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第四話「風走る道」
森の木漏れ日が、隊列を淡く照らす。
新隊長率いる小隊は、軽快に前進しながら訓練を続けていた。
ジャベリンを投げ、短槍を突き、回収する一連の動作。
半歩前進、半歩下がる間合い――全てが理想的なリズムで動いている。
元隊長は少し離れた影の中で隊を見守る。
戦闘指示は出さない。必要なのは、理念の確認と、短い助言だけだ。
小隊が木陰に差し掛かった瞬間、元隊長は静かに口を開く。
「焦るな。判断が命だ」
隊員たちは自然に呼吸と間合いを整える。
ジャベリンを投げ、短槍で突き、再び回収する。
元隊長は短く頷き、静かに立ち止まる。
「生き残れ。それがすべてだ」
短い一言は、命令ではなく、理念の継承の瞬間だった。
森を抜ける風が、ジャベリンを揺らし、隊列を軽く押す。
新隊長は間合いを調整し、隊員たちの動きを確認する。
元隊長の言葉は隊の動きに自然と溶け込み、風のように馴染んでいた。
森の奥で、風走り隊の動きは静かに、しかし確かに理念を体現していた。
元隊長は微かに微笑み、影に戻る。
風走り隊の道は、確かに受け継がれ、未来へ続いている。




