一般社会で平和に働きたい
後日、NEW CHAPTERの事務所にてお互いのパートナーとしての誓約書を正式に締結することになる。
「ということで、正式に友好を結びました〜」
ジェーンは愉快そうにパチパチと拍手をする。
「名義はうちらの表向きでやってる民警会社で間接的だけど、問題なく上がケツ持ちするよ〜」
「ひとついい?」
「どした?ターニャ?」
いきなりの愛称呼びをスルーしつつ、タチアナはジェーンに疑問を尋ねる。
「NEW CHAPTERの他に知らない名義があるのだけど…」
「アレ、ターニャ聞いてない?」
「その件だが…タチアナ…」
ロイが頭をかきながら、その答えを告げた。
「おれらは、新しく新設した民間警察の部門に異動だってよ。お嬢からの勅命だ」
「そっちのボスとこっちの上位組織が協議したんだって、2次組織のヒラのあたしは良く知らんが…」
「状況によってはまた共同作戦することを盛り込んだらしい…」
「ロイ…なんで教えてくれなかったの…」
「お嬢が作戦の映像見て、社長を盾にしたのとか見てあいつ反省してねぇなとおかんむりでな…詳細は直接聞いてくれ」
ジェーンとの誓約書の手続きを終えたタチアナは急いでエレンに連絡を取った。
「どいうことですか?ボス」
「銃を捨てて、平和に生きたいように見えなかったから異動させた、以上」
処遇に不服そうなタチアナにエレンはため息をしつつ諭すように理由を告げる。
「暴力を捨てるのに難儀してる奴らの受け皿つくろうとしてるのはわかるけど、捨てきれてない上に躊躇いなく殺しができるのが問題って言わなくても自覚してるよね。とりあえず、NEW CHAPTERは財団に任せるから、C&S(鉄クズ回収屋)の民間警察日本支部として、市民の安全を守ることで一般社会に馴染めるように勉強しろ。ちなみに部署は急ごしらえだからおまえとロイの2人だけだ」
考えと行動の矛盾は理解しているが、いざ有事となると機械的に動いてしまう。それがタチアナの大きな課題である。ちなみに、ロイも出向先の財団からC&Sの新部署異動は不服であったが手綱をちゃんと引かなかった責任といわれ承諾した。
「…わかりました…ボス」
「責任を取るつもりだったろうけど、断ってもよかったんだぞ?この仕事で人はよこせないけど、拒否したところで先方は問題なかったし、多少面倒だが、おまえが動かなくてもよかったんだ。まあ、拒否しても何も無しは虫が良すぎて怪しいがもし奴らがおまえらを害すなら全力で叩き潰すまでだが…」
武力による活動が少ない日本にこそツテは少ないものの、日本と繋がるのある多くの国で仕事の繋がりがある。もし、日本で活動するタチアナ達や財団スタッフに何かあれば対応の用意がある。
「さすがにこれ以上手は煩わせれません」
「ここまで来たら一緒だから、気にするな。今回の仕事でこっちの活動にメリットはあったんだその点はその慎ましい胸を張れ」
「一言余計です」
「あと近いうち、日本に会談に行くからロイとおまえ同行な」
「わかりました」
「最後に、これ以上揉め事おこすなよ。暴力を捨てれないのはあたしらも同じだ。だからこそ暴力の使い道を良く考えろよ」
エレンが電話を切る。
果たして、タチアナの仕事は暴力からデスクワークに戻ることができるのか…
チャプター1 終了




