憧れの3年生が接触してきた
取り敢えず映画は禁止しよう。
姫は映画が気に入らないらしく見ようとしないから心配が一つ減った。
姫は暇なときは窓から外を眺めているだけで、
ネコみたいで、眺めていれば満足らしくてその時間は手がかからない。
ネコ耳でもつけようかな。
スマホを買わなくちゃと考えていてどうやって手に入れようかと悩んでいる所だったからスマホ禁止は助かった。
まあスマホなんてない世界の住人だから別に不便はないだろうけど、僕の方はチョー不便だ。
電話か電報かポケベルか。
でも別れ際次の約束をするだけで足りているから不便と思わなければ良さそうだ。
今の状態は部屋に猫を飼っているみたいなもので、
ホテルという違いはあるけど、やや自由になっている。
クラスでは僕は一目置かれていて、超然としていられた。
くつくつと笑いが漏れるけどそんな嫌味な性格じゃないから今までと変わらず接してやった。
「マッスル君」
席に座っていたら、後ろから女子二人に話しかけられた。
「この前一緒に居た美人は誰?」
「何の話? 僕じゃないよ」
「マッスルだよ、ずっと後を付けていたんだから」
「ふーん、ストーカーなの」
「違うわよ、素行調査よ」
流石にちょっと言い淀んでいる。
「君の素行を調査した方が良いんじゃない」
これじゃ喧嘩だな。
「手なんか繋いじゃって」
「家族だよ」
「家族で手なんか繋ぐわけないじゃない」
「従妹だよ」
全然信用していないようだから、
「凄い美人だったろ。僕の家系はみんな美人と美形だけだから。
信用しないの?」
うっと詰まって返事が出来ない。
「マッスル・チンチンのくせに」
と呟くのがせいぜいのようだ。
「僕のチンチンは直ぐに病気になるんだよ」
二人は、ギャッと叫んで逃げて行った。
評判爆下がりだな、いや評判沸騰かもしれない。
この一件は僕をさらに超然としたものにした。
君たちの、いや人類の運命は僕に掛かっているんだ。
でも本当かな? 頭がチリッとした。婆ァかな。
午後、マッハのスピードで帰ろうとしたら、憧れの3年生が待っていた。
君、と話しかけてきたから待っていたと思う。
「君、僕のサークルに招待するけど入らないかい」
オー、それは望んでいたことだから、チョー嬉しい。
「はい」
憧れの君は、ちょっとホッとしたようだ。
なぜ?
狙いは僕じゃないかもしれない。
「火曜日と木曜日の定例会には出て欲しい」
あっそうか。
それは姫が居るから出来ない。
それは無理かもしれません、と小さく答えた。
憧れの君は、暫く考えている。
「それは彼女が居るから?」
えー、憧れの君もストーカーか。いやそれは考えすぎだ。
「それなら彼女も連れてくれば良いよ」
それは困る、チョー冒険だ。どうなるか分からない。
「いえ、彼女は人見知りなんです」
と答えたけど、見られているなら姫が人見知りなんて誰も思わないだろう。
「そうなの。じゃ今度3人で会おうよ」
紅顔の美少年より一段上手の人と合わせるなんて、そんな怖いことは出来ない。
「彼女は奥手で男性と合わせることは出来ないんです」
なんか無茶苦茶だな、とは思うけど、危ないことはできない。
「そうなんだ。どこかで自然に合えればいいね」
なんか諦めないなこの人。
「そうだ、君、招待してくれない、それなら問題ないんじゃない」
やはり彼女が目当てか。
「ええ、聞いてみます」
「これ僕のSNSだから事前に僕を理解してくれると嬉しい」
ウワー、抜かりなく攻めてくる。防御出来ないどうしよう。
「はい、分かりました。有難うございます」




