最終章
「・・・良ちゃん、つらいよね。あたし、いまの良ちゃんの気持ち、誰よりもわかる気がするの。だから良ちゃん・・・」
「理沙ちゃん・・・」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・理沙は強かった。
美絵子の死、里香の死・・・
それらの悲しい事実を真正面から受け止め、理解し・・・そして、良作をあたたかい言葉で、優しさで包んでくれた。
変わらない・・・あの頃とまったく変わらない真心で、こうしてふたたび、また・・・。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・良作が、北海道に移住する決心をしたのは、それからほどなくしてだった。
田中理沙と暮らすためである。
良作は、上士幌町で、理沙と添い遂げる決意を固めた。
ずっと自分を想い、昔の想い出までも、いまだ冷めない熱い気持ちで、こうして大切にしてくれている・・・
そんな田中理沙の愛に、素直に、正直に応えていこうと決めたのだった。
酪農の経営のノウハウを、社長の理沙に優しく手ほどきしてもらいながら、この牧場を、理沙と、彼女の母の夕子氏とともに、もっともっと盛り上げてゆこうと考えている。
いま、彼が立つ、北海道の大地の空気のうまさ・・・
そして、素晴らしく、雄大な北の風情。
いずれは彼らの間にも、もしかしたら、この先、子供ができるかもしれない。
まぁ・・・
良作も理沙も、もう、そういう時期は過ぎてしまっているのであろうけれども。
あらたな生きる目標と・・・そして、田中理沙という、かけがえのないパートナー・・・『たからもの』を手に入れた高田良作。
ずっとあこがれ、恋焦がれてきた愛しい人と、ついに結ばれた田中理沙。
(美絵子ちゃん、里香さん・・・あたし・・・ふたりの分までがんばって、良ちゃんを生涯支えてゆきます。だから、何も心配しないでね。ありがとう・・・。)
(美絵子ちゃん・・・そして里香ちゃん。ぼくね、理沙ちゃんを、君たち同様・・・いつまでも大切に大切にするからね。約束する。だから・・・。)
良作はいま、本当に幸福である。
理沙も、限りなき幸福感に包まれている。
誰が何と言おうと・・・。
~ 完 ~




