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第2話 家なき子と、初めての魔法と、拉致

 貴族の子供に転生したのか。

 どうやら、勝ち組とはいかないようだ。

 魔力量が少なくて殴られたって、記憶は言っているけど。

 平民の平均が100だから、普通じゃん。


「所詮、平民の母親という事か。あの女が死んでから、もしかしてと思って養ってやったが。これではな。出て行け。もう家名は名乗るなよ」


 えっ、今6歳だよね。

 6歳の子供を追い出すのかよ。

 負け組決定か。

 でも、前世のブラック企業よりはましか。

 平均魔力だものな。


 出て行きゃ良いんだろ。

 頭脳は大人。

 何とかなるさ。


 廊下で元兄弟とすれ違う。


「どうも」

「兄に向ってその挨拶は何だ。魔法で消し炭にされたいか」

「本日を以て、家族ではなくなった。他人だから」


「ふははっ、勘当されたのか。こいつは愉快だ。どこかで野垂れ死ぬんだな。手を下すまでもない」

「じゃな」


 俺は後も振り返らず真っ直ぐ玄関に出て、屋敷の門をくぐった。

 さてどうしよう。

 まずはハロワ的な所だな。

 ここは王都なので、口入れ屋ぐらいあるだろ。

 その前に何を特技にするか考えないと。

 文字は書ける。

 この世界の識字率がどれくらいかは分からないので、これを特技にするのはどうかな。

 何にせよ、情報収集しだいだ。


 モンスターみたいな物がいるのは分かっている。

 だが、6歳児では魔法でも使わなきゃ敵わないだろう。


 魔法の発動の仕方は体の持ち主の記憶で分かっている。

 いっちょやってみるか。

 魔力を指先まで移動して、火が灯るようイメージする。


「【種火】。ふほっ、本当に火が点いた」


 体感では一割ほど魔力が減っている。

 種火10回で打ち止めとは情けない。


 記憶によれば呪文を長くすれば魔力量を減らせるんだったな。

 呪文はイメージの補助だけど、脳内のイメージを改善するのは難しい。

 火を点けるのに酸素と燃料と温度が必要なくらいみんな分かっている。

 改善するなら呪文だろう。


「【温度500度で魔力を燃料に点火】。おおっ、さっきより遥かに魔力の減りが少ない。大体さっきの3分の1の消費かな」


 魔力を減らせる事は分かったが、詠唱が長くなると隙も長いって事だよな。

 魔法使いで食ってくのは大変だ。


 あほ面してこんな事をして歩いていたのが悪かったのだろう。

 頭にいきなり布の袋を被せられた。


「何しやがる」

「黙ってろ。声を出したら分かるな」


 ナイフらしき物が背中に当てられている。

 オッケー落ち着こう。

 俺は手足を縛られると布袋を外され、今度は猿ぐつわされた。

 樽に詰められ、後は分からん。

 揺れと音から察するに馬車で運ばれているようだ。


 気がつくと馬車は停まり、森の一軒家の前で降ろされた。

 背負われて地下室の牢屋に入れられた。


 鉄格子のはまった牢屋には既に女の子の先客がいる。

 女の子は俺と同じぐらいの背丈で、ズボンとシャツを着ている。

 髪が短ければ男の子だと思ったかもしれない。

 藍色の髪の毛で、気の強そうな金色の瞳。

 どことなく猫を思わせる。

 それも家猫でなく山猫だ。


「俺はタイト。大体、聞かなくて分かるが、どういう状況だ」

「私はマイラ。人さらいに捕まったのよ。しばらくしたら奴隷として売られるわ」


 名前も声も女の子だ。

 間違えなくって良かった。


「そうか、奴隷か。脱出しないとお先真っ暗だ」

「出来るものならね」


 俺は鉄格子に手を掛けて力を入れてみた。

 びくともしない。

 地下室だから、窓もない。

 壁を掘っても外には出られない。

 もっとも、壁はレンガで出来ているから、道具でもないと掘れないが。


 絶体絶命だな。

 地形から察するに、大声を上げても誰か助けに来てくれるのは望み薄だ。

 道具なんかはない。

 針金でもあれば鍵が開けられないか試したけどな。


 一発逆転を狙うなら魔法か。

 今の知識では33回、種火の魔法を唱えたら終わりだ。

 3千度ぐらいまで温度を上げれば鉄も焼き切れるかもな。


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