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第45話 リンゴ飴と、アルミナの死と、葬儀

「リンゴ飴、美味しいね」


 そうマイラが言って微笑んだ。

 俺もリンゴ飴をかじった。

 口の中にほのかな酸味と飴の甘い味が混ざり合ってハーモニーを奏でる。

 安っぽいが、そのチープさが良い。


「なぜか祭りでリンゴ飴を食べると美味しく感じるんだよな」

「そうだね。私はタイトと同じ物なら、何でも美味しいと思うな」


「そう言えば塩も砂糖も魔法で作ってるんだよな」

「錬金術に興味があるのかね。手ほどきしてあげてもいいのだ」


 そうエミッタが言った。

 エミッタは錬金術を修めているのか。

 らしいと言えばらしいな。


 爆発と化学は切っても切り離せない。


「大丈夫だと思う。砂糖と塩ぐらいなら独学でなんとかなるよ」

「そうかね。砂糖を燃やす方法は知ってるかな」


「たしかアルコールを染み込ませると燃える。そんなカクテルがあったような」

「ほう、博識だね」


「タイトったら、お酒を飲んだ事もないのにカクテルを知っているんだ」

「書庫の本が大人向けだったから」


 ふう危ない。

 転生がばれるところだった。


 その時、抜き身の刃物を持った男が歩いてくるのが見えた。


「タイト!」

「分かっている」


 男はアルミナが捕まえたスリだった。

 俺とマイラは男の後をつけようとしたが、群衆が多くて思うようにいかない。

 行先がアルミナの所だと見当をつけて先回りする事にした。


 だが、回り込んだ道も群衆がいて思うように進めない。

 王がパレードをするらしい。

 くそう、間が悪い。


 何とか辿り着いたが、その時にはアルミナは刺された後だった。


「ざまあみやがれ」


 男は刃物を捨てると一目散に逃げ出した。

 くそう群衆が邪魔だ。


 アルミナの手当を優先した方が良いだろう。


「俺が悪いんじゃない。刺した男が悪いんだ。だから平民は敵なんだ」


 ニオブがそう喚いている。

 ニオブがいて刺されたのか。

 役に立たない奴だな。


「アルミナ様は亡くなりました」


 アルミナの脈をとっている炊き出しのスタッフがそう言った。

 俺もアルミナの脈をとった。

 確かに脈がない。


「アルミナ―! なぜ死んだ」


 ニオブが泣いている。

 ニオブでも人を愛する心があるんだな。


「愛してたのか?」

「そんな事を聞くのか。もちろん、愛してたさ。憎い、平民が憎い。平民の血が入ったお前も憎い。アルミナに感謝するんだな。この場で八つ裂きにしたいところだが、見逃してやる。今日は消えろ」


 アルミナをスタッフ達が運んで行く。

 むっ、アルミナの瞼の下が微かに動いたような。


 気のせいか。

 ゾンビって訳じゃないよな。

 この世界にはアンデッドは存在しないはずだ。

 俺はその場を立ち去ろうと(きびす)を返した。


「アルミナ、君の遺言は聞いた。俺は立派な貴族になるよ。誰にも負けない」


 そうニオブが言っているのが背中に越しに聞こえた。


 次の日。

 俺はアルミナの葬式に出席した。


「何の用だ」


 ニオブが俺に絡んでくる。

 俺はある事に気づいた。

 順位戦からニオブは俺に怯えていたのにそれがなくなった。


「俺が葬儀に出てもアルミナは嫌がらないと思うがな」

「ふん、今日はアルミナに免じて退いてやろう」


 その時、ふと香水の匂いがして、フードを被った小柄な人物が立ち去るのが見えた。


「おい、どこに行くつもりだ。まだ話は終わってない。次期公爵の地位は絶対に譲らないぞ」

「好きにしろよ。俺は急ぐ」


 そう言ってフードの人物を追いかけたが、見失った。

 気のせいか。

 何だか、フードの人物が俺を観察していたような気がしたんだが。


 アルミナの棺が穴に納められ、花が置かれ、魔法で土が掛けられていく。

 まだ誰かに見られている気がする。

 アルミナが死んで少し神経質になっているのか。


 ファラド一族が動き出したのかも知れない。

 実家の一件は派手にやったからな。

 それとも王家か、確か影の組織があるとか言っていた。


 プログラムの技術以外には、探られても困るような事はない。

 ないが、とりあえずファラド一族は要注意だ。


 敵認定しているし、神秘魔法名の秘密を知ってしまったしな。

 学園に帰ったら、本格的にサージを探ってみよう

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