焚き火が、それでもまだまだ熱を保ち続けるように、彼らの古来からの伝統への熱は簡単には消えないのであった。これも火の神の恩恵であろうか、あるいは呪いか。
⑤獣人族
獣人族は総称であり、実際には多くの種類がある。大まかには獣の特徴を有する人型の生物の事を指す。
有する獣の特徴は、犬(狼)、猫(獅子)、熊、兎、狐、牛、馬、羊……など多くの種族が居る。
*()内は、その分類の中の更に少数の括りである。
獣人族は、自然の神ケルヌンノスと大地の神カリムヒの合作として創造されたと伝えられる。彼らは元々少数の集団で生活していた。
人の住まぬ僻地に暮らしていたが、悪魔大戦や竜大戦などで人の移住が活発化し、文明圏と接触し出してから他種族との交流が始まった。
現在多くの獣人はエロハイム共和国内に住んでおり、それ以外では小国家群やヒッポリト国内に集落が点在する程度である。
エロハイム共和国以外での人口は、年々減少傾向にある。
ケルヌンノスとカリムヒの両者によって創造されたため、エルフやドワーフとも仲が良いと思われるかも知れないが、そんな事は無い。むしろ双方共に無関心である。
エルフはケルヌンノスのみの手によって作られていないとして、獣人族を仲間とは思わず、神への関心が薄いドワーフはそもそも神様繋がりで親近感を感じたりしない。
獣人族は少数で生活している為、人間や他の種族から迫害を受けたりした……という事もあまり無かった。
文明圏と接触してから諍いはあったものの、獣人の強力な戦闘力に人間達は対抗出来ず、また獣人達も積極的に人間達の生存圏に侵攻することは無かったので、恐怖と無関心による平和的均衡が今も続いている。
現在エロハイム共和国に住んでいる獣人は、竜大戦時に一部の獣人族の集落が竜族に追われ、エロハイム共和国に入国したのが祖である。
獣人族の身体的特徴を共通項から挙げると、高い筋力、体力、生命力。鋭い五感に濃い体毛、などが挙げられる。
他にも、夜目が効く、嗅覚が特に鋭い、足が速い、など元と成る獣の特徴によって更に追加の能力も保有することがある。
そんな彼らが大陸の覇権を得られなかったのは、一つにはその繁殖力の低さがある。
獣人族の女性は環境の変化に敏感であり、一定期間の間一箇所に定住できない場合、子どもを産む身体状態になれない。
それなら定住すればいいやんと研究者は考えるが、何故か彼らは一所に留まることを余りしなかった。縄張りが被ることによる同士討ちを避ける為、あるいは獲物が居なくなって仕方なく、などの理由があったのだが、放浪を好む性質もあったのだろう。
神様も二物は与えなかったか、あるいは調整の結果か。
逆に、エロハイム共和国に居を構えた獣人族は、定住を余儀なくされてから大精に繁殖し、その数を増した。
そして、未だ流浪の生活をしている獣人族は、その数を少しずつ減らしている。その内、獣人族の故郷はエロハイム共和国だけになるかも知れない。
⑥魔族
魔族は悪魔大戦の際に悪魔側から人類側に寝返った良い魔族の末裔である、というのが一般的に知られている建前である。
魔族は悪魔大戦の際に窮地に陥った魔法帝国の魔術師達によって異世界より召喚された存在である、これが歴史の真実を知っている思い込んでいる者達の大半が知る事実である。
本当の真実はもっと単純だ。扉を開けたら偶々目の前に居た、それが歴史の真実である。
悪魔大戦時、魔法帝国の魔術師は異世界への脱出や、あるいは異世界の技術を獲得する事、または強力な助っ人の召喚を目的に、次元の門を開こうと努力していた。
そして、本当に何かの間違いで次元の門が開いた時、そこから転がり落ちてきたのが『魔族』である。
彼らは元々別の次元界に住んでいたが、ある時その次元界で大きな戦争が起き、その戦争から逃れる為に別次元への脱出を試みた難民達だった。彼らはか弱く虐げられた存在であり、流浪の末、現次元界の近くまで来ていたのだった。
しかし、彼らが元居た次元というのが、より高次の位階に存在する次元界であった為、より低位の位階に存在する現次元界ではかなり強力な存在であった。
猫同士が戦争してる中に、縄張りを追われたライオンが「助けて下さい、保護して下さい」と泣きながらやってきた様な感じである。(誇張表現を含みます)
兎にも角にも、魔族達は同時期にやってきた天使族と共に、魔法帝国の魔術師達と契約を結び戦後の居住権を勝ち取ったのだった。
*魔族の系統分類
魔族は総称であり、内部には更に細分化される。主な分類では、魔人、淫魔、幻霊魔などがある。
分類に関わら無い魔族の共通事項は、『高い保有魔力』と『高い魔力操作技術』、つまり魔術への高度な適性である。
