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男人界の若がギューとしてくれる。それは大変気持ちがいいらしい

 若の活動が気になる。

男人界から来て何をするのだろう。

姫を見るに人間界に何かしようなんてとんと考えていないようだし、目的を持っているとしたら知りたい。

それもあるけど、姫と同様、若も酷く僕を引き付ける。

男だってことも消え魅入られてしまう。

壁ドンなんてやられたら気を失うかもしれない。

若には異性、同性という言葉さえ存在しないようだ。

まあ下等界の人間だけど、もちろんそんな上から目線もない。

高校3年生なのに劇団を主宰し脚本も書いて演出もしている。

しかし、男人界には愛だ恋だは無いはずだから脚本なんて書けるかと思うけど、評価は高い。

愛だ恋だは1対Ⅰではない。

1対1の話がいつか多対多になっているから訳が分からなくなるけど、

人間愛を書いていると評価されるらしい。

でも僕は若は1対1が分からないんじゃないかと思う。

誰にも分け隔てなく接しているけど、隔てが見えないんじゃないかと思う。

それは姫にも感じていた。

要するに十羽一絡げた。

もちろん僕だけは違うけど。

現在、病気の男は僕しか知らない、即ち姫の中に占める場所が大きいのだ。


 僕は恋を打ち明けている。

「君が好きだよ、君しか居ない。一生分の愛を今捧げるよ」

「私もよ」

 恋している君は答える。

後ろから、私もよ、と答える。僕はそっちを向いて、

「うれしい、これからはいつも一緒に居よう、離さないよ」

別方向から、

「私も離さない」

 僕はそっちを向いて、

「今僕たちは結ばれたんだね、固く結ばれた。誰も二人を別つことは出来ないよ」

 僕は、空を掴んで、さあ行こうと促した。

 その手を男が掴んだ。

「どこへ行こうか。二人を邪魔する人はもう居ない」

 一歩を踏み出すと、太った女性が、二つの一生分の愛は一つになったね、と言う。

僕はもちろん、と答える。

主人公は先の男に変わっていて、僕は脇に居て、多くの人に愛を告げている。

大きなシャボン玉が降りて来て、皆その中に包まれ、千変万化するシャボン玉の色にただ個を忘れる。

シャボン玉はふわっと浮いて、中の人はシャボン玉の色に染められ、区別がつかなくなった。


 良く分からない芝居だ。

でもよく考えたら、僕が主人公で無くても良かったように思うし、そもそも主人公だったのかとも思った。

若が、シャボン玉の幕を作るのに苦労したよと言う。

もちろんそうだろう。

こんな薄いものをよく制御できるなと、そちらを感心した。サランラップより薄い。

学内のサークルなのに、若は興行と捉えていて、ホールなんか借りて、

満席大入りになるから、アルバイトする気概のない学生も出演料がもらえて、

それはアルバイトより実入りがいいから、

皆が若についていくのは至極当然だけど、

それより大きな褒美があるんだよ。


千秋楽、と言っても土日の3公演だけだけど、の後、ご苦労様でした、とみんなをハグしてくれる。

丁寧にギュッとしてくれるから気絶しちゃう人続出だよ。

初めてそれを見たとき、

好きな人のダンスの輪が近づいて来るなんてものではなく、

息もできないくらい、

目も点に成って硬直するのみだったけど、

ギュッとされてから、

「僕は主人公だから、30秒頼むよ」

 と命令した、相手は若だという認識が少しあったのだろう。

若は、良いよ、と了解した。

そして長く長―くギュッとしてくれた。

長くが永くになって、ボーとして気を失う様な、ユラ・スー

と脳みそが無くなるような恍惚に落ちて、

力が抜け、気付くと若に抱きしめられていて腕の中から若の顔を見上げていた。

皆から妬まれ、一人からケツを蹴られ、裸を目撃した女子には頬をつねられた。

でも僕は超然だから気にしない。


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