そして、平和に働けない
後に警察が到着し、事情聴取、現場検証などは、滞りなく終わった。そして、翌日にはあっさりと解放された。
もちろん、不自然である。
銃を所持した3人組が押し入り、2人が射殺され、1人が逮捕されて、返り討ちにあった事件が、ニュースで軽く強盗事件にあったとだけ報道されただけだった。
スタッフの迅速な対応のおかげか、各課の部屋から利用者を出ないようにしており、当事者達とロイ以外に事件を目撃した者はジェーンのみだった。
ともあれ、利用者の対応や特殊清掃などの事後処理で会社は一旦休業し、再開に向けて動かなければならない。
会社の責任者であるロイと当事者であるタチアナは、このあからさまに厄介事に巻き込まれた状況がどうなるか、平和に働くつもりがこんなことになってしまったことを嘆いていた。消化試合みたいにトントン進み、警察やそのまわりに圧力がかかったことが思い知らされる。
この会社の自体がさまざまな経緯でこういう事案の対応に慣れている。公的には、国連から認められたとある慈善団体の系列からなる会社組織になっている。
タチアナは元少女兵の更生の一環で、本人の希望によりこの会社の一員として、働いてる。良くも悪くも、政治や社会の裏事情巻き込まれ、関わった者である。それ故に、その手の界隈とは、距離をおきたがっている。
しかし、腕が立つの見込まれ、出入り口の警備員を兼任することになる。なにかに導かれるように、せっかくだからと民間警察資格を丙種ではなく、乙種を取得し、その後、また平和とは程遠い仕事が舞い込むことになる。
「ハーイ、タチアナ」
予見していたことだった、あの場において彼女の存在もまた日常とは違う存在と感じたからだ。