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追跡

「ボス」


 黒いスーツにサングラスの部下がエレンに耳打ちをする。


「この近辺でタチアナがホテルに突っ込んだ車を追っていた車両を捕捉したと情報が入った」


 映画かなにかかと思わずエレンは心のなかでツッコんだ。


「タイミングがいいな」


「今日彼女はオフでホテルの近くのカフェにいたらしい」





 車がホテルに突っ込む少し前のこと、束の間の休息として暇をもらいバイクで町のカフェまで足を伸ばしていた。エレンの泊まるホテル付近まで来たのは彼女に今後の相談をしたいという心理が働いたかもしれない、しかし、相談しようにもどうしようという具体的でない言葉しか見つからない。


 命令に淡々としたがう日々が長く、選択肢も用意してもらっていた。かつての少女兵時代と違い、好きでもない人を殺傷することを強いられず、社会復帰を奨励している。そして、ある日見た難民の子供たちを笑顔にする彼女を見て、人を助けたいことをしたいと思った。タチアナのような境遇の子供たちを救う先代のボスの姿を見て、自分も社会復帰の手助けをしたいと初めてやりたいこを見つけた。


 しかし、自分自身が社会復帰をしきっていない。


 相談するならボスに一本電話でアポをするべきたが、足踏みをしている現状。


 そんな煮え切らない状況のなか、目の前で突然のカーチェイスでボスの泊まるホテルに突っ込む車。


 遠目にボスの姿を見る。どうやら衝突に巻き込まれてなく無事そうだ。追っていた車が避いていく。


 カフェの料金を素早くキャッシュレスで支払い、バイクにまたがり車を追跡する。


 民間警察が有事遭遇した際、所属する会社づてに公的警察に通報する流れだ。行動に変わりがない、しかし、状況的に非公式になる気がした。


「巻き込まれ系ヒロインか…おまえは…」


 しばらくして、電話をエレンに取り次いでもらい、開口一番彼女はそう言う。


「何を言ってるかわかりません」


「まあいい、一応聞くがチャカ(拳銃)は持っていないよな?」


 もちろん休みの日に理由なしに銃の所持は御法度である。


「すみません…」


「せめて、私物購入とかでたまたま持っていましたとか言い訳して欲しいのだけど…はぁ」


 ため息ひとつ挟み、本題に入る。


「どんな状況?」


「今のところは見つかってません。何人か捕まえますか?」


「いや、アクション映画じゃないんだ。コラテラルダメージ(民間人巻き込みによる2次被害)はまずい。特に日本でだ。しばらく追跡して座標を送り続けて欲しい。多分特殊フィルターをナンバーに貼ってるだろうからカメラで追跡は難がある。目視でドローンに追跡を引き継がせる」


「了解、こちらはその後どうします?」


「前回いじわるしたがおまえも大人だ選択肢は自分でつくらないといけない。あの時だってすぐに諦めて仕事をするのでなく、拒否の意思を明確にして相談しろ。少しは食い下がれ。従うだけではいいように使われるだけだ」


 一呼吸おき、エレンは選択肢を与える。


「今回までだ。一つ、ドローンにそのまま追跡を引き継ぎ手を引く。二つ、組織まで追跡し、単独で情報を入手してもらう。一つ目はそこで終わり。二つ目はその分こちらの動きははやくなるがお前は非公式作戦に関わる。この意味わかるな?」


「わたしが動いた分、はやく子供たちを助けられますか?」











 


 



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