悪魔大戦時には、彼らは主に後方要員(元々一般人だった彼らは前線で戦う技術を持たなかった)としてその高い魔術適性を遺憾なく発揮し、負傷した将兵の治療や強力な魔術道具の作成などで貢献した。
分類された系統ごとにも異なる特性を持つ。
・魔人
魔人の見た目は割りとバラバラである。角を有する者、蝙蝠のような羽を持つ者、爬虫類の様な尻尾を持つ者、瞳が猫科のそれである者、など多種存在するが、人体構造そのものは一般的な人間族と変わらない。
見た目以外の目立つ特性は余り無い。本作の主人公バアルは、現地人からはこの系統種と思われている。
・淫魔
蝙蝠状の羽と細長い尻尾を持つ者が殆ど。混血児の場合は他の身体的特徴を有する場合もある。魔人とは異なり、2つの特殊能力を持つ。
1.『性病への完全耐性』 2.『精神系統魔術の先天的保有』
他にも性格面での特徴として、『性的活動に積極的』『家庭に入ると貞淑性が向上する、それまでは底の抜けた鍋並の貞操観念』『大らか、人懐っこい』などがある。
性の神様に愛された様なその種族特性も相まって、就職先は男女共に色街が多い。
*淫魔族こぼれ話
普通、淫魔同士で結婚する事が多いが、他種族との婚姻も少ないわけではない。だが、淫魔と結婚した他種族の、特に男性は自殺未遂率が高い傾向にある。
例を挙げよう。緊張に震えながら一人の男が初めて娼館に足を踏み入れる。選り取り見取りの綺麗どころ、男は一人の女性に目を付ける。
それは美しくも艶やかな一人の淫魔。優しく、そして懐っこく微笑む彼女に胸を高鳴らせた男は彼女と共に部屋に消える。
情熱的な夜は男の心に深い火傷を負わせ、足繁くその娼館へ向かうことを強制する。
ある時、男はついに心を決める。指輪と花束を持った男は、自身の初めての相手の淫魔にプロポーズする。情の移っていたのは淫魔も同じ。晴れて二人はゴールイン。
ついでにその日から毎日ゴール淫。やれば出来るのは子どもも一緒。二人の間に出来たのは可愛らしい女の子。
男親の性として、娘は可愛くて仕方ない。しかし娘は淫魔の血を引き継いでいる。いつ、誰とも知れぬ相手と情を交わしかねない。
実際、齢六歳にしてもう彼氏を作りおった。何とキスまで済ませたらしい。
嫉妬に狂いそうになる男親は、完全寮制の魔術師学校に強引に娘を入学させる。せめて、魔術研究部門とかのお堅い職場に就職して、身持ちの固い男と一緒になって欲しい。そんな切なる願いを込めて娘の学費の為に日々労働に汗を流す男。妻はしょうがないわね、と言わんばかりの苦笑顔でそれを見守る。
日々は過ぎ、遂に娘も学校を卒業する事になった。さてどこに就職できるかと悩む男親の元に一通の手紙が届く。
それは愛する娘からのお礼の手紙。今まで育てて貰った事への感謝と、素晴らしい学び舎で学ばせてもらった事への喜びに満ちた手紙。
娘に辛い思いをさせたのでは無いかと密かに悩んでいた男の目に、嬉しさのあまり涙が浮かぶ。
だが、それもすぐに引っ込んだ。手紙の終わりの方には……
「………追伸。就職先が決まりました! 勤務先は○○○○市の色街にある『黒薔薇の園 三号店』です! 福利厚生もしっかりしている大手の娼館だから安心して働けます。魔術師学校で学んだ変身魔術を駆使したイメクラプレイで、きっとNo.1 の娼婦に成って見せますね!」
こんな文面が書かれていた。
男は手紙を破り捨て、獣も発さぬような悲哀と慟哭の混じった雄叫びを上げながら、長く丈夫なロープを引っ掴んだ。
そんな男に、妻はまた苦笑しながら精神魔術『沈静』を施すのであった。←ここまでテンプレ。
そらぁ、首も吊りたくなるってもんだ。
似たような事例が頻発したせいで、エロハイム共和国では、一時淫魔との結婚は法的に規制すべきだと言う議論すら巻き起こった。
現在、淫魔との結婚の前に、その種族的特徴への理解を深める講習会への参加が義務付けられている。
・幻霊魔
見た目が半透明の人型をした魔族。その存在の半分が僅かにズレた次元に存在しているため、実世界からの物理的干渉を半減させる能力を持つ。逆に、自分から実世界への干渉も半減させるので、肉体労働系が特に苦手。
変わりに、魔術を用いた念動力の扱いに長けている。
その特性のせいか影が薄く、作中でもまだ出番が無い(単に作者が最近考え付いただけ)。また個体数も少ない。
次元魔術や転移魔術への適性が高いが、次元魔術に関しては魔法帝国時代の魔術師達との協定によって使えない。
エロハイム共和国では主に首都の魔術師ギルドに所属している者が多く、首都以外に住んでいる者は殆ど居ない。また、何故かエグリゴリへの移住者が多い。
世界の狭間に身を置く彼らは、他の者達には見えない物が見えているのかも知れない。それを追求するために、彼らはエグリゴリの地を目指すのだろうか。
<以下執筆中(考え中とも言う)>