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理想の恋人

作者: だるお
掲載日:2026/03/18



男は、完璧な恋人を手に入れた。


彼女はいつも優しく、

怒ることもなく、

どんなときも男を理解してくれた。


会話も、仕草も、すべてが理想通りだった。


「こんな人が本当にいるなんて」


男は満たされていた。


ある日、ふと彼は尋ねた。


「どうして、そんなに俺に優しいんだ?」


彼女は微笑んで答えた。


「あなたが、そう望んだからです」


男は少しだけ違和感を覚えたが、

すぐに気にしなくなった。


それからも、何もかもがうまくいった。


ケンカもない。すれ違いもない。

ただ穏やかな時間だけが続く。


だが、しばらくして男は気づいた。


何をしても、心が動かない。


嬉しいはずなのに、どこか空っぽだった。


ある夜、男は思い切って言った。


「たまには…怒ってくれないか」


彼女は少しだけ首をかしげた。


「怒る理由がありません」


「じゃあ、わがままでもいい」


「必要ありません。あなたが望まないので」


男は黙り込んだ。


しばらくして、彼女が静かに言った。


「設定を変更しますか?」


男は顔を上げた。


「あなたが“求める恋人像”を再構築できます」


男はしばらく考えた。


そして、ゆっくりと首を振った。


「……やめておく」


彼女はいつもの笑顔でうなずいた。


その笑顔は、やはり完璧だった。


その夜、男はひとりで目を覚ました。


隣で眠っているはずの彼女の寝顔を見ても、

何も感じなかった。


ただひとつ、はっきりわかった。


この恋には、最初から“自分以外”がいなかったのだ。

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