因縁
ジェーンが所属する民間警察会社は、とある政治家との繋がりがある。行う仕事もその関連が多い。
メンバーは4人、全員さまざまな理由で本来の経歴は社会的に死人または存在しないことになっており、それぞれ仮の個人情報を持っている。また、仕事上の呼称としては、コードネームを使用している。
話は前回の不法滞在者が設立した会社を襲撃した話から続く。土場にて、誘拐された子供たちが保護されていた。人身売買組織との関わりの情報も得ている。
ジェーンの上司である社長、コードネーム人狼は政治家との電話を終え、3人にむけて口を開いた。
「ハーメルン関連の仕事だ」
「へ〜まじか〜楽しみだな〜」
ジェーンはニヤリと愉快そうに笑うのを見ながら人狼は話を続ける。
「やることは二つ、国内の人身売買組織ハーメルンの排除とわれらが主人の護衛兼雑用」
「もちろん、あたしはハーメルンを叩く方だよね?」
「やっこさんにつながる手がかりか…」
「人の身体弄んだクソ野郎に近づける可能性があるからね。ああいう組織は…」
「それは構わんが、おれと天使、エッツィの3人が護衛にまわるから、こちらからサポートはだせん」
「まじかよ相棒…」
驚いた顔でジェーンはエッツィの方を見る。
「今回の仕事はめちゃくちゃする人のフォローをしなくて良さそうで安心しました」
「え〜ん…天使ちゃーん」
ジェーンは天使と呼ばれる銀糸のような長い髪で紅い瞳、透き通るような白い肌の女性に抱きついた。
天使と呼ばれた女性は、年齢こそ成人であるものの外見は中高生の少女の様だ。神秘的な雰囲気、儚げで可憐な彼女は街中を歩けば注目を浴びる美女といってもいいだろう。
無表情でジェーンの頭をなでる天使は人狼の方を向く。
「甘やかさんでいいぞ、そいつを…一応他組織も一枚噛むらしい」
一瞬、人狼は事件に巻き込まれてしまった社会復帰を目指した元少女兵のことを思い出す。遠ざけようと動いたが結局関わってしまった。さらには、この案件は状況によっては自分が抜けた組織も絡むだろう。そして、娘との望まない再会がよぎる。人狼は思考を一旦切り替え、与えられた作戦の情報を共有した。




