『穏やかな連続死』なんて、なろう系じゃダメだろう
『穏やかな連続死』では高校で話題になるはずもないから、3人組ではどんな位置づけなのか聞いてみた。
「なんじゃそれ」「事件じゃないだろ」「話題になる意味が分かんねえ」
と答えられた。確かにその通りだ。
変わっているのは出現の時・所だ。
脳・心臓発作ならクリアできるけど、死因がはっきりしているから話題にならない。
通常突然死は回りにそれなりのインパクトを与えるから、穏やかではニュースにならない。
死んだ人が上位役人・政治家だからということになるが、偶然が重なったに過ぎないけど、偶然が話題になっているだけだろうか。
もちろん偶然はニュースになりえるけど、大抵は続かない。線香花火だ。
3人組の一人が、いっぺんに3人死んだぜ、とニュースを教えてくれた。
内閣府の何かの委員会の最中3人が穏やかに死んだ。
穏やかだから気付くまでに時間があって、やがて騒然とした。
委員会の参加者は恐怖したが、ニュースでは不思議さが話題になっている。
日本の上位・中枢の人に恐怖が広がる。
穏やかでも、死んで、死が認識されたら、死体に変わる。
どんな反応もしない人間は忌むべきものに変わる。
「なんで穏やかに死ねるの」姫に問うた。
「命は続くって信じているからよ」姫が答える。
「でも個人は終わりだよ、ジエンドだ」
「命は続く、また新しく生まれる、そうならしがみつく必要はないよ」
「新しい命は、別人格だよ、まったく無関係だよ」
「一緒よ、生まれた命は私と変わらない。別人格ってことに意味はないわ」
なるほどね、古来、無数の人格が産まれたが、どれほどの違いが有ったろうか。
「転生が繰り返されるのに過ぎないよ」
輪廻じゃないというのかな。
アレー??
今、姫はうまれるって言ったけど、産まれるは知らないんじゃなかったか。
「うまれるって?」
「婆ァがお披露目する」
婆ァが抱いて皆に、新しい生まれ、と祝うらしい。
「新しい生まれ、は生きている人とどこか違う? 同じでしょ。みんな分かってるのよ」
同じって言われも、同じわけない。
「新しい生まれ、の中に亡くなった人を見るのよ。生きている人全員がね」
「じゃ新しい生まれは、何万人もの枠割をするわけ?」
「そう、全ての人に思われる」
まあ、小さな村社会なら有り得るかも知れないけど、
「70億の人間じゃ無理だね」
「そーーう?」
疑問で聞いて来る、否定を促す、嗜める。
複雑な言いようされても答えられない。若干上から目線を感じる。
チャンスだ。今は病気ではない。
「姫、挨拶」
と正面から抱いた。姫は答えてくれた。
なるほど、挨拶なのか。邪念よ湧くな。
不思議と落ち着いて、姫の鼓動を感じる。
分かりあって一体になれば女人界に迫れるかな。
ダメだ、それは邪念だ。
素直になれ。
今の話を理解したい。
鼓動よシンクロしろ。
姫の中に溶け込もう。
姫の中に溶け込めるなんて、天に上る至福ではないか。
気持ちが通じ合えるなんて、喜びこの上ない。
ウワー、ダメだ、邪念が湧いてしまう。
利害を考えてしまう。
あれこれ、知りたいことを欲張ってしまう。
姫は離れた。
挨拶失敗だ。
若とは上手く行ったのに。
若干、気落ちして済まなく思う。
失敗は僕の責任だ。
慰める積りか、チョコンとハグしてくれた。




