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第五話「風の果て」
夕暮れの光が戦場跡を染める。
森を抜けた小隊は、静かに休息を取っていた。
ジャベリンを投げ、短槍を突き、回収する――その一連の動作は、何年も前に元隊長が教えた通りだ。
元隊長は少し離れた丘の影に立ち、隊の動きを見守る。
年齢を重ね、体は衰えたが、目は鋭い。
戦場に立つことはもうない。しかし、自分の教えがどこまで生きているかを確かめるため、この場に立ったのだ。
小隊は間合いを保ち、動きは正確だ。
ジャベリンを投げ、短槍で突き、回収する――間合い、呼吸、判断、全てが整っている。
元隊長はゆっくりと歩を進め、新隊長に近づく。
「判断は正しかったか」
短い言葉だが、全てを含んでいる。
新隊長は胸を張り、静かに答える。
「はい。隊員たちは教本通りに動き、判断も間違っていません」
元隊長は視線を巡らせ、隊の動きを最後に確認する。
「よい…風走り隊の道は、確かに生きている」
微かに微笑む。言葉は少ないが、心は満たされていた。
森を抜ける風がジャベリンを揺らし、短槍を握る手にそっと触れる。
元隊長はそのまま影に戻り、静かに立ち去る。
戦場に吹く風のように、影のように――自分の理念は確かに次世代に受け継がれた。
日が沈み、森に長い影が落ちる。
新隊長と隊員たちは、何も言わずに間合いを保ちながら歩き続けた。
風走り隊の道は、これからも続いていく。




