鉄拳
ロイは救急車は呼び、そして、警察に通報する。ある程度の応急処置は済ませてある。顎なり、肋骨なりと骨が砕かれたり、折られたりしているのがごろごろいるが、ほっとかなければ命に関わる状態ではない。最低限殺すつもりはなかったのだろう。
そして、大事なことは警察が来る前に必要な情報を手に入れて、素知らぬ顔で対応する。こういったことが手慣れていることにロイは思わず苦笑いを浮かべる。すぐさま手に入れられる情報はエレンに送ったが、隅々まで情報を得る為に団体が管理しているパソコンや建物の監視カメラなどハッキングする必要があるものもある。
さらには、表向きの民間警察として、通報を受けた程で警察に事情を話し、事件捜査は民間では関われないので情報を引き継ぐ対応もしなくてはならない為、スピード勝負になる。警察が来る前にハッキングして解析が終わったデータが届いた。
文章データを読み内容を把握し、すぐさまエレンに送る。そして、カメラの動画を見る。
鉄拳と言う言葉はあるがまさしくそれではないかとロイは思った。鈍器と思われた傷は、まさしく拳でつけられていた。
近くにある棚から身長を察するに自分以上の身長であろうからだいたい190㎝はあろうか、大柄な黒人男性が文字通り薙ぎ倒すかの暴れている。連中は刃物や鈍器で対抗しようとしたが歯が立たない。これは予想だが、だから死人がでずに済んだのだろう。もし、誰かが下手に銃を所持し、使用していたら結果違っていた。
その後、団体スタッフの1人を捻りあげ何かを聞いているようだった。パソコンの前に向かい、そこで映像は途切れている。監視カメラの系統を破壊したようだ。
突然の乱入者に続く乱入者、思わず頭を抱えたくなるが、思考を切り替え自分のやれることすることに集中することにする。
少なくない人身売買の情報が手に入ったのは、収穫である。こいつらもそうだが、いかに子供たちを弄んだ奴らに報いを受けさせるかだ。




