ブラジャーの用途に突然気付かされた
「ご案内します、お姫様」
と言葉はうやうやしいが、こそこそと隠せないけど隠しながら店に急いだ。
店では姫に選択権は与えない、当然の用心だ。
さてズボンかスカートか、スカートをちらちらされるのは勘弁して欲しいから、ズボンにしよう、でも丈を合わせるのは面倒そうだ。
ショートパンツにしよう、簡単だし。
股までしかないショートパンツでなければ良いだろう。
問題は姫のでかいケツに合うものがあるかだ、玉林に聞いてみたい。
とにかく丈より横の長いパンツを選び、次は上だ。
Tシャツで良いだろうから簡単だ。LLかなLLLかな、適当に選んだ。
「さあ、着替えよう」
と言いながら試着室を探した。あそこか、試着室と書いた札がぶら下がって居る。
さあ、いこう、と振り返ると、
なんと姫はその場で脱いでいる。
エー!
僕のパンツと腹に巻いたタオルと手拭いの晒し姿の姫が現れた。
周りの人は唖然とし、視線を姫に固定して固まった。
驚いて慌ててパニクッた。
一旦、数歩逃げた、けどそうもいかない。
回りの視線に気づいたのか姫も固まっている。
幸いなことに女物売り場だったから男は居ない。
買ったものを集めて、レジ行ってくるからじっとしてろよと脅した。
しかしここには置いとけないな、試着室に引っ張っていってカーテンを開け蹴り込んだ。
もう一度じっとしてろよ、と念押しして、レジに急いだ。
しかし やばい!! 誰かがスマホに撮ったかもしれない。
試着室に蹴り込んだ僕も撮られたかもしれない。全世界でバズリそうだな。
会計は高1の僕にも優しく安堵した。
試着室に戻り、じっとしてたかなと覗くと大人しくしていた。
僕も入ったらまたバズりそうだけど、しょうがない。
入ってカーテンを閉めて、先ず、腹のタオルを取った。
けど胸の晒しが取れない、ホッチキスを使い過ぎたようだ。
下に引っ張るとすりっと腹まで落ちて、おっぱいが背中からポヨンと戻ってきた。
ほんとポヨンポヨンだな。
僕のパンツを降ろして、
パンティーを買っていなかったと気付いてまた履かせてショートパンツを履かせて、Tシャツを着せた。
暫し眺めてようやく安堵した。
姫はごわごわして気持ち悪いとプー垂れている、人間界の布が気に入らないようだ。
取り合えずだから我慢して、と宥めて店を出ようとしたところで、胸が痛いと立ち止まってしまった。
そうか、ブラジャーは乳首を守るためにあるのかといきなりガテンして、
店員に姫に合うブラジャーを選んでもらった。
ブラジャー1個の方が高かった。
試着室に戻り、ブラジャーを付けてやった。
触って上半身をよじって確認している。
気に入ったようだ。
普通男は、ブラジャーは取るのが初めだろうけど、
僕のブラジャー歴は着けるから始まることになった。
さあ家に帰ろう。
地方から上京したての小学生みたいにプラプラキョロキョロする姫にイラつき、
しょうがないから手を繋いだ。
途中、靴を気の毒に思い、千円のスニーカーと百円のアンクル靴下を買った。
街中は恐ろしいから、自然と脚は速くなり、あっという間に家に帰りついた。
部屋に戻り安堵して、これからどうしようと思案していると、姫は着ているものを脱ぎ捨ててしまっている。
折角買ったのにやれやれだ。
しょうがないから付き合って裸になった。
僕は病気になってしまっていたけど姫は気に留めない、慣れたようだ。
つらつら姫を眺めるに、全然マン・モース姫じゃないな、と気付いた。
マン・ツル姫だ。まあこの際そこは無視しよう。
もじゃもじゃの方が良いなと思ったらそうすれば良い。(さすがのご都合主義)




