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第110話 グリフォンと、鉄則と、贈り物

 地雷が埋まっている箇所はギルドが見つけて、注意喚起がなされた。

 どうやら、ある場所に偏ってあったらしい。

 人を傷つける目的で設置したのではなく、モンスターを狙ったみたいだ。

 だが、手頃なモンスターがいる場所は大抵が美味しい狩場になっている。

 それで多数被害が出たようだ。


 俺達は、探索の続きをやる事にした。

 空を飛んで、ロックリザードの岩場を抜けると、眼下に広がるのは森。

 あのでかい熊が、歩いているのが見えた。


 俺達に気がつくと熊は雄叫びを上げた。

 降りて来いとでも言っているのに違いない。


 前方から羽ばたきの音がする。

 グリフォンだ。


 俺は電撃の誘導弾を撃ちまくった。

 次々に落ちていくグリフォン。

 でかい熊が落ちたグリフォンを食い始めた。


「ちょっと、俺が獲ったんだぞ」

「邪魔者は先に消しておくのが殺しの鉄則です」


 そうダイナが言った。

 そうなんだけど、無益な殺生はしたくないんだ。

 熊が好きだという訳でもないけど。


「今からでも遅くはないのではありませんか。ダンスホールぐらいの熊の敷物は高いと思いますよ」


 そうレクティ。

 そんな事を言っていたら、遠くにいたグリフォンが甲高い声を上げた。

 グリフォンの集団が森から飛び立ったのが見えた。

 100頭は超えている。

 こんなの余裕だけどね。


 やっぱり、誘導弾で仕留める。

 熊は腹が一杯になったのか、落ちていくグリフォンには見向きもしなくなった。


「利を与えると賢いチンピラは欲張らない。欲張る奴は長生き出来ない。スラムの鉄則」


 マイラがそう言って胸を張った。

 マイラもうんちくが語りたかったのか。


「魔法って凄いね。グリフォンの集団があっという間なんだもん。頑張って勉強すれば私もあれぐらい出来るかな」

「出来るさ。工夫次第では魔法の可能性は無限大だ」

「頑張る」


 地面に降りてグリフォンの死骸を回収する。


「ところでグリフォンで高く売れるのか?」

「爪とかくちばしは日用品に加工されます。肉は硬くて食べられないそうですが。あと、羽が装飾品として人気ですね。帽子の飾りなどによく使われます」


 レクティは物知りだな。

 マイラが少し悔しそう。

 後で機嫌をとらないと不味そうだ。


「じゃあ、熊の食べ残しも金になるな。レクティとマイラにはグリフォンの爪で作ったペーパーナイフを上げるよ」

「私もほしい」


「サイラも欲しいのか。じゃあ全員分作ろう」


 マイラが少しすねた感じを見せる。

 羽で何か作ろうか。

 扇なんか良いかもな。


 俺はマイラの耳元で、マイラだけにグリフォンの羽で作った扇を贈るよと言った。


「タイト、ありがと」

「何がありがと何ですか?」


 レクティが少しきつい目でそう詰問した。


「秘密だよ」


 マイラがそう答えた。


「私が婚約者だと言う事をお忘れになっては困ります」


 困ったなあちらを立てればこちらが立たず。

 レクティに何か贈るのは構わないが、そうするとマイラの扇と比べて、どっちかすねる事も考えられる。

 同じ物を贈るのは無難だが。

 先にマイラに贈ると言ったから、後から同じ物をレクティに贈ると気分が悪いだろうな。


 今とぼけても、マイラが扇をレクティに見せびらかす事も考えられる。

 実にやりそうだ。

 さてどうする。

 グリフォン100頭より難敵だ。

 魔王級と言ってもいい。

 よし。


「マイラに扇をプレゼントするって言ったんだ。レクティもほしい物があったら言って。マイラも品物を変更しても良いよ」


 二人に何がいいか聞く。

 こうすれば二人で折り合いをつけるだろう。


「私は扇で良い」

「抜け駆けは駄目ですが、今回は許しましょう。私はグリフォンの目玉を要求します」

「目玉なんか何に使うの?」


「ふふふ、秘密です。抜け駆けした罰ですわ」

「私はグリフォンの羽で作ったエレクの玩具がいい」


「ダイナ、どさくさ紛れに何言ってるんだ。お前は駄目だ。お金なら昨日山分けした分があるだろう。自分でグリフォンの羽を買えよ」

「けちは長生きしません。殺し屋の鉄則です」

「そんな鉄則があってたまるか」


 サイラが俺達の話を聞いて寂しそうだ。

 話の輪に入りづらかったのか。


「サイラ、どうした」

「ノッチの事を思い出して。ノッチと街の子供達で、たわいもないお喋りしたなって」


 涙汲むサイラ。


「そのうち見つかるよ。なぜかそんな気がするんだ」


 この任務を終えたらノッチ探しに本腰を入れよう。

 お喋りを楽しんでないで先に進むか。

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